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第三章
7.ラトト村
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「あれっ!」
ラトト村の入り口に辺りに着いた時、ハンターが驚いた声を上げた。
ハンターがそろそろだと言ってから直ぐに、地面にある道が森の中に立ち消えていたのだ。
「んー、これは結界だね」
見事に結界が張られている。入り口が見えない。森しかない。
最初のエルフ村の様に結界で村が隠されている。
「こりゃーかなりの緊急事態だな」
「たぶん、獣人の子供が怪我させられたのが原因じゃない?」
「そうだな。どうしようかな」
ハンターは消えた道の先を見て立ち止まった。
「昼間だし、見張りがいるでしょ。気付くんじゃない?」
「そうだな、じゃあ、もう少し近づいて様子を見るか」
そうして、道が消えている森の場所まで歩いて行くと、あんのじょう森が消えて道が続いた。
道の奥から、男の人がひとり出て来る。ミルクティーみたいな髪色をしたひょろっとした人だ。
「ハンター久しぶりだな」
「ヤト!帰っていたのか?」
ハンターが、出て来た男の人に走って近づく。
「ああ、別の獣人の村が襲われただろう?急いで帰ったんだ」
「なるほど。でも、村で獣人の子供が怪我をさせられたと聞いたが?」
「そうなんだ。弓で射られてな。危なかった」
「何だと!?弓で?」
「抗議しに皆が行ったらしいんだが、獣人ならば避けられるだろうと思ったと、しゃあしゃあと言ったらしい。小さい子供を何だと思っているのか、しかも味をしめたのか昨日も来たんだ。だから直ぐに結界を張った」
「獣人なら、貴族の人間は何をしてもいいと思ってるのか!」
「自分達より下位種だと思ってるからな。ん?ハンターその子、人間?だよな?」
ヤトと呼ばれたその人は私の方を見て言った。
「こいつはココ。『緑の巫女姫』って特性を持った人間だ」
「ええっ!巫女姫様なのか!?それ本当か???・・・男の子かと思ったぞ」
「男装してるんだよ」
いつものよそ行きのニッコリをしてみる。
「何得意げに言ってるんだよ、男装してなくても男にしか見えんだろ」
「ちがうもん。まあ、どっちでもいいけど」
「どっちでもいいのかよ」
「なんだ?仲いいな。どういう知り合いなんだ?本当にあの巫女姫なのか?」
「三賢人と国を回った『緑の巫女姫』なら私だと思う。他にいるなら知らないけど」
「そうか・・・。凄いな。巫女姫にお会いできるなんて」
「別に巫女姫だって知らなくてもいいんだけどね。それと、『巫女姫様』とか崇めたて祀らないでね。ココって呼んで」
「まあ、そういうなよ。何があるか分からないからな、ここでは言っておいた方が動き安い」
ハンターのいう事もまあ分かるけどね。
「ハンター、お前が連れているって事は、ココ、は、俺達の味方だと思っていいんだな」
「味方だよ。決まってるだろ」
「そうだ、ココ、シオウを出してくれるか?」
「あ、そうそう、ホラ、私の大事なシオウ」
ローブをめくるとシオウが顔だけだした。
「ニャーン」
「綺麗でしょ?うちの子。シオウです。よろしく」
「えっ!、この獣人種族は豹族か!?あの生き残りか?」
「ああ、生き残りだ。そう言えばそういう話をココとはしたことがないなあ。シオウは豹族だ。希少種で戦闘に優れている美しい種族だ」
「まあ、なんでもいいんだけどね。シオウはシオウだから」
「お前はそういうと思ってたよ。獣人の村は、同じ種族だけの村もあれば、混合の村もある。最近襲われたのが豹族の村だ」
「他に生き残りは?何かわかったのか?」
ヤトって呼ばれた人の顔が真剣な表情になる。
「ん、まあ、村で話そう。土産もあるんだ」
「わかった。俺の家に来てくれ。ココも家に泊まってくれ。俺一人だから遠慮はいらない」
「ありがとう。助かるよ。あ、それと子供の怪我の薬、必要ならあるから言ってね。一応、無免許薬師だから」
「薬、本当か?それは頼みたい。毒矢だったらしく、獣人でも治りが悪い」
