体質系?異世界召喚者、また召喚され、怒る

吉野屋

文字の大きさ
30 / 49
第三章

10.新しい出発

しおりを挟む
 私が、この世界に戻って来てから目で見て感じ、そして思った事をムーランとアスランテの二人に話した。

 取り残された地と呼ばれる、他種族の人々が村ごと消える事件。ドワーフの消えた村で見た黒い騎士達。

 話終えた後、二人に聞いた。

「私は、最近消された獣人の村に行って、ドワーフの村と同じ事が起ったのか地の記憶を視る。やっぱり、同じように黒騎士に襲われてたのなら、今度は黒騎士を動かしている奴らを探して、二度と同じ事が出来ない様にするつもり。もう見て見ぬ振りはしない。――――それでも、アスランテは一緒にいてくれるの?ムーランはどうするの?」

「巫女姫、私は何度でも言いますが、もう、二度と貴女のお傍を離れません。何処へ行かれても、何をされようともです」

 アスランテは迷いなく即答した。やっぱり本気の様だ。白い精霊さんは嘘をつかないのは私がよく知っている。

 姿形は変われど、『アスランテ=白い精霊』さんなのだ。こんなに心強くて温かい存在が傍にいてくれるのかと、胸がじんとする。生きて来て良かった。

 でも、アピールするためなのか、そうやって、いちいち私の手を取り目をじっと見つめるのはやめてほしい。

「う、うん。ありがとう。よくわかったよ」

「はい、私は絶対にお傍を離れません」

 やっと手を放してくれた。ホッ。まだまだ心の鍛錬が足りてない。がんばれ私。相手は白い精霊さんなのだ。

 アスランテ=白い精霊さん、アスランテ=白い精霊さん。

「私も、貴女と、アスランテと一緒に行きます。貴女の見たと言われる黒い騎士の一団は、聞いた限りでは、王の配下としかおもえません。黒は王族にしか使えない色です。私としても、何のためにその様な事が起っているのか知りたいと思います」

 そんな私達から、微妙に視線をそらしながらムーランは言った。えっ、直視にたえない?主に私が?

「わかった。ありがとう。ただ私、よく分かんないんだけど、王族と貴族の繋がりとか色々あるんでしょ。それは大丈夫なの?」

「全く無いとは言い切れませんが、私達三賢人と呼ばれる三人は、国の為の浄化を成し終えた時に、独立した存在とされて、三家からは離れています。まあ、老後を送る老人の扱いのようなものです。だからこうして自由に貴女を追いかけて来ることが出来ました。主家の方も私達に関しては、もう『家を出た者』という扱いになります」

