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日曜日だから
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朝起きて、初めに見たのは彼女の瞼だった。
それから感じるミルクのような湿った空気。
最初は寝ぼけていたが、しだいにそれが昨日連れ込んだ女の子だと分かりまるで背筋が凍るようだった。
まさか、と思い焦って下半身の方を見た。ズボンはしっかりと身についている。(それでも汗のせいてグッショリと濡れているが)彼女も僕のパジャマのおさがりをきている。そして僕の右手は彼女によってしっかりと握られている。
やれやれ、なんで彼女が僕の隣で寝てるんだ?もちろん声には出さなかったが、僕は試しに彼女の背中をさすってみた。彼女の背中はウサギみたいにピクピクと揺れ動く。
朝の日差しが、カーテンを越えて部屋中をオレンジ色に染めた。僕は一度彼女を抱き締めた。とにかく全身を使って彼女を抱き締めた。彼女の肌はすべすべとして柔らかく、胸も意外とあった。とにかく全身が温かい。僕はキスもして、その唇はとろけるような柔らかさだった。
で、僕は何をしている?
で、僕は何をしている?
で、僕は何をしている?
できれば離したくなかった。この温もりを腕の中にずっとおいておきたかった。でも誰かがそれを許さない。氷のハンマーでずっと殴ってくる。あぁもう黙ってくれ。そう思うんだけど、思うんだけど。
無言で殴りつけてくる。
日曜の朝、小鳥はいつものように鳴いていた。
X
一人で朝食を食べていると、彼女はとても眠そうな顔でリビングにやってきた。
「寝ててもよかったのに」昨日の生姜焼きを頬張りながら僕は言った。
彼女はフラフラとした足取りで洗面所へ向かうが、その途中で台所にあるカウンターの角とぶつかった。彼女は「ひっ、ぅ……あたた」と肩を抱きながら痛い気な声をはなち、そのまま床へへたれこんで、生まれたての小鹿のように体をプルプルと震わせた。
僕はもちろん終始無言で目をそらしていた。
「何てずっと無視してんですか」彼女は何とか起き上がり、洗顔と歯磨きを済ませた後、少し怒った口調で僕に問いかけた。
僕は六秒ぐらい、茶碗の中の白米が箸で運ばれて、口の中へ入り、フニフニと咀嚼されていく様子を眺めていた。 どこかのほほんとして平和な食べ方だった。何も考えなくても永遠に見てられるような、そんな。
「ごめんな」それだけ言って、僕は味噌汁の中の最後の一口を飲んだ。
自分の食器を洗った後、それまで窓を覆っていたクリーム色のカーテンを僕は思いっきり開いた。
スソジィジジジー
部屋をまるごと包むような白い光と、どこまでもありそうな水色の空が、目に飛び込んでくる。
「いい天気ですね」彼女はニッコリと笑い、お茶を一口飲んだ。「散歩にでも行きませんか?」
「散歩か」昨日の苦い記録を思い出した。「暑そうだな」
「そんなこと言ったらどこにも行けませんよ、買い物にも行けない、仕事にも行けない、アイスだって食べられない、そんな人生はつまらないです。というか、あなただって昨日は散歩してたでしょう?」
「昨日は散歩したい気分だったんだ、たまたま」
「つまり今日は家でゴロゴロしたい気分なんですね?」
「そう、日曜日だから」
「そう、日曜日だから」彼女は一句一句を確かめるように反復した。「でも今日は私が散歩したい気分なんです。だからあなたにも付き合って欲しいんです」
散歩、と僕は頭の中で繰り返した。
それから感じるミルクのような湿った空気。
最初は寝ぼけていたが、しだいにそれが昨日連れ込んだ女の子だと分かりまるで背筋が凍るようだった。
まさか、と思い焦って下半身の方を見た。ズボンはしっかりと身についている。(それでも汗のせいてグッショリと濡れているが)彼女も僕のパジャマのおさがりをきている。そして僕の右手は彼女によってしっかりと握られている。
やれやれ、なんで彼女が僕の隣で寝てるんだ?もちろん声には出さなかったが、僕は試しに彼女の背中をさすってみた。彼女の背中はウサギみたいにピクピクと揺れ動く。
朝の日差しが、カーテンを越えて部屋中をオレンジ色に染めた。僕は一度彼女を抱き締めた。とにかく全身を使って彼女を抱き締めた。彼女の肌はすべすべとして柔らかく、胸も意外とあった。とにかく全身が温かい。僕はキスもして、その唇はとろけるような柔らかさだった。
で、僕は何をしている?
で、僕は何をしている?
で、僕は何をしている?
できれば離したくなかった。この温もりを腕の中にずっとおいておきたかった。でも誰かがそれを許さない。氷のハンマーでずっと殴ってくる。あぁもう黙ってくれ。そう思うんだけど、思うんだけど。
無言で殴りつけてくる。
日曜の朝、小鳥はいつものように鳴いていた。
X
一人で朝食を食べていると、彼女はとても眠そうな顔でリビングにやってきた。
「寝ててもよかったのに」昨日の生姜焼きを頬張りながら僕は言った。
彼女はフラフラとした足取りで洗面所へ向かうが、その途中で台所にあるカウンターの角とぶつかった。彼女は「ひっ、ぅ……あたた」と肩を抱きながら痛い気な声をはなち、そのまま床へへたれこんで、生まれたての小鹿のように体をプルプルと震わせた。
僕はもちろん終始無言で目をそらしていた。
「何てずっと無視してんですか」彼女は何とか起き上がり、洗顔と歯磨きを済ませた後、少し怒った口調で僕に問いかけた。
僕は六秒ぐらい、茶碗の中の白米が箸で運ばれて、口の中へ入り、フニフニと咀嚼されていく様子を眺めていた。 どこかのほほんとして平和な食べ方だった。何も考えなくても永遠に見てられるような、そんな。
「ごめんな」それだけ言って、僕は味噌汁の中の最後の一口を飲んだ。
自分の食器を洗った後、それまで窓を覆っていたクリーム色のカーテンを僕は思いっきり開いた。
スソジィジジジー
部屋をまるごと包むような白い光と、どこまでもありそうな水色の空が、目に飛び込んでくる。
「いい天気ですね」彼女はニッコリと笑い、お茶を一口飲んだ。「散歩にでも行きませんか?」
「散歩か」昨日の苦い記録を思い出した。「暑そうだな」
「そんなこと言ったらどこにも行けませんよ、買い物にも行けない、仕事にも行けない、アイスだって食べられない、そんな人生はつまらないです。というか、あなただって昨日は散歩してたでしょう?」
「昨日は散歩したい気分だったんだ、たまたま」
「つまり今日は家でゴロゴロしたい気分なんですね?」
「そう、日曜日だから」
「そう、日曜日だから」彼女は一句一句を確かめるように反復した。「でも今日は私が散歩したい気分なんです。だからあなたにも付き合って欲しいんです」
散歩、と僕は頭の中で繰り返した。
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