39 / 39
第38話
しおりを挟む
彼女の首が落ちる。分かっていてもそれは酷くスローモーションのように見えた。ゆっくりと時間が流れ、地面に着く。
『ありがとう』
最期に目が合い、そんな声が聞こえた気がした。
途端にサルサの身体から大量の蔦が伸びる。それは瞬く間にこの部屋全体、領主邸、更にはこの都市全体へと広がっていった。僕は蔦に優しく包まれ、その中で意識を無くしてしまった。
_________
僕は蔦に囲まれた空間で目を覚ます。怪我はもうすっかり治っており、目もよく見える。さて、ここからどうしようかと考えていると蔦が動き通路を作り始めた。誘導されるがままに進むとサルサの身に付けていたナイフフォルダーなどの装飾品が丁寧に置かれている。
それを見た途端、ついにこらえきれずに僕は泣き出してしまう。
「サルサ……さるさぁ……」
と僕は嗚咽混じりの声で呟く。
するとそれに呼応するかのように、部屋の隅で何かが動く音がしたのでそちらに目を向けると、そこには一輪の蕾があったのだ。
その蕾はやがて僕の目の前へと伸び、ゆっくりと開花していく。すると中からとても綺麗でエメラルドブルーに光る石が姿を現した。
「サルサの瞳の色だ………」
僕は涙を拭き取り、それを手に取る。
『シオ』
と彼女の声が聞こえた気がした。
「……ありがとうサルサ。」
そしてまた少し泣いたあと、それを額に当てる。
「……愛してるよサルサ」
と僕は小さく呟く。そして少し休んで、また泣いて、立ち上がり、それでもやっぱり涙は止まらなくて。
蔦が僕の涙を絡めとる。それはとても暖かくて、僕は自然と笑顔になった。その蔦に触れると彼女の温もりを感じることが出来るような気がした。
「じゃあ行くよ」
と僕は言う。
『分かった』
彼女からそう聞こえた気がして、僕は歩き出す。
蔦が作ってくれた階段を登るとやがて外に出ることができた。そこからはスリムリンが一望でき、都市は未然の大災害に混乱しているようだった。後ろでは蔦が大きな花を咲かせている。
「さて、どうしようかな。」
すると突然僕の前に一羽の鳥が飛んできた。それは綺麗な栗色の羽毛にエメラルドブルーの瞳を持つ美しい鳥だった。
「慰めてくれるの?」
と僕が言うとその鷹は
「クー!」
と鳴き、どこかへと飛んで行ってしまった。
「ふふっ、ありがとうサルサ。またね。」
僕はそう呟き、歩き出した。
___________
「良かったぁ!!良かった!シエル!!」
「お父様!お母様!!!」
どうやら親子が再会を喜んでいるようだ。
この娘はとある悪徳貴族に囚われていたらしいが、領主邸で謎の巨大生物が暴れ出し、何故かその生物により安全な場所へと送られたらしい。
彼女の名はシエル。両親の名はウェスダブルとエルと言う。
「お父様!お母様!見て、あの鳥とても綺麗よ?」
三人の再会を祝うかのようにエメラルドブルーの瞳を輝かせながら鳥が飛んでいる。
「あら、こっちに来るわね。」
その鳥は三人を見つけると途端に方向を変え、とてつもないスピードでウェスダブル左目を抉ったのだった。
『ありがとう』
最期に目が合い、そんな声が聞こえた気がした。
途端にサルサの身体から大量の蔦が伸びる。それは瞬く間にこの部屋全体、領主邸、更にはこの都市全体へと広がっていった。僕は蔦に優しく包まれ、その中で意識を無くしてしまった。
_________
僕は蔦に囲まれた空間で目を覚ます。怪我はもうすっかり治っており、目もよく見える。さて、ここからどうしようかと考えていると蔦が動き通路を作り始めた。誘導されるがままに進むとサルサの身に付けていたナイフフォルダーなどの装飾品が丁寧に置かれている。
それを見た途端、ついにこらえきれずに僕は泣き出してしまう。
「サルサ……さるさぁ……」
と僕は嗚咽混じりの声で呟く。
するとそれに呼応するかのように、部屋の隅で何かが動く音がしたのでそちらに目を向けると、そこには一輪の蕾があったのだ。
その蕾はやがて僕の目の前へと伸び、ゆっくりと開花していく。すると中からとても綺麗でエメラルドブルーに光る石が姿を現した。
「サルサの瞳の色だ………」
僕は涙を拭き取り、それを手に取る。
『シオ』
と彼女の声が聞こえた気がした。
「……ありがとうサルサ。」
そしてまた少し泣いたあと、それを額に当てる。
「……愛してるよサルサ」
と僕は小さく呟く。そして少し休んで、また泣いて、立ち上がり、それでもやっぱり涙は止まらなくて。
蔦が僕の涙を絡めとる。それはとても暖かくて、僕は自然と笑顔になった。その蔦に触れると彼女の温もりを感じることが出来るような気がした。
「じゃあ行くよ」
と僕は言う。
『分かった』
彼女からそう聞こえた気がして、僕は歩き出す。
蔦が作ってくれた階段を登るとやがて外に出ることができた。そこからはスリムリンが一望でき、都市は未然の大災害に混乱しているようだった。後ろでは蔦が大きな花を咲かせている。
「さて、どうしようかな。」
すると突然僕の前に一羽の鳥が飛んできた。それは綺麗な栗色の羽毛にエメラルドブルーの瞳を持つ美しい鳥だった。
「慰めてくれるの?」
と僕が言うとその鷹は
「クー!」
と鳴き、どこかへと飛んで行ってしまった。
「ふふっ、ありがとうサルサ。またね。」
僕はそう呟き、歩き出した。
___________
「良かったぁ!!良かった!シエル!!」
「お父様!お母様!!!」
どうやら親子が再会を喜んでいるようだ。
この娘はとある悪徳貴族に囚われていたらしいが、領主邸で謎の巨大生物が暴れ出し、何故かその生物により安全な場所へと送られたらしい。
彼女の名はシエル。両親の名はウェスダブルとエルと言う。
「お父様!お母様!見て、あの鳥とても綺麗よ?」
三人の再会を祝うかのようにエメラルドブルーの瞳を輝かせながら鳥が飛んでいる。
「あら、こっちに来るわね。」
その鳥は三人を見つけると途端に方向を変え、とてつもないスピードでウェスダブル左目を抉ったのだった。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる