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第1章 −出会い−
③診察室にて
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診察室へ入るとロティルは纏っていた暗緑色のマントを脱ぎ、横の机に畳んで置いた。
「どうぞ、そこの椅子に掛けてください」
背もたれのない丸椅子に座っていたカヤミから促され、赤い髪をかき上げながら、もう1つの椅子に対面して腰掛ける。
「では、よろしくお願いします」
「あ はい、お願いします!」
微笑んだカヤミの眼鏡がキラリと光る。挨拶を先にされ、ロティルは反射的に慌てて言葉を返した。徐々に落ち着くどころか、何故か緊張感は増していくばかり。
⋯⋯ついさっきはニコリともしてなかったのに
俺 緊張するなんて あんまりないんだけどな
なんでだろ
「じゃあ、怪我してる箇所、見せて頂けますか」
「ここ なんだけど」
茶色の革手袋を外し黒い肌着の袖を捲ると、左の腕の肘下あたりに布で縛ったところがある。カヤミが それを解こうとしたが、爪を立てても固い結び目が ほどける様子はなく手こずってしまう。
「ごめん、かなりキツめに結んだから」
「ん⋯⋯ 切るので大丈夫です」
ハサミを持ったカヤミの右手には、白い指先が映える掌のみを覆う黒い手袋。ロティルは気にはなったが、つい先程出会ったばかりなのに軽々しく聞こうとは思わない。
「動かないで下さいね」
結ばれた瘤に狙いを定めハサミの刃を入れる。切って解いていくと裏は血が滲んで赤黒く変色。肌には指の幅くらいありそうな2本の太い裂傷があり、ピンク色をした肉が裂け目から のぞいている。
「だいぶ酷い⋯⋯ これは、獣に?」
「獣というか、魔獣かな。捕食対象が人間だから。ふいに咬まれて肉が削げた。少し食べられたのかも」
「⋯⋯⋯⋯」
若干戸惑った表情で、傷口を凝視しながら口をキュッと閉じてカヤミは黙ってしまった。顔色が悪くなったりしている訳ではないが、多分カヤミが暮らしていた世界は身近にそんなものはいない環境なんだろう、とロティルは察する。
「そういう類のとは、あまり関わりがない場所から来たの?」
「⋯⋯関わりも何も架空の生き物の扱いです。熊とか人を襲う猛獣もいましたけど、必ずしも最初から食べる為に狙っているわけじゃないし。こんなに大きな傷を負わせる生き物なんて相当⋯⋯」
問いかけると返答はしっかりとあった。ロティルは労るように声を掛けた。
「平気? 気分が悪くなったんじゃ」
「⋯⋯申し訳ないです⋯⋯
保護される前⋯⋯森で大きい影を見たんで、俺も遭遇してた可能性があったのかも⋯⋯そしたら多分⋯⋯」
「!」
突然来た知らない場所で、得体の知れない生き物に命の危機に晒されて⋯⋯そう考えると恐怖は如何ほどだろうか⋯⋯ロティルは、すぐに次の言葉を掛けることが出来なかった
「⋯⋯消毒しますね。結構しみると思いますよ」
「⋯⋯い⋯⋯ッッ」
想像以上の消毒液の痛みに片目をつむって声を押し殺す。
「あと薬草が入った傷薬を塗っておきます。
これはジゼが調合したものなので安心して下さい」
カヤミは説明をしてから、白く細い指先で すくった軟膏薬を慎重に優しく伸ばしていく。くすぐったいような妙な感覚がロティルの背中をぞくぞくさせる。新しい清潔な包帯を丁寧に巻いてもらいながら、再び問いかけた。
「ここの⋯⋯こっちの世界に来たことは⋯⋯まだ、怖い?」
質問に手を止めたあと、視線を少し落としてカヤミが口を開く。
「⋯⋯最初に比べたら、遥かにマシにはなりました。訳がわからない事しかなかったから⋯⋯」
「うん⋯⋯そうだよね」
「少し状況が違っていたら、すぐに死んでいたかもしれない⋯⋯その、魔獣っていうのに襲われたり?
