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第二十四章 油断
(12)
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僕はリナとグリモ男爵に事情を簡単に説明した。
「実はお二人が戦いの様子に気を取られている間、この『炎の壁』を打ち消すため何度か『ブレイク』という白魔法を唱えてみたんです。けれどミュゼットの魔力が強くて、どうしても壁を壊すことができませんでした。かといって無理にでも乗り越えようとしたら、みんな確実に焼け死にます』
「あら、それならユウちゃん」
と、男爵が言った。
「ここから壁越しに魔法を唱えればいいんじゃない? ミュゼットまで届く何かいい魔法はないの?」
「いいえ男爵様、それも残念ながら無理なんです。このファイアウォールはただの炎の壁じゃない。強固な結界になっていて、僕がどんな魔法を使おうがすべてかき消されてしまいます」
「ええっ、そうなの!?」
「はい、つまり今、ミュゼットさんとハイオークは高い壁に囲まれた箱庭の中で戦っているようのもので、こちらからは一切手出しができません。だから何とか彼女に結界を解除してほしいんですが……」
「そうよねぇ。でもあの子、意地っ張りだから……」
男爵が顎に手を当ててため息を漏らす。
すると、僕と男爵の会話を聞いていたリナが、突如壁の前に駆け寄りミュゼットに大声で呼びかけた。
「ミュゼットさん!! いいですか? ハイオークの弱点は頭ですよ!! そこをよーく狙ってください!!」
「んー!」
ミュゼットは相当疲れが出てきらしく、はぁはぁと肩で息をしながら返事をした。
「そんなことボクもとっくに分かってるよ~。でもコイツ、頭に魔法を当ててもビクともしないんだもん!」
その通り、確かにミュゼットは、さっきから『フレイムショット』の炎の弾丸をハイオークの顔と頭に何発か命中させていた。
が、それでもハイオークはへっちゃらだった。
おそらく、特効武器の『オーク殺し』ですら貫通できなかった固い皮膚と頭蓋骨に阻まれ、唯一の急所である脳まで炎の弾丸が届いていないのだろう。
となると、今のままでは限りなくまずい。
ミュゼット一人では、ハイオークは絶対に倒せないということからだ。
「実はお二人が戦いの様子に気を取られている間、この『炎の壁』を打ち消すため何度か『ブレイク』という白魔法を唱えてみたんです。けれどミュゼットの魔力が強くて、どうしても壁を壊すことができませんでした。かといって無理にでも乗り越えようとしたら、みんな確実に焼け死にます』
「あら、それならユウちゃん」
と、男爵が言った。
「ここから壁越しに魔法を唱えればいいんじゃない? ミュゼットまで届く何かいい魔法はないの?」
「いいえ男爵様、それも残念ながら無理なんです。このファイアウォールはただの炎の壁じゃない。強固な結界になっていて、僕がどんな魔法を使おうがすべてかき消されてしまいます」
「ええっ、そうなの!?」
「はい、つまり今、ミュゼットさんとハイオークは高い壁に囲まれた箱庭の中で戦っているようのもので、こちらからは一切手出しができません。だから何とか彼女に結界を解除してほしいんですが……」
「そうよねぇ。でもあの子、意地っ張りだから……」
男爵が顎に手を当ててため息を漏らす。
すると、僕と男爵の会話を聞いていたリナが、突如壁の前に駆け寄りミュゼットに大声で呼びかけた。
「ミュゼットさん!! いいですか? ハイオークの弱点は頭ですよ!! そこをよーく狙ってください!!」
「んー!」
ミュゼットは相当疲れが出てきらしく、はぁはぁと肩で息をしながら返事をした。
「そんなことボクもとっくに分かってるよ~。でもコイツ、頭に魔法を当ててもビクともしないんだもん!」
その通り、確かにミュゼットは、さっきから『フレイムショット』の炎の弾丸をハイオークの顔と頭に何発か命中させていた。
が、それでもハイオークはへっちゃらだった。
おそらく、特効武器の『オーク殺し』ですら貫通できなかった固い皮膚と頭蓋骨に阻まれ、唯一の急所である脳まで炎の弾丸が届いていないのだろう。
となると、今のままでは限りなくまずい。
ミュゼット一人では、ハイオークは絶対に倒せないということからだ。
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