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8話 ばれちゃった?
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数時間くらいの探索の末、宝箱は何個か見つかった。ここまで見つかるとなると、もしかしたら私がさっきまでいた所にも探せばあったのかもしれないね。
ちなみにそのうち二つ程はミミックだった。顔面からバクっといかれたけど、多少ビックリしたくらいで一切痛くなったのは幸いかも。無論容赦無く内部から破壊させてもらった。
(ふぃー…ちょっと休憩しようかなぁ)
疲労感は無いけれど、暫く歩いたから何となくね。でもここまでの道中、あの拠点みたいな場所は見かけなかった。あるとすればちょっと広めの空間が何個か?
一先ず見つけていたその空間まで歩みを進める。宝箱からの収穫は上々。これならいつまた人間に会っても問題無い…無い? いや、言葉が通じない問題が解決してないわ。
(まぁ予定通り最初は文字で試してみるか)
言葉が聞けるのだから文字も伝わってくれると信じたい。
テクテクと歩いていくと、ふと私の優秀な鼻が普段とは違う匂いを嗅ぎ付ける。微かな残り香だけれど私には誤魔化せないんだよ。
辺りに漂う鉄の様な匂い。これは恐らく血の匂いだ。ミスズさんを助けた時にも嗅いだ覚えがあるから間違いないはず。
とするとまた誰かが死にかけてるのかな……私そういう出来事を呼び寄せる体質だったりする? それは流石に無いと信じたいよ?
消えかかっている匂いを辿っていく。というかこれわざと匂いが消されてるっぽい? なんか魔力みたいなの感じるし。
となると時間は残されていないね。普通に消えるより早く消えてしまう可能性が高い。
(弱みにつけ込むみたいだけど…それが一番手っ取り早いもんね)
普通に出会っただけじゃ対話の余地もない。なら死にかけの人間を助けて無害アピールするのが一番楽だ。……我ながら悪魔みたいな発想だな。まぁ流石に自作自演じゃないだけマシか。……マシか?
「――――ッ!」
「――っ!?」
おっと。どうやら大分近付いたようで、微かに声が聞こえてきた。その声色には悲痛の色が濃い。少し急いだ方が良さそうだ。
「―――リアッ! ミリアッ! くそっ!」
「気をしっかり持って!」
そのまま匂いを辿れば、鮮明な叫び声が聞こえてきた。ミリアっていうのは多分危篤状態になっている人の名前だろう。でもミリアか……日本人っぽくはない名前だね。
「ありったけのポーション使え! まだ助かる!」
その声と共にやっと目的の場所に辿り着いた。そこは少し開けた空間になっていて、その端の方で数人の人間が集まっているのが見える。
取り敢えず近付いてみようと足を踏み出すと、フワッと何か膜のようなものを突き破った感覚が。あ、これ不味そう。
「ッ!? 全員警戒!」
「クソッ! 構ってる暇ねぇのに!」
「二人は警戒。俺がミリアを!」
あーあ……これ索敵系のトラップだ。一瞬で私が入ってきた入口に全員が鋭い目線を向ける。これは近付いて治療とかは無理そうかな。
とはいえ相手は私の存在には気付いても私の姿は見れないみたいで、ちょっと困惑気味だ。
「ほんとに居るのか?」
「結界を破られたのよ。絶対いるわ」
んー…これ私が姿見せた瞬間襲いかかってきたりしない? ここまで警戒されると迂闊に姿見せられないなぁ…仕方無い。宝箱から拾った、恐らく回復薬だと思われるものを出して様子見しようか。
出す場所はある程度自由が利くから、私からちょっと離れた所、つまりこっちを睨んでる人間により近い場所に回復薬(仮)を取り出す。その瞬間ビクッとこちらを警戒していた二人の肩が跳ねた。
「ポーション…?」
「味方か? いやだが…」
「ゲホッ!」
「ッ! ミリアっ!?」
後ろで寝かせられていた女の人が咳き込みながら血を吐く。もう時間はあまりなさそうだ。お願い、信じて……!