でも⋯⋯元から死ぬことに対して さほど恐怖は持ってないんで。別に、死んでも構わなかったし、それも仕方ないかなって⋯⋯」
カヤミの青紫色の瞳が一瞬だけ暗く、虚ろになったように見えた。発せられた言葉にロティルは口を結んで黙り込む。
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯」
「終わりました」
そう言って顔を上げるとカヤミは また平然と微笑んでみせる。するとロティルは、ゆっくり話を始めた。
「⋯⋯俺はさ、2年くらい旅をしてて⋯⋯剣の扱いは人より得意かな。けど慣れてても、こうやって怪我する事も もちろんあるし。
あぁ、毒草を誤って口にしたなんていうのもあったなぁ! そういう時に治療院で世話になって⋯⋯」
「⋯⋯」
「俺は⋯⋯死ぬのが嫌だから ここに来てる。だったら剣なんて振り回して旅なんかするなって話だけどね。
そんな俺なんかでも、いつも命を助けてくれる人がいるから⋯⋯ホント感謝してるんだ⋯⋯」
「⋯⋯⋯⋯ で、 要するに何が言いたいんです?」
無言で聞いていたカヤミが少し低い声で、ひとこと発した。笑顔は ない。
「あー⋯⋯ 一方的に喋って悪い⋯⋯俺はカヤミの事情を詳しくは何も知らないけど、ジゼ達は君を助けられて良かったと、きっと思ってるはずだから。
死んでも仕方ないとか⋯⋯悲しいこと、言わないで」
「⋯⋯⋯⋯ ⋯⋯はい」
ロティルから切実に伝えられた言葉に、カヤミは目を見開いたあと、俯きがちになって極々小さな声で返事をした。
「俺、カヤミにも感謝してるよ。 ありがとう」
「⋯⋯! 傷の手当て、しただけですから⋯⋯」
真っ直ぐ見つめながら礼を述べるロティルにカヤミは少しだけ視線を合わせたが、また すぐにサッと そらしてしまった。そのあと、目を閉じて深呼吸を一度すると切り替えたように口角を上げ話出す。
「じゃあ⋯⋯ せっかくなので、念の為もう少し診察しておきましょうか? 簡単なものですけど」
「診察?」
「ええ、お口、開けてもらっていいですか?
あーん て」
「!?? 口を あーん⋯⋯て、 え こう??」
カヤミの子どもを諭すような声がけに、うろたえ羞恥しながらも、ロティルは大きく口を開けて見せた。
「ん、上手ですよ。舌 見せて下さいね。 うん⋯⋯ あと目の下のとこ⋯⋯ちょっと失礼します」
「⋯⋯ぁ ⋯⋯っ」
カヤミの手がロティルの頬に軽く触れ、顔と顔の距離が縮まる。
咄嗟に息を止めてしまった。赤い髪に青い髪がフワリと触れる。視線をどうしたら良いのかわからなくなって、あちこちに泳がせてしまう。
きょ 距離⋯⋯近くない? この人
眼鏡の奥に見えるまつ毛が長いとか、細い指先が滑らかで気持ちが良いとか、そんな思考ばかりがロティルの頭を駆け巡る。鼓動がどんどん早くなっていく。
綺麗⋯⋯だな⋯⋯
惹き込まれるような感じがする⋯⋯
「⋯⋯はい、いいですよ。最後に爪を見ますね」
「あ あぁ」
立て続けに今度は手に触れられ、爪を指先でなぞられる。また何とも言えない感覚⋯⋯しかし、嫌ではない。ひと通り終わるとカヤミが診断の結果を伝え始めた。
「少し⋯⋯貧血気味かと。最近フラついたりすることは、ないですか?」
「貧血? 確かに立ち眩みが前より多くなった気がするかな。今のでそんなことが わかるの?」
「ここの世界では血液自体を調べる方法がなくて⋯⋯数値で見れないので正確とは言えないですが。
舌と目の中の色が少し赤みが薄いのと爪の反り返り具合⋯⋯ですかね。
