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破・隷属の首輪+5でダンジョンクリア編
1.微ざまぁ
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「えーっ、今日リリィいないのかよ! いると思ったから、俺は怪我した足でここまで来たのに」
冒険者協会に入るなり窓口からそんな声が聞こえてきて、ゴズメルは口をへの字にした。
窓口で受付嬢を困らせているのは、同じ冒険者のキースだ。
リリィの代理で急きょ受付に入った新人受付嬢は、かわいそうに涙目になっている。
「ご、ごめんなさい。体調が悪いそうで今日はお休みなんです。でも、昇格審査の受付なら私もできるので……」
「いや、いい」
キースはぐいっと窓口に身を乗り出して言った。
「それよりリリィの住所を教えろよ」
「えっ……?」
「いいだろ。俺がこれから訪ねるから」
「えっ……えぇっ? で、でもリリィ先輩は具合が悪くて……」
「だから見舞いだよ! きっと一人で寂しがってるだろうからな、ふふん……」
なにを妄想しているのか鼻の下を伸ばしているキースを、ゴズメルは邪魔そうに腕で脇によけた。
「ナナ。こんなバカの相手しちゃだめだ。目と耳が腐っちまう」
「ご、ゴズメルさぁん……」
ナナは猫族だ。狭い額にシワを寄せて、か細く訴えるような声を出す。
キースは尻尾を逆立てて怒った。
「おい、ゴズメル、割り込みだぞ。俺が先に並んでたんだ」
「じゃあ迷惑かけてないで、さっさと昇格審査の受付を済ませな。こっちは急いでんだよ」
「あぁ? やんのかコラ」
「リ、リリィ先輩のお宅へ行っても無駄です! 先輩はゴズメルさんのところでお休みになってます!!」
声を張り上げるナナに、ゴズメルはがくっと肩を落とした。
面倒なやつに、まずいタイミングで知られてしまった。それも、冒険者協会中に響いたんじゃないかと思うほど高い声で。
「……は?」
ぽかんとしているキースに、ナナはニャアニャアと追い打ちをかけた。
「今朝早く、先輩がお休みすると私に連絡してくださったのはゴズメルさんです! 先輩のお世話はゴズメルさんがしてくださいます! キースさんの出る幕なんてありません!」
「ゴズメル、てめえ……」
キースが、ギギギ……と油の切れた機械人形のようにゴズメルの方を向く。
「いつの間に彼女と仲良く……しかも体調が悪いって、まさか、おまえがリリィに何かしたのか……!?」
「……いや。べ、別に。ちょっと、飲ませすぎただけだって」
親睦を深めようと女二人で酒を飲んでいて、酒豪のゴズメルがうっかり酔いつぶしてしまった。
一応そういう筋書きになっている。
リリィの翅のせいで、日が昇るまで熱く体を重ねていたなんて、まさか言えるわけがない。
日付が変わり、ゴズメルの男性器がひっこんでも、リリィの性欲は留まるところを知らなかった。
いや、抱いても抱いても気が済まなかったのはゴズメルも同じだ。
ひとの言葉と理性を忘れてリリィを指と舌、全身をつかって犯し尽くし、リリィが失神しているとわかってからも、しばらくその体を蹂躙し続けてしまった。
リリィが意識を失うと同時に翅が消えたので効果が切れ、やっと正気を取り戻せたが、もしそうなっていなかったらと思うと、恐ろしい。本気で死ぬまで抱きつぶしていたかもしれないのだ。
そんなことは何も知らないキースは、イライラと吐き捨てた。
「女冒険者は得で羨ましいね。レベルが低くても高嶺の花と宅飲みできるってわけだ」
「……そりゃどうも」
的外れすぎる意見に、ゴズメルは軽く肩をすくめた。
だが、ちょっとカチンと来たので仕返ししてやることにした。
ゴズメルはごく軽い調子でナナに話しかけた。
「じゃ、ナナ。キースの後でいいから、あたしの昇格審査の受付をしといてくれるかい? ステータスデータだけいま送っておくよ」
「あ、はい!」
二人のやりとりを、キースは咎めなかった。
横目で怪訝そうに睨んでくるのが面白くて、ゴズメルは「さっき神殿に行って来てさ」と説明した。
「アジリニ神にレベルアップ素材を捧げてきたところなんだ」
「えっ……」
「わぁーっ! すごい、レベル80になったんですね。おめでとうございます!」
ゴズメルのメニュー画面と同期した機械端末を見て、ナナが歓声を上げる。
無邪気な喜びように、ゴズメルはふふっと笑った。
「なに、行き場のない経験値が溜まってただけさね」
