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急・異種獣人同士で子づくり!?ノァズァークのヒミツ編
29.リリィ担
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斧は楽しい。
一撃ごとにタメを入れられるので、相手が怯みさえすれば、振り下ろすのもブン回すのも、ドカンと必殺技にできる。
モーションが重いぶん何発か攻撃を食らうこともあるが、ミノタウロス族は受けたダメージを攻撃力に乗せられる。流血沙汰はむしろ望むところだ。
前に来た時は、担いだリリィを守ることを最優先にしていたのであまり遊べなかったが、今日は違う。
ゴズメルは向かってくる魔物を大興奮で蹴散らした。
(やっぱソロの醍醐味はコレだよな~! 誰にも気を使わないでいいってマジで快適~)
ゴズメルは走り回るだけで楽しい子どものように、血まみれで鐵刑の塔を駆け上った。
「おーい、ジーニョじいさーん!」
六層目に着いてすぐ大声を張ったが、ジーニョは留守なのか聞こえていないふりをしているのか、出てこない。
が、ハイテンションのゴズメルが隠し部屋の前で斧を振りかぶると、「ギャー」とどこからか石像にまたがって飛び出してきた。
「ふざけるな! 俺の店を壊すつもりか、バカヤロウ」
「いやー、はっはっは。呼んでも出てこないもんだから」
斧を放り投げ、くるくる落ちてきたところをパシッと受け止め、アイテムボックスに収納する。
すっかり自分の血に酔っているゴズメルに、ジーニョは「戦闘狂め」と吐き捨てた。
「いったい何の用だ。……あの妖精のお嬢さんは一緒じゃないのか」
「そうなんだ。今、遠出できる状態じゃなくってさ」
「なんだと。どういうことだ」
よほどリリィのことを気に入っているのだろう。ジーニョの顔色が変わる。ゴズメルはつられて真顔になった。
「うん。実はそのことでおやっさんに相談があるのさ。リリィがあんたに助けを求めている」
リリィ効果は絶大だった。
偏屈なジーニョが工房へ入れてくれ、「その血をどうにかしろ」と水場さえ貸してくれる。
座ってゴズメルの説明を聞くと、ジーニョは顔中に皺を寄せた。口と目が顔の中央に寄って、広い額がますます広くなる。
口とがらせてタコみたいだな、とゴズメルが失礼なことを考えていると、まさか思考を読んだわけでもないだろうが、その顔をバッと両手で覆ってしまった。
びっくりしているゴズメルに、ジーニョは低い声で言った。
「……偽卵か」
「うん、そうだよ」
「はあぁ、偽卵かあぁ…………」
火吹き竜のごときため息に、ゴズメルは思わず顎を引いた。
「え、な、なに。やっぱり、作るの難しいのかい?」
「いや……うん……はぁ、あーあ……」
ジーニョはため息が止まらない様子だった。
「そうだよなぁ……お嬢さんもいつまでも子供というわけではないのだなあ……」
「……はあ?」
「あれだけ品がよくて、気遣いのできる可愛らしいお嬢さんだものな……妖精族なんて数も少ないし、そりゃ、偽卵が必要になることもあるんだろうなあ……」
何やら涙ぐんでさえいるジーニョに、ゴズメルはドンびきした。好きなアイドルの熱愛が発覚したような落ち込みようである。
ズッと鼻を啜って「それで、相手はどんな野郎なんだ」という。
「あ、あぁ?」
「おまえはずいぶん仲がいいようだから知ってるんだろう。いい男なのか。ちゃんとシッカリお嬢さんを養えるのか。まさか身勝手なDV野郎なんてことはないだろうな」
「ん。んーっと……」
「いやっ、やっぱりいい! 全然聞きたくない! 頼むから、俺になにも言わないでくれ」
こんな強火のリリィ担に、真実を言えるわけがない。
