断罪された大聖女は死に戻り地味に生きていきたい

花音月雫

文字の大きさ
128 / 135
最終章

死にましたわ

しおりを挟む
「......ラ......イラ......」

誰が私を呼んでますわ。

「......アイラ!」

この声は!!
私はゆっくりと目を開けました。
目の前には美丈夫のルカさんが心配そうな顔をして私を見下ろしていますわ。

え?え?
私は死んだのではないのですか?
それとも......。

「ルカさん⁉︎私、失敗してあの世界が壊されてしまいましたか⁉︎」

ガバッと起き上がりルカさんの胸ぐらを思わず掴んでしまいました。

「違う、違う。大丈夫だよ?全部上手くいった。バルトカピは死んだんだ」

ほっ。良かったですわ。
これであの世界も守れて違う『ジゲン』とやらも守れましたのね。

ん?この何も無い真っ白な空間に見覚えがありますわ。
生と死の狭間ではないですの?
なのにルカさんが一緒とはどういう事ですか?

「ルカさん?もしや......」

「うん。その『もしや』だよ。ごめんね。もう『命の契約』はかけないでって言われたけど心配でかけてたんだ。俺には戦う力が無いからアイラを守る為にはこれしかなかったから......」

な、な、なんて事でしょう!

「ルカさん!貴方は死んでは駄目ですわ!あの国には絶対に必要な人なのです!」

「それはアイラだって同じだよ?それに神子はもう1人居るじゃないか。でも大聖女様はアイラしかいない」

「アクアなんて元は悪魔ですわ。きちんと神子様の仕事をしてくれる保証はないですもの......」

「酷い言われようだね。アクアとは信頼関係があるんじゃないの?小さい頃から契約してた悪魔だろう?」

ルカさんはぷっと吹き出して笑っています。

「そうですけれど。それよりも今はルカさんの事ですわ!」

「いや、その前に言わせてもらう」

ルカさんがキッと私を睨みましたわ。

「何故、誰にも相談せずに死ぬなんて事をしたんだよ⁉︎俺が命の契約してたから良かったものの、そうでなければ確実に死んでただろう⁉︎誰かに相談していればもしかしたら死ぬ事は回避出来たかもしれないし誰か良い案を出してきたかもしれないのに!アイラは1人で抱え込み過ぎるよ?いいか?現世に戻ったら皆んなを頼るんだ!分かった?」

「でもお師匠さん......バルに詳しい方に相談したら死ぬしか解除方法はないといわれたので......」

「そんな事分からないだろう⁉︎その人はそう思ってたかもしれないけど今ならバルトカピに詳しい人だって探せばいたかもしれないしもしかしたら聖騎士の中にだっていたかもしれないだろう?」

ううう。そうかもしれませんが。

「ふふふ......。何か島でキルジーさんの所に居た時を思い出してしまいましたわ。あの頃も私、結構ルカさんに怒られてましたわよね。懐かしいですわ」

「ああ。そうだったな......。って話を逸らすなよ?もう俺は死ぬからアイラに助言が出来ない。だから真剣に聞いて......」

私はルカさんの口を両手で塞ぎました。

「生き返ったら全て私の悩みを聞いてもらいますもの。ルカさんに頼って、頼って、もういい加減自分で考えろ!って怒られるぐらい相談しまくりますわ!だからルカさんは死んでは駄目ですの」

「何を言ってるんだ。命の契約は絶対だ。俺は死んだ」

「その契約を無効に出来る方が1人いらっしゃいますの」

「え?」

「ここは生死の狭間ですのよ?私、前にも来たことがありますの」

「もしかして1回目の人生ってやつか?」

「そうです。今の人生は2回目なのですわ。1回目は色々ありまして処刑されましたの。あ、でも私は何も悪い事はしていなかったのですわ。無実だったのですけれどね」

「そんな!無実なのに処刑されたのか?」

ルカさんが怒ってくれていますわ。
何かもうそれだけで報われたような気がします。

「ふふふ。もういいのです。2回目はルカさんともお知り合いになれたし色々良い事もありました。ありましたけれど」

私は力一杯息を吸ってから叫びました。

「神様ぁぁぁぁぁぁ!!私、今回は大聖女として役目を果たしたと思いませんかぁぁぁ?この『ジゲン』を守ってあの男とも幼少の頃から対峙してきましたし!ですがぁぁぁぁぁぁ!貴方が送ってきたミカエル様は全然役に立っていないと思いますがどうですの?確かに私を真の変態のお兄様からは助けてくれていましたけれど!そこは感謝しておりますわ!」

一気に言い切ったのではぁ、はぁ、と肩で息をしている私の背中をポンポンと優しく叩いてくる人がいました。

「それに関してはその通りだ。何も反論はない」

振り返るとミカエル様が立っていましたわ。

「あ、別に悪口を言っていた訳ではないのですわ。神様にきちんとお伝えしないとと思いまして......」

「まぁ、そうだな」

「あの男はどうなりましたの?」

ミカエル様がここに来ているという事はあの男がどうなったか気になるではないですか?

「バルトカピの毒でもう魔力が使えなくなってな、天界送りだ。天界に戻ったら一生牢獄だ」

え⁉︎天使の一生なんて途方もないぐらい長いのでは?それが罰というものですわね。

「良かったですわ。これでもうあの世界を壊そうなんて人は出てきませんわよね?それでですねぇぇぇぇ!!神様ぁぁぁぁぁぁ!成り行きでバルになりあの男を不能にさせたのは私ですの!だから私のお願いを一つで良いので利いてはもらえないですかぁぁぁ!!」

「おい。そんなに大声を出さなくとも聞こえているぞ」

ミカエル様がため息混じりに私に言いましたわ。え⁉︎まさか......。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。

石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。 実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。 そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。 血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。 この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。 扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

美少女に転生して料理して生きてくことになりました。

ゆーぞー
ファンタジー
田中真理子32歳、独身、失業中。 飲めないお酒を飲んでぶったおれた。 気がついたらマリアンヌという12歳の美少女になっていた。 その世界は加護を受けた人間しか料理をすることができない世界だった

処理中です...