「俺が取りに行く」
「ガレフ!?」
「アリーシャは援護だ。行くぞ」
ガレフと呼ばれた男の人が、決死の表情を浮かべてジリジリとにじり寄って来る。わたしわるいおおかみじゃないよ。大丈夫、大丈夫。
当然私に何かするつもりがないので、恐る恐る回復薬…ポーションだっけ? それに手を伸ばしても何も起こらない。
「よしっ」
「ガレフ! 早く!」
「ああ!」
無事一本を手に入れた事で安心したのか、ガレフさんが全てを持って急いでミリアさんの方へと走っていく。でもアリーシャさんはこっちを睨んだままだ。信用ないなぁ……。
「っ!? 中級ポーションか! これなら…!」
おぉ、数が少なかった方はどうやら中級だったみたいだ。躊躇いなくその蓋を外すと、ミリアさんへどばどばと掛けていく。その瞬間痛々しい傷口から白い光が溢れ出し、士気色だった顔が次第に血の気を取り戻していくのが見えた。どうやら間に合ったみたいだ。良かった良かった。
……さて、と。この状況どうしようか。ガレフさんともう一人の男の人は泣きそうな顔でミリアさんを呼びかけていて、アリーシャさんも泣きそうになっているけれど、私の存在を看過できず戸惑っている。するとその時はっと何かに気付いた様子でガレフが顔を上げて、こちらへと向き直った。
「っ! そこに居る誰か! 仲間を助けてくれて、感謝するっ!」
そう言って戸惑いなく額を地面に擦り付けた彼は、とても誠実な人なんだろう。助けたからといって味方であるとは断定できない存在に、曇り無い感謝を伝えられるなんて。
しかし困った。ガレフさん、間違いなく私を人だと思ってる。誰かって言ってるし。
どーしよっかなぁと思っている間に、ミリアさんが薄らと目を開いた。何とか気が付いたようだ。
「あ、れ…わ、たし……」
「ミリアっ!」
「がれふ…? どう、して…」
「誰かがポーションを分けてくれたんだ。ほんとに、ほんとに良かった…っ」
縋り付くようにミリアさんを抱き締めるガレフさん。本当に大切な人だったんだね。
当の本人たるミリアさんは突然の事で理解が及ばず、目を白黒させて私を見た。
「あなたが…ありがとう、ございます…」
「ミリア? 誰に言ってるの?」
「? そこの…見えないのですか?」
「「「っ!?」」」
迷いなくミリアが指さした先。そこに居るのはもちろん私だ。……なんで見えてんの?
ちなみにそのうち二つ程はミミックだった。顔面からバクっといかれたけど、多少ビックリしたくらいで一切痛くなったのは幸いかも。無論容赦無く内部から破壊させてもらった。
(ふぃー…ちょっと休憩しようかなぁ)
疲労感は無いけれど、暫く歩いたから何となくね。でもここまでの道中、あの拠点みたいな場所は見かけなかった。あるとすればちょっと広めの空間が何個か?
一先ず見つけていたその空間まで歩みを進める。宝箱からの収穫は上々。これならいつまた人間に会っても問題無い…無い? いや、言葉が通じない問題が解決してないわ。
(まぁ予定通り最初は文字で試してみるか)
言葉が聞けるのだから文字も伝わってくれると信じたい。
テクテクと歩いていくと、ふと私の優秀な鼻が普段とは違う匂いを嗅ぎ付ける。微かな残り香だけれど私には誤魔化せないんだよ。
辺りに漂う鉄の様な匂い。これは恐らく血の匂いだ。ミスズさんを助けた時にも嗅いだ覚えがあるから間違いないはず。
とするとまた誰かが死にかけてるのかな……私そういう出来事を呼び寄せる体質だったりする? それは流石に無いと信じたいよ?
消えかかっている匂いを辿っていく。というかこれわざと匂いが消されてるっぽい? なんか魔力みたいなの感じるし。
となると時間は残されていないね。普通に消えるより早く消えてしまう可能性が高い。
(弱みにつけ込むみたいだけど…それが一番手っ取り早いもんね)
普通に出会っただけじゃ対話の余地もない。なら死にかけの人間を助けて無害アピールするのが一番楽だ。……我ながら悪魔みたいな発想だな。まぁ流石に自作自演じゃないだけマシか。……マシか?