「「毒!?」」
「そうだ。質の悪い奴らなんだ。本当にどうにかしてやりたいよ」
「ふーん。そりゃあ、もう絶対仕置きが必要だね。それと、毒の浄化は得意だから。薬に魔力を混ぜれば毒消し効果が上がる。後で作るから、子供に届けてあげて」
「わかった。俺の家はあの三軒目の家だ。来てくれ」
村人達は家の中に入っているらしく、誰も出ていなかった。
ハンターの家の中は、何の飾り気もないシンプルな所だった。必要最低限の物は置いてある感じ。
「ココはこっちの部屋を使ってくれ。ハンターはその隣の部屋だ。荷物を置いたら向こうの台所でお茶にしよう」
「うん、ありがとう。あ、先にお土産出して置く。ハンター、何処に出そうか?」
「ああ、そうか。ヤト、土産は居間に置いていいか?」
「ああ、じゃあ頼む。いつもすまないな」
先にリュックから出して、ハンターと二人で積み上げたお土産にヤトは驚きまくっていた。
「なんとまあ、マジックバッグだったのか。凄い物を持っているな」
「うん、エルフの村で貰ったの」
「なるほどな。そんな物を渡す位だ。ココはエルフにとって特別だったんだな」
「長老がくれたの。大切に使ってる」
「そうか・・・」
私は部屋の戸を開けると中に入った。ベッドと文机と椅子が置いてある。丁度良い位の大きさの部屋だった。
後で、薬を作ろう。
「にゃーん」
「シオウ、下に降りる?」
シオウは床にトンと降りるとクンクンあちこち嗅ぎまわり、クン活してる。
「にゃーん」
「よしよし、気に入った?獣人の村だから安心だね」
シオウと台所に歩いて行った。
丁度、ヤトがお茶を淹れてくれていた。ハンターはもうお茶を飲んでいる。
「あー、うめえな。ふはー」
「ああ、椅子に適当にかけてくれ」
「はーい」
ハンターの横に座る。
丸テーブルの上には、お土産で沢山買って来た、『ほとぎ』が器の中に出されていた。
「せっかくだから、土産を出させてもらったよ」
「いただきまーす」
自分の口に頬張り、『ほとぎ』を手に乗せて、シオウの口元に出すと、ボリボリ食べている。
「にゃーん」
「おいしいね」
獣人の村はやっぱりシオウにも落ち着く様だった。
ラトト村の入り口に辺りに着いた時、ハンターが驚いた声を上げた。
ハンターがそろそろだと言ってから直ぐに、地面にある道が森の中に立ち消えていたのだ。
「んー、これは結界だね」
見事に結界が張られている。入り口が見えない。森しかない。
最初のエルフ村の様に結界で村が隠されている。
「こりゃーかなりの緊急事態だな」
「たぶん、獣人の子供が怪我させられたのが原因じゃない?」
「そうだな。どうしようかな」
ハンターは消えた道の先を見て立ち止まった。
「昼間だし、見張りがいるでしょ。気付くんじゃない?」
「そうだな、じゃあ、もう少し近づいて様子を見るか」
そうして、道が消えている森の場所まで歩いて行くと、あんのじょう森が消えて道が続いた。
道の奥から、男の人がひとり出て来る。ミルクティーみたいな髪色をしたひょろっとした人だ。
「ハンター久しぶりだな」
「ヤト!帰っていたのか?」
ハンターが、出て来た男の人に走って近づく。
「ああ、別の獣人の村が襲われただろう?急いで帰ったんだ」
「なるほど。でも、村で獣人の子供が怪我をさせられたと聞いたが?」
「そうなんだ。弓で射られてな。危なかった」
「何だと!?弓で?」
「抗議しに皆が行ったらしいんだが、獣人ならば避けられるだろうと思ったと、しゃあしゃあと言ったらしい。小さい子供を何だと思っているのか、しかも味をしめたのか昨日も来たんだ。だから直ぐに結界を張った」
「獣人なら、貴族の人間は何をしてもいいと思ってるのか!」
「自分達より下位種だと思ってるからな。ん?ハンターその子、人間?だよな?」
ヤトと呼ばれたその人は私の方を見て言った。
「こいつはココ。『緑の巫女姫』って特性を持った人間だ」
「ええっ!巫女姫様なのか!?それ本当か???・・・男の子かと思ったぞ」
「男装してるんだよ」
いつものよそ行きのニッコリをしてみる。
