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急・異種獣人同士で子づくり!?ノァズァークのヒミツ編
75.最低で最悪で、最強(※浴尿展開があります)
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次兄のサゴンもたいがい暴力的だが、長兄のミギワには負ける、とゴズメルは思う。
上下関係にうるさくて、妹が自分に失礼な口を聞こうものならいつまでも根に持っている。
ゴズメルはこだわらない性格なので、うっかり兄を「おまえ」と呼んでしまうことがあった。
これがサゴンなら、こいつは何を言っているのかとポカンとした間が空く。「やべっ」と思ったゴズメルにとっては逃げる隙がまだあるわけだが、ミギワの場合は即座に手や足が飛んでくる。
「母ちゃ、兄つぁが、兄つぁがうちをいじめよる」
タンコブだらけにされたゴズメルはいつも泣きながら母に言いつけた。だが、ミギワはまるで動じなかった。
自分に非は一切なく、悪いのは生意気な口を利くゴズメルというわけだ。
見かねた母が「やりすぎちゃ」と叱ると、いつも信じられないという顔をしていた。毎度のことなのだから学習してもよさそうなものなのに、自分が怒られる理不尽を受け入れられないらしい。
おまけに口も立つので、母とのケンカもしょっちゅうだった。
母が「妹には優しくしちゃり」と言うと、ミギワは「妹やけ厳しくせんといかんやろもん」と返す。
ゴズメルに向かって人差し指を振りながら吐き捨てた。
「こんっな、みっともない身内おったら、家のもんが、みんな恥かく!」
「オォ恥くらい一緒にかいちゃればええが。弱かもんをいじめる兄つぁより、守ってやる兄つぁのほうが、母ちゃは誇らしいよ」
「母ちゃはわかっとらん! ゴズメルはアタマが弱いき俺がわからせてやっとんの!」
「しゃーしぃ! あんたがパカパカ殴ったら余計アタマが弱くなるっち言うとる!」
頭が弱いらしいゴズメルは、母と兄が言い争いはじめると、だんだん申し訳ない気分になってきてその場をそーっと逃げ出すのが常だった。
だが今は逃げることができない。
世話になったオズヌ一家をこてんぱんにされて、ゴズメルは怒りに震えていた。
「この、卑怯者」
「あ? なんち言うた」
「ミギワ、あんたは最低の卑怯者だ、と言ったんだ!」
ミギワの襟首に、ゴズメルは掴みかかった。涼しい顔をしている兄の顔に唾を飛ばして怒鳴る。
「用があるのはあたしだろう。あんたはデカい図体して、あたしが帰って来るのを待つこともできないのかっ!? こんな女子供や年寄りを辱めて、あんたはミノタウロス族の風上にもおけないクズ野郎だ!!」
「フン」
ミギワは鼻息とともにゴズメルを頭突いた。ゴズメルは間髪入れずに頭突き返す。
ミギワが乳房を掴んでくれば、ゴズメルは彼の股間を蹴り上げた。
ぎりぎりと睨みあいながら、二人は互いに一歩もひかなかった。
こいつにだけは絶対に勝たなくてはならないとゴズメルは思った。
子供の頃に自分を庇ってくれた母親はもういないのだ。もしも負ければ、何をされるかわからなかった。
背後で、リリィがロッドを構えていることにゴズメルは気づいた。
きっと今すぐにでもオズヌ一家に駆け寄りたいに違いない。
だがうかつに動くことは、あまりにも危険だった。
(勝てばいい。あたしが勝てば、ミギワはあたしに逆らえない。勝ちさえすればリリィが動ける。きっとオズヌの旦那を助けてくれる)
ゴズメルの顎から、冷たい汗が滴り落ちた。
勝てるイメージが少しも沸かない。
こんなに強く押しているのに、ミギワは根が生えたようにびくともしないのだ。
実力が完全に拮抗している――そのことが、ミギワには不本意だったのだろうか。
眉間に深い皺が刻まれ、次の瞬間、ミギワがぐんと膝を後ろにひいた。
