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プロローグ 戦火の回復職
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「待ってください」
僕は、どうしても戦いに戻ろうとする、さっきの兵士に声をかけた。
「この状態のまま戦うのは危険です。せめてもう少し回復させて下さい」
兵士がうなずいたので、再び『リカバー』を唱える。
これで六割程度の回復といったところか。
「すごいな、かなりよくなった! これで普通に戦える。――ユウト、礼を言うのを忘れていた。ありがとう、本当に助かったよ」
兵士は笑顔で言った。
心から感謝している、そんな表情だ。
瀕死の患者を救った医者ってこんな気分なのかな?
現実世界では人助けなんて偽善だと斜に構えていたけれど、実際に感謝されると案外悪くない。
むしろ純粋にうれしい。
とはいえ、喜んでばかりもいられなかった。
いくら治療しても負傷した兵士の数は増える一方だからだ。
と、そこへ――
「ユウトさん、大丈夫ですか? あまり無理しすぎないでくださいね」
王女アリスに付き添う貴族の娘、リナが様子を見にやって来た。
転移早々に出会った彼女は、なぜか現実世界で僕を振った幼馴染の理奈にそっくりなのだ。
こちらの世界でも変わらず明るく可愛いいリナ。
だが、もしもこのまま僕たちが戦いに敗北すれば、その先に待つのは“死”あるのみ。
せっかく親しくなったリナともお別れになってしまう。
そんな最悪の事態を避けるために、何とかして敵の包囲網を突破する方法を考えねばならないのだが――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
異世界にやって来てまだ間もないのに、こんな危機的な状況に陥るとはまさか思ってもみなかった。
もしかしたら、ただの悪い夢――?
本当にそれならそれでよいのだけれど、どうやらこれは現実に起こっていることらしい。
じゃあ、そもそもなぜ自分=有川優斗が、こんな異世界の戦場で回復役なんかをやっているかというと――
話は僕が実際の現実世界にいたころに遡る。
僕は、どうしても戦いに戻ろうとする、さっきの兵士に声をかけた。
「この状態のまま戦うのは危険です。せめてもう少し回復させて下さい」
兵士がうなずいたので、再び『リカバー』を唱える。
これで六割程度の回復といったところか。
「すごいな、かなりよくなった! これで普通に戦える。――ユウト、礼を言うのを忘れていた。ありがとう、本当に助かったよ」
兵士は笑顔で言った。
心から感謝している、そんな表情だ。
瀕死の患者を救った医者ってこんな気分なのかな?
現実世界では人助けなんて偽善だと斜に構えていたけれど、実際に感謝されると案外悪くない。
むしろ純粋にうれしい。
とはいえ、喜んでばかりもいられなかった。
いくら治療しても負傷した兵士の数は増える一方だからだ。
と、そこへ――
「ユウトさん、大丈夫ですか? あまり無理しすぎないでくださいね」
王女アリスに付き添う貴族の娘、リナが様子を見にやって来た。
転移早々に出会った彼女は、なぜか現実世界で僕を振った幼馴染の理奈にそっくりなのだ。
こちらの世界でも変わらず明るく可愛いいリナ。
だが、もしもこのまま僕たちが戦いに敗北すれば、その先に待つのは“死”あるのみ。
せっかく親しくなったリナともお別れになってしまう。
そんな最悪の事態を避けるために、何とかして敵の包囲網を突破する方法を考えねばならないのだが――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
異世界にやって来てまだ間もないのに、こんな危機的な状況に陥るとはまさか思ってもみなかった。
もしかしたら、ただの悪い夢――?
本当にそれならそれでよいのだけれど、どうやらこれは現実に起こっていることらしい。
じゃあ、そもそもなぜ自分=有川優斗が、こんな異世界の戦場で回復役なんかをやっているかというと――
話は僕が実際の現実世界にいたころに遡る。
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