ゴズメルは口を滑らせないように気を付けながら「そうそう、聞かないほうがいいと思うよ」と返した。ジーニョはこの返事にかえって不安そうな顔をしたが、ごくんと言葉を飲み込んだ。
一撃ごとにタメを入れられるので、相手が怯みさえすれば、振り下ろすのもブン回すのも、ドカンと必殺技にできる。
モーションが重いぶん何発か攻撃を食らうこともあるが、ミノタウロス族は受けたダメージを攻撃力に乗せられる。流血沙汰はむしろ望むところだ。
前に来た時は、担いだリリィを守ることを最優先にしていたのであまり遊べなかったが、今日は違う。
ゴズメルは向かってくる魔物を大興奮で蹴散らした。
(やっぱソロの醍醐味はコレだよな~! 誰にも気を使わないでいいってマジで快適~)
ゴズメルは走り回るだけで楽しい子どものように、血まみれで鐵刑の塔を駆け上った。
「おーい、ジーニョじいさーん!」
六層目に着いてすぐ大声を張ったが、ジーニョは留守なのか聞こえていないふりをしているのか、出てこない。
が、ハイテンションのゴズメルが隠し部屋の前で斧を振りかぶると、「ギャー」とどこからか石像にまたがって飛び出してきた。
「ふざけるな! 俺の店を壊すつもりか、バカヤロウ」
「いやー、はっはっは。呼んでも出てこないもんだから」
斧を放り投げ、くるくる落ちてきたところをパシッと受け止め、アイテムボックスに収納する。
すっかり自分の血に酔っているゴズメルに、ジーニョは「戦闘狂め」と吐き捨てた。
「いったい何の用だ。……あの妖精のお嬢さんは一緒じゃないのか」
「そうなんだ。今、遠出できる状態じゃなくってさ」
「なんだと。どういうことだ」
よほどリリィのことを気に入っているのだろう。ジーニョの顔色が変わる。ゴズメルはつられて真顔になった。
「うん。実はそのことでおやっさんに相談があるのさ。リリィがあんたに助けを求めている」
リリィ効果は絶大だった。
偏屈なジーニョが工房へ入れてくれ、「その血をどうにかしろ」と水場さえ貸してくれる。
座ってゴズメルの説明を聞くと、ジーニョは顔中に皺を寄せた。口と目が顔の中央に寄って、広い額がますます広くなる。
口とがらせてタコみたいだな、とゴズメルが失礼なことを考えていると、まさか思考を読んだわけでもないだろうが、その顔をバッと両手で覆ってしまった。
びっくりしているゴズメルに、ジーニョは低い声で言った。
「……偽卵か」
「うん、そうだよ」
「はあぁ、偽卵かあぁ…………」
火吹き竜のごときため息に、ゴズメルは思わず顎を引いた。
「え、な、なに。やっぱり、作るの難しいのかい?」
「いや……うん……はぁ、あーあ……」
ジーニョはため息が止まらない様子だった。
「そうだよなぁ……お嬢さんもいつまでも子供というわけではないのだなあ……」
「……はあ?」
「あれだけ品がよくて、気遣いのできる可愛らしいお嬢さんだものな……妖精族なんて数も少ないし、そりゃ、偽卵が必要になることもあるんだろうなあ……」
何やら涙ぐんでさえいるジーニョに、ゴズメルはドンびきした。好きなアイドルの熱愛が発覚したような落ち込みようである。
ズッと鼻を啜って「それで、相手はどんな野郎なんだ」という。
「あ、あぁ?」
「おまえはずいぶん仲がいいようだから知ってるんだろう。いい男なのか。ちゃんとシッカリお嬢さんを養えるのか。まさか身勝手なDV野郎なんてことはないだろうな」
「ん。んーっと……」
「いやっ、やっぱりいい! 全然聞きたくない! 頼むから、俺になにも言わないでくれ」
こんな強火のリリィ担に、真実を言えるわけがない。
ゴズメルは口を滑らせないように気を付けながら「そうそう、聞かないほうがいいと思うよ」と返した。ジーニョはこの返事にかえって不安そうな顔をしたが、ごくんと言葉を飲み込んだ。
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