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第5話
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「そうは言ってもなあ……」
僕は筬屋真海奈のいる二年A組の教室まで来ていた。
謝るったって、そんな勇気、どう振り絞ればいいんだ……?
でも、なんだかんだで、もう目の前まで来ているし。
『これがわたしにできる兄さんへのサポートのひとつです』
あのとき相談した最後に桜舞は、そう言ったのだが――。
確かに桜舞が入学したとき、サポートするとは言っていたけどさ、こんな形でだったなんて……。
でも、好きじゃない人と付き合うのって不純な気がする……。
いや、そういうことじゃないだろう!
問題は僕が彼女――筬屋真海奈を無視したことが原因なんだ!
付き合うとか付き合わないとか、そういうのは本筋じゃない!
ちょっと考えれば、わかることじゃないか!
だから僕は、今、目の前まで来ているんだよ――。
「よし……」
いくか。
二年A組の教室の扉を開く。
本来なら、僕が留年しなければ、進級していたクラスである。
元・同級生の顔ぶれが目の前にある。
なかには僕を無視していた奴らもいる。
だけど、そんなことが頭によぎったとしても謝らなければいけない彼女がいる。
彼女――筬屋真海奈は僕の味方になってくれる人だったのに。
だから彼女の目の前に行く。
「――! 武尊くん?」
「久しぶり、真海奈ちゃん。いや、筬屋さんのほうがいいかな? ちょっとなれなれしい気がするし……いや、そんなことはどうでもよくて……ちょっと話がしたいんだけど、いいかな?」
「うん、いいよ」
「ありがとう。じゃあ、屋上へ行こうか」
*
筬屋真海奈という人物も、ある意味、僕の幼馴染であると言える。
小学校の四年間(普通の小学生なら六年間だが二年間だけ僕は別の学校に転校していた時期があった。そのころの話はするかもしれないし、しないかもしれない)、中学校の三年間を一緒に過ごしてきた同級生である。
「実は入院してたんだ」
「知ってる。噂で聞いてた」
「僕は病気だったんだ。それに今も病気と闘っている。だから僕には正常な判断がつかない」
「そうなんだ」
「そう、僕は《妄想具現症》という病気を持っているから、現実と乖離してしまうんだ。だから僕の正しく見えることも全部ニセモノに見えてしまう場合があるんだ」
「だから、ずっといなかったんだね」
「うん。だから留年した。ずっと入院していたから」
「そう……。その病気って治らないの?」
「治らない。一番いい状態でも寛解がベストに近い状態だと言われている。完治することはない」
「私に、できることはないかな?」
「できること、っていうと?」
「私、武尊くんのサポートをしたい。一年前、確かに武尊くんを無視しようとしていた人たちがいたことは真実なんだよ。だから……」
彼女の目が決意に満ちる。
「付き合って」
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