【完結】婚約破棄はお受けいたしましょう~踏みにじられた恋を抱えて

ゆうぎり

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47 ヘインズ子爵とバンデルン侯爵

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 私は、喉の奥に何かがつまっている様な違和感を感じながら、ロンバード男爵が騎士に連れられて行くのを見送った。

「ヘインズ子爵、大丈夫か?」
「喉に少し違和感がありますが、先程執事が部屋を出ていきました。そのうち主治医を連れてくるでしょう」
「そうか」

 侯爵の短い言葉の中に、労りが感じられた。

 少し経ち主治医が診察したが、安静を言い渡されてしまった。
 思っていたより、私の体は疲れていた様だ。
 ままならない体をベッドに運んだ。


 主治医に従いベッドに横たわっていた私の所に、侯爵がやって来た。
 騎士への指示を済ませたのだろう。
 私が態勢を変えようと上体を起こしかけた所で、侯爵に声をかけられた。

「時間は取らないつもりだ。子爵はそのまま無理せず聞いてくれるか?」
「お気遣いありがとうございます。本来失礼となりますが、このままとさせて頂きます」

 侯爵はこれからの事を話し出した。
 隣国との事業の事や今後の鉱山のやり取り。
 今回のロンバード男爵の件で、ヘインズ子爵家にどのようなお咎めがあるかの予想など。

「すまぬな……」
「何がでしょう?」

「子爵にも言いたい事が山ほどあっただろう」
「まあありましたが。しかし、事前に話し合い侯爵にお任せしたではありませんか」

「そうだな……」

 病弱で見くびられている私より、事業家であり遥かに上位である侯爵の方が、話の主導権を握れると判断しての事だ。
 間違っていなかったと終わった今でも思う。


「これを渡しておこう」

 侯爵から渡されたそれは、茶色の小さな粒状の物が入った小瓶だった。

「これは何でしょう?」
「最近隣国で開発された滋養に効く薬だ。評判が良いので買ってきた」

 この国の薬は、水薬か粉薬だ主で粒状の物は見かけない。

「ありがとうございます」
「なに、子爵にはクラーラの花嫁姿を見て貰わねばならね。セーラに報告の義務があるからな」

 優しい目は、亡くなったセーラを思っての事か。

「クラーラの事だが、早急に次の婚約者を決めねばならぬ」
「今回の件があるのですから、急がなくてもよろしいのでは?」

「そういう訳にもいかぬのだ。私でも断われね所から打診が入りかねない。クラーラの性格では務めるのは難しかろう」

 クラーラは優しすぎる。
 侯爵が断れないということは、どこかの王室からだろう。

「そうですね……では、私はバート・カルドラシオ辺境伯子息を推しましょう」

 私はクラーラとバート殿の事を話した。
 侯爵も最近隣国で会っているらしく、好感を持っているようだった。


「では、ゆっくり休め」

 侯爵が部屋を出ていき、慌ただしく人が動く気配が消える頃私は眠りにおちた。




 まさか同日に、ナディオが王太子に無礼を働いていたなど思いもしなかった。



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