鉄分を中心に栄養素不足を補うとして、赤身肉やレバー、ほうれん草、あとアサリとか。その辺りをもっと摂ると良いと思いますよ。干しブドウも割と良いかな⋯⋯こっちでは日常的によく食べるみたいだし」
「ん、わかった。 カヤミは凄いんだな」
素直に返事をしたロティルはカヤミの話に感心しきっている。
「⋯⋯大したことでは。 習ったことを言ってるだけで」
「いや、充分だと思うよ」
謙遜して決まりが悪そうに下を向いたカヤミだが、再び顔を上げるとロティルの目をジッ⋯⋯と見つめ返してきた。
「オッドアイって⋯⋯初めて見ました。綺麗な色ですね。宝石みたいだ」
「⋯⋯っ 自分ではあんまり好きじゃないんだけど⋯⋯」
「そうなんですか。すみません、軽率なこと⋯⋯」
自身の瞳のことを褒められ、ロティルは心底驚いた。家族と同じ琥珀色の左眼と違い、エメラルドのような碧い色の右眼は、幼い頃にからかわれたりして、どちらかというと嫌いな部分であった。
申し訳なさそうな顔で謝罪するカヤミに対し、少し照れ臭そうに声をかける。
「いや⋯⋯謝らないで。 そう言ってもらえて嫌いではなくなったかもしれない⋯⋯ ありがとう」
「なら良かったです⋯⋯ 診察は以上になります。
お大事に」
最後に、先程聞こえてきた あの優しい声での「お大事に」を言われた。
にこやかに微笑むカヤミに ロティルの青翠と琥珀の2色の視線は釘付けになり、胸の奥の方で自身も気がついていない小さな疼きが生まれる。
「どうぞ、そこの椅子に掛けてください」
背もたれのない丸椅子に座っていたカヤミから促され、赤い髪をかき上げながら、もう1つの椅子に対面して腰掛ける。
「では、よろしくお願いします」
「あ はい、お願いします!」
微笑んだカヤミの眼鏡がキラリと光る。挨拶を先にされ、ロティルは反射的に慌てて言葉を返した。徐々に落ち着くどころか、何故か緊張感は増していくばかり。
⋯⋯ついさっきはニコリともしてなかったのに
俺 緊張するなんて あんまりないんだけどな
なんでだろ
「じゃあ、怪我してる箇所、見せて頂けますか」
「ここ なんだけど」
茶色の革手袋を外し黒い肌着の袖を捲ると、左の腕の肘下あたりに布で縛ったところがある。カヤミが それを解こうとしたが、爪を立てても固い結び目が ほどける様子はなく手こずってしまう。
「ごめん、かなりキツめに結んだから」
「ん⋯⋯ 切るので大丈夫です」
ハサミを持ったカヤミの右手には、白い指先が映える掌のみを覆う黒い手袋。ロティルは気にはなったが、つい先程出会ったばかりなのに軽々しく聞こうとは思わない。
「動かないで下さいね」
結ばれた瘤に狙いを定めハサミの刃を入れる。切って解いていくと裏は血が滲んで赤黒く変色。肌には指の幅くらいありそうな2本の太い裂傷があり、ピンク色をした肉が裂け目から のぞいている。
「だいぶ酷い⋯⋯ これは、獣に?」
「獣というか、魔獣かな。捕食対象が人間だから。ふいに咬まれて肉が削げた。少し食べられたのかも」
「⋯⋯⋯⋯」
若干戸惑った表情で、傷口を凝視しながら口をキュッと閉じてカヤミは黙ってしまった。顔色が悪くなったりしている訳ではないが、多分カヤミが暮らしていた世界は身近にそんなものはいない環境なんだろう、とロティルは察する。
「そういう類のとは、あまり関わりがない場所から来たの?」
「⋯⋯関わりも何も架空の生き物の扱いです。熊とか人を襲う猛獣もいましたけど、必ずしも最初から食べる為に狙っているわけじゃないし。こんなに大きな傷を負わせる生き物なんて相当⋯⋯」
