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第十八章 バロンの城
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「敵? 追っ手? ふーん、要するに近くでまた戦争があったってわけね? ――ダメよ! この城に争い事は一切持ち込ませないから!」
「舐めるな! このデュロワ城はお前のモノではない。れっきとしたロードラント王家所有の城だ。それに我々はアリス様をご一緒にお連れしているのだぞ! 衛兵から聞かなかったのか?」
「え!? アリス王女様を!」
男爵はそれは初耳だったらしく、大きな目をさらに大きく丸めた。
「どこよ!? どこにいるの!?」
それを聞いたリナが、
「こここです! 私はここにいます!」
と叫び、僕を置いたまま馬から飛び降りて前へ出た。
男爵はリナに危害を加えるような人じゃなさそうだけれど、それでも僕は一応王女の護衛だ。
続けて馬を降り、リナの後を追うことにした。
「……あら」
マティアスの横に立ったリナを、男爵はジロジロと見る。
「私が王女様と最後にお会いしたのは、王女様がまだ八つの時だったけれど……」
男爵はしばし考え、それからビシッと勢いよくリナを指差した。
「ソイツはニセモノ! 真っ赤なニセモノ! どこぞの間抜けのは騙せても、アタシの目は誤魔化せないわよ!」
「……え!」
男爵に見事に言い当てられ、リナは体をビクッと震わせた。
魔女ヒルダにさえ見破れなかった仮面を一瞬で剥がされ、動揺してしまっている。
「言っちゃ悪いけど、本物の王女様はあたよのようなブサイクではないわ」
と、男爵はべらべら言いたい放題だ。
「王女様はもっとずっと美人で高貴で、生まれながらにして女王の風格を身にまとっているの! ――アンタたち、替え玉を用意するとしても人選を間違ったわね。他にもっといくらでもマシな女がいたでしょうに」
「舐めるな! このデュロワ城はお前のモノではない。れっきとしたロードラント王家所有の城だ。それに我々はアリス様をご一緒にお連れしているのだぞ! 衛兵から聞かなかったのか?」
「え!? アリス王女様を!」
男爵はそれは初耳だったらしく、大きな目をさらに大きく丸めた。
「どこよ!? どこにいるの!?」
それを聞いたリナが、
「こここです! 私はここにいます!」
と叫び、僕を置いたまま馬から飛び降りて前へ出た。
男爵はリナに危害を加えるような人じゃなさそうだけれど、それでも僕は一応王女の護衛だ。
続けて馬を降り、リナの後を追うことにした。
「……あら」
マティアスの横に立ったリナを、男爵はジロジロと見る。
「私が王女様と最後にお会いしたのは、王女様がまだ八つの時だったけれど……」
男爵はしばし考え、それからビシッと勢いよくリナを指差した。
「ソイツはニセモノ! 真っ赤なニセモノ! どこぞの間抜けのは騙せても、アタシの目は誤魔化せないわよ!」
「……え!」
男爵に見事に言い当てられ、リナは体をビクッと震わせた。
魔女ヒルダにさえ見破れなかった仮面を一瞬で剥がされ、動揺してしまっている。
「言っちゃ悪いけど、本物の王女様はあたよのようなブサイクではないわ」
と、男爵はべらべら言いたい放題だ。
「王女様はもっとずっと美人で高貴で、生まれながらにして女王の風格を身にまとっているの! ――アンタたち、替え玉を用意するとしても人選を間違ったわね。他にもっといくらでもマシな女がいたでしょうに」
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