バランスを崩したゴズメルは、危うく投げられそうになる。
だが胸に張り手を突く。ここは意地でもさがらない。
ミギワが目を剥く。互いの手と手の打ち合いがあり、二人は――同時にぞくっと激しい悪寒を覚えた。
足音だけで、その場にいる全員に恐ろしいほどの重圧がのしかかる。
ゴズメルは、オズヌが頭を抱えてばったりと前に倒れるのを見た。子どもたちはみんな泣いているが、恐怖のあまり声を上げることもできない。
「オサ、オサ」
オズヌの父親が手を合わせてしきりに頭を下げている。組み合うミギワの喉がごくっと鳴った。リリィは背後にいる。――怖気を振るったゴズメルはミギワを突き飛ばす勢いで後ろを振り向いた。
「■■■■、■■?」
そこに立つミノタウロスの声は低く、息と一体化していた。
訛りが強く、里を長く離れていたゴズメルは抑揚を聞き取ることしかできない。
リリィにとっては、ドラゴンのいななきも同然だろう。ロッドでからだを庇うようにしゃがみこんでいた。
「リリィ!」
ゴズメルは駆け寄ろうとして、硬い空気の壁に頬を切り裂かれた。そうとしか思えないのだ。
すかさず飛んできた男の黒い拳は素早く、見ることも避けることも叶わなかった。
ミギワは、何か言いかけたように見えた。だが気のせいだったかもしれない。腹に拳を入れられた彼はゴズメルと同様、立っていることができなかった。
「リリィ、に、逃げろ……」
兄ともども転がされたゴズメルは、頭上にジジジ・・・と軽い金具の音を聞いた。
あ、と思う。
ゴズメルの心は一瞬、幼児期に戻る。「ばっちぃ! やんた!」と叫んで逃げまどうのだが、叩かれて負けを認めさせられると、もう受け入れざるをえない。それはミノタウロス族が格付けのために用いる、伝統的な方法だ。
ゴズメルはぐっと目を閉じて耐えた。リリィに見られたくなかった。自分でも信じたくなかった。ミギワも同じ理不尽を感じているのろうか。顔を伏せてうめいている。
「■■■。■■■■■■■■■■」
じょぼぼぼ、と激しい音を立て、男は兄妹の頭上に熱い小便の雨を降らせた。
彼こそが野蛮なミノタウロス族をまとめあげる長であり・・・十年来会うことのなかった、ゴズメルの父だった。
上下関係にうるさくて、妹が自分に失礼な口を聞こうものならいつまでも根に持っている。
ゴズメルはこだわらない性格なので、うっかり兄を「おまえ」と呼んでしまうことがあった。
これがサゴンなら、こいつは何を言っているのかとポカンとした間が空く。「やべっ」と思ったゴズメルにとっては逃げる隙がまだあるわけだが、ミギワの場合は即座に手や足が飛んでくる。
「母ちゃ、兄つぁが、兄つぁがうちをいじめよる」
タンコブだらけにされたゴズメルはいつも泣きながら母に言いつけた。だが、ミギワはまるで動じなかった。
自分に非は一切なく、悪いのは生意気な口を利くゴズメルというわけだ。
見かねた母が「やりすぎちゃ」と叱ると、いつも信じられないという顔をしていた。毎度のことなのだから学習してもよさそうなものなのに、自分が怒られる理不尽を受け入れられないらしい。
おまけに口も立つので、母とのケンカもしょっちゅうだった。
母が「妹には優しくしちゃり」と言うと、ミギワは「妹やけ厳しくせんといかんやろもん」と返す。
ゴズメルに向かって人差し指を振りながら吐き捨てた。
「こんっな、みっともない身内おったら、家のもんが、みんな恥かく!」
「オォ恥くらい一緒にかいちゃればええが。弱かもんをいじめる兄つぁより、守ってやる兄つぁのほうが、母ちゃは誇らしいよ」
「母ちゃはわかっとらん! ゴズメルはアタマが弱いき俺がわからせてやっとんの!」
「しゃーしぃ! あんたがパカパカ殴ったら余計アタマが弱くなるっち言うとる!」
頭が弱いらしいゴズメルは、母と兄が言い争いはじめると、だんだん申し訳ない気分になってきてその場をそーっと逃げ出すのが常だった。
だが今は逃げることができない。
