上 下
36 / 55

回復魔法

しおりを挟む
 アーリさんと共に騎獣舎へと入る。その間色々と話をしてくれた。

「大変だったのね。もう大丈夫よ」

 頭を優しく撫でてくれた……けれど、話したのはちょっと嘘が混じってる。アニスさんから言われてたわたしの。だから少し気まずくなってしまう。

「大丈夫?」
「あ…はい」

 いけない。少し俯いてしまっていたようだ。心配かけないようちゃんとしないと…!

「なら、いいけど。とりあえず一通りの説明はしたのかしら?」
「えっと…詳しいことは…まだ。すいません…」
「別に謝ることじゃないわ。なら、今日はここの案内でもしましょうか」
「お願いします」
「ええ、任せて」

 ニッコリとアーリさんが微笑んだので、わたしも笑みで返した。

「まずここの説明かしらね。ここ騎獣舎は、城で働くヒト達の騎獣を世話しているわ」

 それはボッジさんからも聞いたことなので、頷く。

「で、一概に世話って言っても色々とあってね。いる檻の清掃や、食事。怪我の手当てとか、まぁそんな感じで他にも細々としたものがあるわ」
「怪我…」
「ええ。騎獣はたまに実戦に参加することもあるから、その時の怪我ね。たまにじゃれて怪我をしていたりもするわ。怪我をしていた場合、回復魔法が使えるのならそれで対処するんだけど、出払っていた場合はポーションなどで治療するわ」
「アーリさんは回復魔法使えるんですか?」
「わたし?一応使えるけれど、弱いからいつもはポーションを使ってるわ」

 弱いとは言うけれど、回復魔法を使えるだけでも凄いと思う。ちょっと聞いたけれど、魔族で回復魔法を使えるヒトは少ないらしいから。

「……あら?またいるわ」
「え?誰がです?」
「ほらあそこ。の」

 ………え?

 
 
しおりを挟む

処理中です...