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37 ハンスとナディオ4
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こちらが将来クラーラが関わり合うだろうと、ヘインズの名を出さない様にしていた。
それとは逆にナディオはまるで印象付けるかの様に、ブツブツとヘインズ子爵領ではと繰り返す。
この様な上位貴族が集まる場で悪印象を与えてどうするつもりか知らないが、本当にナディオの行動全てが腹立たしい。
そんな俺が何かを言う前に、バートがナディオに言った。
「私が聞いたのとはまるで真逆だな。私が我が領地に戻る際ヘインズ子爵領に立ち寄ったが、ロンバード男爵とナディオ、クラリスの評判は酷かった。あまりの悪評に誰かに恨まれてあらぬ噂を流されたのかとも思ったが、ただただ真実だったのだな」
バートは呆れた口調で断言した。
その話はバートから既に忌々しげに報告されている。
普通知らない者が聞いたなら、一笑に付す程貴族としてありえない事だった。
しかし、先刻の愚かな二人をこの場にいる者達は見ている。
ナディオとバートのどちらの言葉を信じるかは明白だった。
「そんな事はない。わがままなのも愚かなのもクラーラだ。俺はそれを正してやっている。正しいのは俺だけだ」
ナディオはまるで嘘を言い当てられた子供の様に喚き、口を開けば開く程墓穴を掘っていった。
ナディオは気づかないのだろうか。
ここに居る貴族が、侮蔑から汚物やゴミを見る様な最早人に向ける視線ではなくなっている事に。
最初から大半がクラーラに同情的だった。
しかし婚約者を制御出来ていない為だろう、批判的な眼差しも少数だがあった。
今ではそれら全ても同情の眼差しに変わっていた。
当たり前だ、こんな痴れ者を夜会デビューしたての少女がどうこう出来ると思わないだろう。
この会場内では、クラーラが一番年下なのだ。
ナディオの言動はそれ程までに自分勝手で、貴族として恥ずべきものだった。
クラーラの名誉回復には、まだ少し足りないかもしれないが時間切れだな。
目の端に頼んていた侍従とバートが呼んだのだろう追加の警備担当が見えた。
「自分の行いを正当化するのは勝手だが、この場で貴族らしからぬ言動を繰り返す。ナディオは、王族に不敬を働き続けている事に気付かないのか」
「違う、そんなつもりは無い」
「ナディオにそのつもりがなくてもそれが全てだ。ここは王太子が主催する夜会なのだから。そしてそろそろ周りの評価も自覚した方がいいぞ」
そこでやっと気づいたのか、ナディオは周りを見渡した。
どれだけ鈍いのかと呆れるが、違うんだと繰り返しながら崩れ落ちるナディオは滑稽でとても無様だった。
それとは逆にナディオはまるで印象付けるかの様に、ブツブツとヘインズ子爵領ではと繰り返す。
この様な上位貴族が集まる場で悪印象を与えてどうするつもりか知らないが、本当にナディオの行動全てが腹立たしい。
そんな俺が何かを言う前に、バートがナディオに言った。
「私が聞いたのとはまるで真逆だな。私が我が領地に戻る際ヘインズ子爵領に立ち寄ったが、ロンバード男爵とナディオ、クラリスの評判は酷かった。あまりの悪評に誰かに恨まれてあらぬ噂を流されたのかとも思ったが、ただただ真実だったのだな」
バートは呆れた口調で断言した。
その話はバートから既に忌々しげに報告されている。
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しかし、先刻の愚かな二人をこの場にいる者達は見ている。
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ナディオはまるで嘘を言い当てられた子供の様に喚き、口を開けば開く程墓穴を掘っていった。
ナディオは気づかないのだろうか。
ここに居る貴族が、侮蔑から汚物やゴミを見る様な最早人に向ける視線ではなくなっている事に。
最初から大半がクラーラに同情的だった。
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今ではそれら全ても同情の眼差しに変わっていた。
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「違う、そんなつもりは無い」
「ナディオにそのつもりがなくてもそれが全てだ。ここは王太子が主催する夜会なのだから。そしてそろそろ周りの評価も自覚した方がいいぞ」
そこでやっと気づいたのか、ナディオは周りを見渡した。
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