「謙遜しないでください、ゴズメルさん。たゆまぬ修練と地道な任務達成の成果ですよ!」
「ありがとよ。でもいいことばっかでもないのは本当。力が有り余って手加減が難しいし……もう次のレベルアップ素材が必要になっちまった」
ゴズメルは顎をこすりながら、半笑いでキースを見下ろした。
「やっぱりレベル60くらいがちょうどいいよなぁ、キース(笑)」
口を大きく開けて凍結したキース(レベル60)が、ゴズメルの煽りで粉々に砕け散る。
レベル80に達すると、冒険者は冒険者協会から記念バッジをもらえる。これを付けていると、任務の難度と達成報酬が高くなるのだ。
ナナはバッジを制服の襟に付けてくれようとしたが、ゴズメルは「急ぎの用があるから」と言って断った。
どうせならリリィに付けてほしい――自然とそう思ったゴズメルは、自嘲した。
先を急いでいるのは本当だが、これではキースのことを笑えない。
冒険者協会を後にしたゴズメルは、市場に向かって歩きながら悶々と考えた。
(さっきだって、キースにあんな風に突っかからなくたって良かったんだ。レベルをバカにされるのがどんなに嫌なことか、あたしはよく知ってる。好きに言わせときゃよかったのに……)
わかっていても我慢できなかったのは、リリィにちょっかいをかけようとするキースに腹が立ったからだ。
牽制したかった。リリィを変な目で見て、あまつさえ弱っているところに付け込もうなんて、絶対に許せない。
あんなやつに指一本だって触らせるもんか、そう思ったゴズメルは、はたと気がついた。
(……あたし、あの子と一晩一緒に寝ただけで、なんか、えらく彼氏面してないか……?)
あれこれと考えていないで、早く市場へ行くべきだった。
こうしている今も、リリィはゴズメルの部屋で翅に苦しめられているかもしれない。
新しい魔封じのアミュレットが一刻も早く必要なのに、ゴズメルはその場に赤面して立ち尽くす。
(い、いや、キースは妻子持ちだし、まかりまちがって不倫とかになるのが嫌なだけだっ! だいたい、リリィもあたしも、昨日は翅のせいでおかしくなってて……)
唐突に、ゴズメルの脳裏に甘い記憶がよみがえる。
『好き……好きよ、ゴズメル。もっとして。あなたが好き……!』
気恥ずかしさのあまり、ゴズメルはとうとう頭を抱えてしゃがみこんでしまった。
リリィもそうだが、自分も孕ませてやるとかなんとか、ずいぶん倒錯したことを言った気がする。
この世界で子どもを授かるには、いくつかの条件がある。
冒険者協会に入るなり窓口からそんな声が聞こえてきて、ゴズメルは口をへの字にした。
窓口で受付嬢を困らせているのは、同じ冒険者のキースだ。
リリィの代理で急きょ受付に入った新人受付嬢は、かわいそうに涙目になっている。
「ご、ごめんなさい。体調が悪いそうで今日はお休みなんです。でも、昇格審査の受付なら私もできるので……」
「いや、いい」
キースはぐいっと窓口に身を乗り出して言った。
「それよりリリィの住所を教えろよ」
「えっ……?」
「いいだろ。俺がこれから訪ねるから」
「えっ……えぇっ? で、でもリリィ先輩は具合が悪くて……」
「だから見舞いだよ! きっと一人で寂しがってるだろうからな、ふふん……」
なにを妄想しているのか鼻の下を伸ばしているキースを、ゴズメルは邪魔そうに腕で脇によけた。
「ナナ。こんなバカの相手しちゃだめだ。目と耳が腐っちまう」
「ご、ゴズメルさぁん……」
ナナは猫族だ。狭い額にシワを寄せて、か細く訴えるような声を出す。
キースは尻尾を逆立てて怒った。
「おい、ゴズメル、割り込みだぞ。俺が先に並んでたんだ」
「じゃあ迷惑かけてないで、さっさと昇格審査の受付を済ませな。こっちは急いでんだよ」
「あぁ? やんのかコラ」
「リ、リリィ先輩のお宅へ行っても無駄です! 先輩はゴズメルさんのところでお休みになってます!!」
声を張り上げるナナに、ゴズメルはがくっと肩を落とした。
面倒なやつに、まずいタイミングで知られてしまった。それも、冒険者協会中に響いたんじゃないかと思うほど高い声で。
「……は?」
ぽかんとしているキースに、ナナはニャアニャアと追い打ちをかけた。
「今朝早く、先輩がお休みすると私に連絡してくださったのはゴズメルさんです! 先輩のお世話はゴズメルさんがしてくださいます! キースさんの出る幕なんてありません!」
「ゴズメル、てめえ……」
キースが、ギギギ……と油の切れた機械人形のようにゴズメルの方を向く。