世話になったオズヌ一家をこてんぱんにされて、ゴズメルは怒りに震えていた。
「この、卑怯者」
「あ? なんち言うた」
「ミギワ、あんたは最低の卑怯者だ、と言ったんだ!」
ミギワの襟首に、ゴズメルは掴みかかった。涼しい顔をしている兄の顔に唾を飛ばして怒鳴る。
「用があるのはあたしだろう。あんたはデカい図体して、あたしが帰って来るのを待つこともできないのかっ!? こんな女子供や年寄りを辱めて、あんたはミノタウロス族の風上にもおけないクズ野郎だ!!」
「フン」
ミギワは鼻息とともにゴズメルを頭突いた。ゴズメルは間髪入れずに頭突き返す。
ミギワが乳房を掴んでくれば、ゴズメルは彼の股間を蹴り上げた。
ぎりぎりと睨みあいながら、二人は互いに一歩もひかなかった。
こいつにだけは絶対に勝たなくてはならないとゴズメルは思った。
子供の頃に自分を庇ってくれた母親はもういないのだ。もしも負ければ、何をされるかわからなかった。
背後で、リリィがロッドを構えていることにゴズメルは気づいた。
きっと今すぐにでもオズヌ一家に駆け寄りたいに違いない。
だがうかつに動くことは、あまりにも危険だった。
(勝てばいい。あたしが勝てば、ミギワはあたしに逆らえない。勝ちさえすればリリィが動ける。きっとオズヌの旦那を助けてくれる)
ゴズメルの顎から、冷たい汗が滴り落ちた。
勝てるイメージが少しも沸かない。
こんなに強く押しているのに、ミギワは根が生えたようにびくともしないのだ。
実力が完全に拮抗している――そのことが、ミギワには不本意だったのだろうか。
眉間に深い皺が刻まれ、次の瞬間、ミギワがぐんと膝を後ろにひいた。
バランスを崩したゴズメルは、危うく投げられそうになる。
だが胸に張り手を突く。ここは意地でもさがらない。
ミギワが目を剥く。互いの手と手の打ち合いがあり、二人は――同時にぞくっと激しい悪寒を覚えた。
足音だけで、その場にいる全員に恐ろしいほどの重圧がのしかかる。
ゴズメルは、オズヌが頭を抱えてばったりと前に倒れるのを見た。子どもたちはみんな泣いているが、恐怖のあまり声を上げることもできない。
「オサ、オサ」
オズヌの父親が手を合わせてしきりに頭を下げている。組み合うミギワの喉がごくっと鳴った。リリィは背後にいる。――怖気を振るったゴズメルはミギワを突き飛ばす勢いで後ろを振り向いた。
「■■■■、■■?」
そこに立つミノタウロスの声は低く、息と一体化していた。
訛りが強く、里を長く離れていたゴズメルは抑揚を聞き取ることしかできない。
リリィにとっては、ドラゴンのいななきも同然だろう。ロッドでからだを庇うようにしゃがみこんでいた。
「リリィ!」
ゴズメルは駆け寄ろうとして、硬い空気の壁に頬を切り裂かれた。そうとしか思えないのだ。
すかさず飛んできた男の黒い拳は素早く、見ることも避けることも叶わなかった。
ミギワは、何か言いかけたように見えた。だが気のせいだったかもしれない。腹に拳を入れられた彼はゴズメルと同様、立っていることができなかった。
「リリィ、に、逃げろ……」
兄ともども転がされたゴズメルは、頭上にジジジ・・・と軽い金具の音を聞いた。
あ、と思う。
ゴズメルの心は一瞬、幼児期に戻る。「ばっちぃ! やんた!」と叫んで逃げまどうのだが、叩かれて負けを認めさせられると、もう受け入れざるをえない。それはミノタウロス族が格付けのために用いる、伝統的な方法だ。
ゴズメルはぐっと目を閉じて耐えた。リリィに見られたくなかった。自分でも信じたくなかった。ミギワも同じ理不尽を感じているのろうか。顔を伏せてうめいている。
「■■■。■■■■■■■■■■」
じょぼぼぼ、と激しい音を立て、男は兄妹の頭上に熱い小便の雨を降らせた。
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