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第十六章 魔女の正体

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「おっと、ロードラントのボンクラども。手を出すんじゃないよ!」
 ヒルダがドスの利いた声で威嚇いかくする。
「もしそこから動いたら、オマエたち全員を即『アストラル』の中に放り込んでやる。ワタシはユウトの度胸を試したいんだ」

「聞いたかユウト? 殺れ、ユウト、殺れ、殺っちまえ!」

 誇り高き竜騎士とは思えない乱暴で扇動的な声――
 ヒルダの圧倒的な魔法の前に追い詰められ、みんな理性を失いつつあるのだ。

 が、それは僕も同じ。
 頭に血が上って思考はほぼ停止状態、リナを救うため前に突き進むことしか考えられなくなっていた。

 度胸試しか。
 いいだろう、やってやる!

 らなければ、られる。
 リナを救うためにヒルダを殺す。
 ただそれだけのことだ。

 僕はかっと目を見開き――

「うおーーーーーー!!!」

 声にならない雄叫びを上げ、ヒルダに向かって走り出した。
 ショートソードを構え、ヒルダの真っ白な胸を狙う。

 しかし――

「シャノン!!!!」
 ヒルダが大声で叫んだ。

 その刹那、視界に黒い影が入った。
 ヒルダの叫んだ直後、いや、もしかしたらそれより一瞬早く、シャノンが僕の前に飛び込んできたのだ。

「てやっ!」

 シャノンは僕のショートソードを刀でなぎ払い、そして言った。

「ユウト、今きみから本物の殺気を感じた」

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