「いつの間に彼女と仲良く……しかも体調が悪いって、まさか、おまえがリリィに何かしたのか……!?」
「……いや。べ、別に。ちょっと、飲ませすぎただけだって」
親睦を深めようと女二人で酒を飲んでいて、酒豪のゴズメルがうっかり酔いつぶしてしまった。
一応そういう筋書きになっている。
リリィの翅のせいで、日が昇るまで熱く体を重ねていたなんて、まさか言えるわけがない。
日付が変わり、ゴズメルの男性器がひっこんでも、リリィの性欲は留まるところを知らなかった。
いや、抱いても抱いても気が済まなかったのはゴズメルも同じだ。
ひとの言葉と理性を忘れてリリィを指と舌、全身をつかって犯し尽くし、リリィが失神しているとわかってからも、しばらくその体を蹂躙し続けてしまった。
リリィが意識を失うと同時に翅が消えたので効果が切れ、やっと正気を取り戻せたが、もしそうなっていなかったらと思うと、恐ろしい。本気で死ぬまで抱きつぶしていたかもしれないのだ。
そんなことは何も知らないキースは、イライラと吐き捨てた。
「女冒険者は得で羨ましいね。レベルが低くても高嶺の花と宅飲みできるってわけだ」
「……そりゃどうも」
的外れすぎる意見に、ゴズメルは軽く肩をすくめた。
だが、ちょっとカチンと来たので仕返ししてやることにした。
ゴズメルはごく軽い調子でナナに話しかけた。
「じゃ、ナナ。キースの後でいいから、あたしの昇格審査の受付をしといてくれるかい? ステータスデータだけいま送っておくよ」
「あ、はい!」
二人のやりとりを、キースは咎めなかった。
横目で怪訝そうに睨んでくるのが面白くて、ゴズメルは「さっき神殿に行って来てさ」と説明した。
「アジリニ神にレベルアップ素材を捧げてきたところなんだ」
「えっ……」
「わぁーっ! すごい、レベル80になったんですね。おめでとうございます!」
ゴズメルのメニュー画面と同期した機械端末を見て、ナナが歓声を上げる。
無邪気な喜びように、ゴズメルはふふっと笑った。
「なに、行き場のない経験値が溜まってただけさね」
「謙遜しないでください、ゴズメルさん。たゆまぬ修練と地道な任務達成の成果ですよ!」
「ありがとよ。でもいいことばっかでもないのは本当。力が有り余って手加減が難しいし……もう次のレベルアップ素材が必要になっちまった」
ゴズメルは顎をこすりながら、半笑いでキースを見下ろした。
「やっぱりレベル60くらいがちょうどいいよなぁ、キース(笑)」
口を大きく開けて凍結したキース(レベル60)が、ゴズメルの煽りで粉々に砕け散る。
レベル80に達すると、冒険者は冒険者協会から記念バッジをもらえる。これを付けていると、任務の難度と達成報酬が高くなるのだ。
ナナはバッジを制服の襟に付けてくれようとしたが、ゴズメルは「急ぎの用があるから」と言って断った。
どうせならリリィに付けてほしい――自然とそう思ったゴズメルは、自嘲した。
先を急いでいるのは本当だが、これではキースのことを笑えない。
冒険者協会を後にしたゴズメルは、市場に向かって歩きながら悶々と考えた。
(さっきだって、キースにあんな風に突っかからなくたって良かったんだ。レベルをバカにされるのがどんなに嫌なことか、あたしはよく知ってる。好きに言わせときゃよかったのに……)
わかっていても我慢できなかったのは、リリィにちょっかいをかけようとするキースに腹が立ったからだ。
牽制したかった。リリィを変な目で見て、あまつさえ弱っているところに付け込もうなんて、絶対に許せない。
あんなやつに指一本だって触らせるもんか、そう思ったゴズメルは、はたと気がついた。
(……あたし、あの子と一晩一緒に寝ただけで、なんか、えらく彼氏面してないか……?)
あれこれと考えていないで、早く市場へ行くべきだった。
こうしている今も、リリィはゴズメルの部屋で翅に苦しめられているかもしれない。
新しい魔封じのアミュレットが一刻も早く必要なのに、ゴズメルはその場に赤面して立ち尽くす。
(い、いや、キースは妻子持ちだし、まかりまちがって不倫とかになるのが嫌なだけだっ! だいたい、リリィもあたしも、昨日は翅のせいでおかしくなってて……)
唐突に、ゴズメルの脳裏に甘い記憶がよみがえる。
『好き……好きよ、ゴズメル。もっとして。あなたが好き……!』
気恥ずかしさのあまり、ゴズメルはとうとう頭を抱えてしゃがみこんでしまった。
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