問いかけると返答はしっかりとあった。ロティルは労るように声を掛けた。
「平気? 気分が悪くなったんじゃ」
「⋯⋯申し訳ないです⋯⋯
保護される前⋯⋯森で大きい影を見たんで、俺も遭遇してた可能性があったのかも⋯⋯そしたら多分⋯⋯」
「!」
突然来た知らない場所で、得体の知れない生き物に命の危機に晒されて⋯⋯そう考えると恐怖は如何ほどだろうか⋯⋯ロティルは、すぐに次の言葉を掛けることが出来なかった
「⋯⋯消毒しますね。結構しみると思いますよ」
「⋯⋯い⋯⋯ッッ」
想像以上の消毒液の痛みに片目をつむって声を押し殺す。
「あと薬草が入った傷薬を塗っておきます。
これはジゼが調合したものなので安心して下さい」
カヤミは説明をしてから、白く細い指先で すくった軟膏薬を慎重に優しく伸ばしていく。くすぐったいような妙な感覚がロティルの背中をぞくぞくさせる。新しい清潔な包帯を丁寧に巻いてもらいながら、再び問いかけた。
「ここの⋯⋯こっちの世界に来たことは⋯⋯まだ、怖い?」
質問に手を止めたあと、視線を少し落としてカヤミが口を開く。
「⋯⋯最初に比べたら、遥かにマシにはなりました。訳がわからない事しかなかったから⋯⋯」
「うん⋯⋯そうだよね」
「少し状況が違っていたら、すぐに死んでいたかもしれない⋯⋯その、魔獣っていうのに襲われたり?
でも⋯⋯元から死ぬことに対して さほど恐怖は持ってないんで。別に、死んでも構わなかったし、それも仕方ないかなって⋯⋯」
カヤミの青紫色の瞳が一瞬だけ暗く、虚ろになったように見えた。発せられた言葉にロティルは口を結んで黙り込む。
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯」
「終わりました」
そう言って顔を上げるとカヤミは また平然と微笑んでみせる。するとロティルは、ゆっくり話を始めた。
「⋯⋯俺はさ、2年くらい旅をしてて⋯⋯剣の扱いは人より得意かな。けど慣れてても、こうやって怪我する事も もちろんあるし。
あぁ、毒草を誤って口にしたなんていうのもあったなぁ! そういう時に治療院で世話になって⋯⋯」
「⋯⋯」
「俺は⋯⋯死ぬのが嫌だから ここに来てる。だったら剣なんて振り回して旅なんかするなって話だけどね。
そんな俺なんかでも、いつも命を助けてくれる人がいるから⋯⋯ホント感謝してるんだ⋯⋯」
「⋯⋯⋯⋯ で、 要するに何が言いたいんです?」
無言で聞いていたカヤミが少し低い声で、ひとこと発した。笑顔は ない。
「あー⋯⋯ 一方的に喋って悪い⋯⋯俺はカヤミの事情を詳しくは何も知らないけど、ジゼ達は君を助けられて良かったと、きっと思ってるはずだから。
死んでも仕方ないとか⋯⋯悲しいこと、言わないで」
「⋯⋯⋯⋯ ⋯⋯はい」
ロティルから切実に伝えられた言葉に、カヤミは目を見開いたあと、俯きがちになって極々小さな声で返事をした。
「俺、カヤミにも感謝してるよ。 ありがとう」
「⋯⋯! 傷の手当て、しただけですから⋯⋯」
真っ直ぐ見つめながら礼を述べるロティルにカヤミは少しだけ視線を合わせたが、また すぐにサッと そらしてしまった。そのあと、目を閉じて深呼吸を一度すると切り替えたように口角を上げ話出す。
「じゃあ⋯⋯ せっかくなので、念の為もう少し診察しておきましょうか? 簡単なものですけど」
「診察?」
「ええ、お口、開けてもらっていいですか?