「じゃあ、私と一緒にいても大丈夫なんだね」

「ええ、お気になさらず。もし、行き違いがあり、追手がかかる事があれば、私が対処します」

「わかった。じゃあ一緒に行こう。あ、それと『巫女姫』呼びはやめてね。ココって呼んで」

「ココ様ですね。わかりました」

「様はなしで、『ココ』って呼んで。せっかく変装してるんだから、絶対だよ」

「ココと呼んでよろしいのですね」

「そう、絶対だから」

 ビシッと指を突き付けて、二人を見た。

「「分かりました。ココ」」

 物分かりの良い二人は直ぐに理解してくれた様だ。

 昔、私が言った『エリザベス』の名は、最初っから冗談だと思っていた様で、ロドリゴはあんな性格なので、面白がってそう呼んでいただけだったらしい。

「それでは、もう一つ、ロドリゴの事ですが・・・」

「ん?呼ばなくていいから」

「はい。ロドリゴの亡くなった母親は現王の妹君です。様々な要因が絡み、彼の立場は複雑です。そっとしておいた方が宜しいかと思います」

「・・・うん、そうするよ」

 もちろん、そうするよ。ロドリゴってメンドクサイから。


 ムーランはこの国の詳細な地図を持っていた。羊皮紙に描かれた詳細な物だ。

 今後の動き方を話合う時に、テーブルに広げて見せたのだ。

「わぁ~いいなぁ、いいなぁ。これっていくらくらいする?」

 私は昔から地図を見るのが好きだ。その地図はとてもよく出来ていた。

「価格ですか?そうですねえ、家の屋敷を建てる位ですかね、欲しいですか?」

「・・・いらない」

 なんだソレ、いいかげんにしろ、ムーランの家ってすごい豪邸。そんなんいらんわ、ギルドのタダ地図でいいよ。

「ココ、私も同じ物を持っています。貴女に差し上げましょう」

 横から差し出されたアスランテの持つ地図におののく。

「だっ、駄目だよ、アスランテ。そんな物貰えないよ」

「―――――貴女に必要が無いならば、燃やしてしまいましょう」

 いきなりアスランテが、地図に人差し指を寄せて来たので、『燃やす気だ!本気だ!』と思った。

「もっ、もらう!やっぱ欲しい!。・・・でも、アスランテのがなくなるじゃん」

「ココが持っていれば、二人で見れますよ」

 と、極上の微笑みを大安売りしてくる。

「う、うん。じゃあ、二人で見ようね」

「はい。そうしましょう」

 この場は丸く収まった。


 だが、これから旅をするに辺り、大きな問題が浮上した。

 ハンターと一緒にヤトも私達に加わる事になったのだが・・・。

「ココ、貴女が男性と二人でテントを使うのは了承できません」

「えっ、でも仕方ないじゃん」

「いいえ、いけません。シオウも男子ですので、ある程度大きくなれば分けなくてはいけません」

 この件は、特に、アスランテに強く要望された。

 ハンターとヤトは二人の持つテントで寝る事になった。

「そりゃー、俺は女の子のココと一緒にテントで眠るのは抵抗あったし、分けてもらった方がいいな」

 えっそうなの?ハンターに言われて初めて知った。『女の子』扱いしてくれてたんだなあ。

 ムーランとアスランテの二人共、持っているリュックはマジックバッグだという。なるほど旅の支度はリュック一つしか持っていない。バッグの容量は底なしではないそうだが、三賢人ともなればそれなりの物をもってるんだなと思った。

 そう言えば、四人で旅していた時は野営の時は馬車で移動していた。私は馬車に寝床を作って眠り、他三人は周りにそれぞれテントを張っていた。懐かしい話だ。

 今回も馬車を使うという事も考えたが、その時々で考えれば良いだろうという話になった。

 だいたい、『とり残された地』は道も狭く馬車が入り込めないような場所が多いのだ。

 明日には村を出て先に進む事になる。


 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】 佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。 新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。 「せめて回復魔法とかが良かった……」 戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。 「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」 家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。 「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」 そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。 絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。 これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。

【完結】そして異世界の迷い子は、浄化の聖女となりまして。

和島逆
ファンタジー
七年前、私は異世界に転移した。 黒髪黒眼が忌避されるという、日本人にはなんとも生きにくいこの世界。 私の願いはただひとつ。目立たず、騒がず、ひっそり平和に暮らすこと! 薬師助手として過ごした静かな日々は、ある日突然終わりを告げてしまう。 そうして私は自分の居場所を探すため、ちょっぴり残念なイケメンと旅に出る。 目指すは平和で平凡なハッピーライフ! 連れのイケメンをしばいたり、トラブルに巻き込まれたりと忙しい毎日だけれど。 この異世界で笑って生きるため、今日も私は奮闘します。 *他サイトでの初投稿作品を改稿したものです。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

【完結】転生白豚令嬢☆前世を思い出したので、ブラコンではいられません!

白雨 音
恋愛
エリザ=デュランド伯爵令嬢は、学院入学時に転倒し、頭を打った事で前世を思い出し、 《ここ》が嘗て好きだった小説の世界と似ている事に気付いた。 しかも自分は、義兄への恋を拗らせ、ヒロインを貶める為に悪役令嬢に加担した挙句、 義兄と無理心中バッドエンドを迎えるモブ令嬢だった! バッドエンドを回避する為、義兄への恋心は捨て去る事にし、 前世の推しである悪役令嬢の弟エミリアンに狙いを定めるも、義兄は気に入らない様で…??  異世界転生:恋愛 ※魔法無し  《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、ありがとうございます☆

王女様は温かいごはんが食べたい ~冷えた王宮料理を変えたら、オープンキッチンと政略婚約がついてきました~

しおしお
恋愛
異世界の王女リリアーヌは、前世の記憶を持つ転生者。 豪華絢爛な王宮で暮らし始めた彼女だったが、ひとつだけどうしても耐えられないことがあった。 ――食事が、冷めているのだ。 どれほど立派な料理でも、ぬるいスープや冷めた肉ではホッとできない。 「温かいごはんが食べたい」 そのささやかな願いを口にしたことから、王宮ではなぜか大騒動が巻き起こる。 地下厨房からの高速搬送。 専用レーンを爆走するカートメイド。 扉の開閉に命をかけるオープナー。 ついには食堂に火を持ち込むオープンキッチンまで誕生して――!? 温かさは、ホッとさせてくれる。 それは料理だけではなく、人との距離まで少しずつ変えていくものだった。 冷えた王宮に湯気と笑顔を取り戻す、 食と温かさをめぐる宮廷日常コメディ! -

「婚約破棄された転生令嬢ですが、王城のメイド五百人に慕われるメイド長になりました。なお元婚約者は私のメイドに土下座中です」

まさき
恋愛
社畜OLとして過労死した私は、異世界の令嬢・アリア・ヴェルナーに転生した。 目が覚めたら、婚約破棄されていた。 理由は「地味で面白みがない」から。 泣く暇もなかった。翌朝、王城のメイド採用面接に向かった。 最初は鼻で笑われた。雑用係からのスタートだった。 でも——前世で叩き込まれた仕事術と、一人ひとりの話を聞く姿勢で、少しずつメイドたちが集まってきた。 厨房が変わった。リネンが変わった。王城全体が変わっていった。 そして就任スピーチで宣言した。 「500人全員の名前を、覚えます」 冷酷と噂される王太子は、静かに見ていた。 悪役令嬢は妨害を仕掛けてきた。 元婚約者は——後悔し始めていた。 婚約破棄された令嬢が、500人に慕われるメイド長になるまでの物語。 なお元婚約者は、私のメイドたちの前で土下座中です。

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

処理中です...