「何得意げに言ってるんだよ、男装してなくても男にしか見えんだろ」
「ちがうもん。まあ、どっちでもいいけど」
「どっちでもいいのかよ」
「なんだ?仲いいな。どういう知り合いなんだ?本当にあの巫女姫なのか?」
「三賢人と国を回った『緑の巫女姫』なら私だと思う。他にいるなら知らないけど」
「そうか・・・。凄いな。巫女姫にお会いできるなんて」
「別に巫女姫だって知らなくてもいいんだけどね。それと、『巫女姫様』とか崇めたて祀らないでね。ココって呼んで」
「まあ、そういうなよ。何があるか分からないからな、ここでは言っておいた方が動き安い」
ハンターのいう事もまあ分かるけどね。
「ハンター、お前が連れているって事は、ココ、は、俺達の味方だと思っていいんだな」
「味方だよ。決まってるだろ」
「そうだ、ココ、シオウを出してくれるか?」
「あ、そうそう、ホラ、私の大事なシオウ」
ローブをめくるとシオウが顔だけだした。
「ニャーン」
「綺麗でしょ?うちの子。シオウです。よろしく」
「えっ!、この獣人種族は豹族か!?あの生き残りか?」
「ああ、生き残りだ。そう言えばそういう話をココとはしたことがないなあ。シオウは豹族だ。希少種で戦闘に優れている美しい種族だ」
「まあ、なんでもいいんだけどね。シオウはシオウだから」
「お前はそういうと思ってたよ。獣人の村は、同じ種族だけの村もあれば、混合の村もある。最近襲われたのが豹族の村だ」
「他に生き残りは?何かわかったのか?」
ヤトって呼ばれた人の顔が真剣な表情になる。
「ん、まあ、村で話そう。土産もあるんだ」
「わかった。俺の家に来てくれ。ココも家に泊まってくれ。俺一人だから遠慮はいらない」
「ありがとう。助かるよ。あ、それと子供の怪我の薬、必要ならあるから言ってね。一応、無免許薬師だから」
「薬、本当か?それは頼みたい。毒矢だったらしく、獣人でも治りが悪い」
「「毒!?」」
「そうだ。質の悪い奴らなんだ。本当にどうにかしてやりたいよ」
「ふーん。そりゃあ、もう絶対仕置きが必要だね。それと、毒の浄化は得意だから。薬に魔力を混ぜれば毒消し効果が上がる。後で作るから、子供に届けてあげて」
「わかった。俺の家はあの三軒目の家だ。来てくれ」
村人達は家の中に入っているらしく、誰も出ていなかった。
ハンターの家の中は、何の飾り気もないシンプルな所だった。必要最低限の物は置いてある感じ。
「ココはこっちの部屋を使ってくれ。ハンターはその隣の部屋だ。荷物を置いたら向こうの台所でお茶にしよう」
「うん、ありがとう。あ、先にお土産出して置く。ハンター、何処に出そうか?」
「ああ、そうか。ヤト、土産は居間に置いていいか?」
「ああ、じゃあ頼む。いつもすまないな」
先にリュックから出して、ハンターと二人で積み上げたお土産にヤトは驚きまくっていた。
「なんとまあ、マジックバッグだったのか。凄い物を持っているな」
「うん、エルフの村で貰ったの」
「なるほどな。そんな物を渡す位だ。ココはエルフにとって特別だったんだな」
「長老がくれたの。大切に使ってる」
「そうか・・・」
私は部屋の戸を開けると中に入った。ベッドと文机と椅子が置いてある。丁度良い位の大きさの部屋だった。
後で、薬を作ろう。
「にゃーん」
「シオウ、下に降りる?」
シオウは床にトンと降りるとクンクンあちこち嗅ぎまわり、クン活してる。
「にゃーん」
「よしよし、気に入った?獣人の村だから安心だね」
シオウと台所に歩いて行った。
丁度、ヤトがお茶を淹れてくれていた。ハンターはもうお茶を飲んでいる。
「あー、うめえな。ふはー」
「ああ、椅子に適当にかけてくれ」
「はーい」
ハンターの横に座る。
丸テーブルの上には、お土産で沢山買って来た、『ほとぎ』が器の中に出されていた。
「せっかくだから、土産を出させてもらったよ」
「いただきまーす」
自分の口に頬張り、『ほとぎ』を手に乗せて、シオウの口元に出すと、ボリボリ食べている。
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