あーん て」
「!?? 口を あーん⋯⋯て、 え こう??」
カヤミの子どもを諭すような声がけに、うろたえ羞恥しながらも、ロティルは大きく口を開けて見せた。
「ん、上手ですよ。舌 見せて下さいね。 うん⋯⋯ あと目の下のとこ⋯⋯ちょっと失礼します」
「⋯⋯ぁ ⋯⋯っ」
カヤミの手がロティルの頬に軽く触れ、顔と顔の距離が縮まる。
咄嗟に息を止めてしまった。赤い髪に青い髪がフワリと触れる。視線をどうしたら良いのかわからなくなって、あちこちに泳がせてしまう。
きょ 距離⋯⋯近くない? この人
眼鏡の奥に見えるまつ毛が長いとか、細い指先が滑らかで気持ちが良いとか、そんな思考ばかりがロティルの頭を駆け巡る。鼓動がどんどん早くなっていく。
綺麗⋯⋯だな⋯⋯
惹き込まれるような感じがする⋯⋯
「⋯⋯はい、いいですよ。最後に爪を見ますね」
「あ あぁ」
立て続けに今度は手に触れられ、爪を指先でなぞられる。また何とも言えない感覚⋯⋯しかし、嫌ではない。ひと通り終わるとカヤミが診断の結果を伝え始めた。
「少し⋯⋯貧血気味かと。最近フラついたりすることは、ないですか?」
「貧血? 確かに立ち眩みが前より多くなった気がするかな。今のでそんなことが わかるの?」
「ここの世界では血液自体を調べる方法がなくて⋯⋯数値で見れないので正確とは言えないですが。
舌と目の中の色が少し赤みが薄いのと爪の反り返り具合⋯⋯ですかね。
鉄分を中心に栄養素不足を補うとして、赤身肉やレバー、ほうれん草、あとアサリとか。その辺りをもっと摂ると良いと思いますよ。干しブドウも割と良いかな⋯⋯こっちでは日常的によく食べるみたいだし」
「ん、わかった。 カヤミは凄いんだな」
素直に返事をしたロティルはカヤミの話に感心しきっている。
「⋯⋯大したことでは。 習ったことを言ってるだけで」
「いや、充分だと思うよ」
謙遜して決まりが悪そうに下を向いたカヤミだが、再び顔を上げるとロティルの目をジッ⋯⋯と見つめ返してきた。
「オッドアイって⋯⋯初めて見ました。綺麗な色ですね。宝石みたいだ」
「⋯⋯っ 自分ではあんまり好きじゃないんだけど⋯⋯」
「そうなんですか。すみません、軽率なこと⋯⋯」
自身の瞳のことを褒められ、ロティルは心底驚いた。家族と同じ琥珀色の左眼と違い、エメラルドのような碧い色の右眼は、幼い頃にからかわれたりして、どちらかというと嫌いな部分であった。
申し訳なさそうな顔で謝罪するカヤミに対し、少し照れ臭そうに声をかける。
「いや⋯⋯謝らないで。 そう言ってもらえて嫌いではなくなったかもしれない⋯⋯ ありがとう」
「なら良かったです⋯⋯ 診察は以上になります。
お大事に」
最後に、先程聞こえてきた あの優しい声での「お大事に」を言われた。
にこやかに微笑むカヤミに ロティルの青翠と琥珀の2色の視線は釘付けになり、胸の奥の方で自身も気がついていない小さな疼きが生まれる。
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