「――――ッ!」
「――っ!?」
おっと。どうやら大分近付いたようで、微かに声が聞こえてきた。その声色には悲痛の色が濃い。少し急いだ方が良さそうだ。
「―――リアッ! ミリアッ! くそっ!」
「気をしっかり持って!」
そのまま匂いを辿れば、鮮明な叫び声が聞こえてきた。ミリアっていうのは多分危篤状態になっている人の名前だろう。でもミリアか……日本人っぽくはない名前だね。
「ありったけのポーション使え! まだ助かる!」
その声と共にやっと目的の場所に辿り着いた。そこは少し開けた空間になっていて、その端の方で数人の人間が集まっているのが見える。
取り敢えず近付いてみようと足を踏み出すと、フワッと何か膜のようなものを突き破った感覚が。あ、これ不味そう。
「ッ!? 全員警戒!」
「クソッ! 構ってる暇ねぇのに!」
「二人は警戒。俺がミリアを!」
あーあ……これ索敵系のトラップだ。一瞬で私が入ってきた入口に全員が鋭い目線を向ける。これは近付いて治療とかは無理そうかな。
とはいえ相手は私の存在には気付いても私の姿は見れないみたいで、ちょっと困惑気味だ。
「ほんとに居るのか?」
「結界を破られたのよ。絶対いるわ」
んー…これ私が姿見せた瞬間襲いかかってきたりしない? ここまで警戒されると迂闊に姿見せられないなぁ…仕方無い。宝箱から拾った、恐らく回復薬だと思われるものを出して様子見しようか。
出す場所はある程度自由が利くから、私からちょっと離れた所、つまりこっちを睨んでる人間により近い場所に回復薬(仮)を取り出す。その瞬間ビクッとこちらを警戒していた二人の肩が跳ねた。
「ポーション…?」
「味方か? いやだが…」
「ゲホッ!」
「ッ! ミリアっ!?」
後ろで寝かせられていた女の人が咳き込みながら血を吐く。もう時間はあまりなさそうだ。お願い、信じて……!
「俺が取りに行く」
「ガレフ!?」
「アリーシャは援護だ。行くぞ」
ガレフと呼ばれた男の人が、決死の表情を浮かべてジリジリとにじり寄って来る。わたしわるいおおかみじゃないよ。大丈夫、大丈夫。
当然私に何かするつもりがないので、恐る恐る回復薬…ポーションだっけ? それに手を伸ばしても何も起こらない。
「よしっ」
「ガレフ! 早く!」
「ああ!」
無事一本を手に入れた事で安心したのか、ガレフさんが全てを持って急いでミリアさんの方へと走っていく。でもアリーシャさんはこっちを睨んだままだ。信用ないなぁ……。
「っ!? 中級ポーションか! これなら…!」
おぉ、数が少なかった方はどうやら中級だったみたいだ。躊躇いなくその蓋を外すと、ミリアさんへどばどばと掛けていく。その瞬間痛々しい傷口から白い光が溢れ出し、士気色だった顔が次第に血の気を取り戻していくのが見えた。どうやら間に合ったみたいだ。良かった良かった。
……さて、と。この状況どうしようか。ガレフさんともう一人の男の人は泣きそうな顔でミリアさんを呼びかけていて、アリーシャさんも泣きそうになっているけれど、私の存在を看過できず戸惑っている。するとその時はっと何かに気付いた様子でガレフが顔を上げて、こちらへと向き直った。
「っ! そこに居る誰か! 仲間を助けてくれて、感謝するっ!」
そう言って戸惑いなく額を地面に擦り付けた彼は、とても誠実な人なんだろう。助けたからといって味方であるとは断定できない存在に、曇り無い感謝を伝えられるなんて。
しかし困った。ガレフさん、間違いなく私を人だと思ってる。誰かって言ってるし。
どーしよっかなぁと思っている間に、ミリアさんが薄らと目を開いた。何とか気が付いたようだ。
「あ、れ…わ、たし……」
「ミリアっ!」
「がれふ…? どう、して…」
「誰かがポーションを分けてくれたんだ。ほんとに、ほんとに良かった…っ」
縋り付くようにミリアさんを抱き締めるガレフさん。本当に大切な人だったんだね。
当の本人たるミリアさんは突然の事で理解が及ばず、目を白黒させて私を見た。
「あなたが…ありがとう、ございます…」
「ミリア? 誰に言ってるの?」
「? そこの…見えないのですか?」
「「「っ!?」」」
迷いなくミリアが指さした先。そこに居るのはもちろん私だ。……なんで見えてんの?
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