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26.ノァズァーク・プロジェクト(後)
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『ジーニョ』のアバターを見た社員は、みんな笑った。
「その冗談みたいな髪型はなんだ?」
「社員は好きなアバターをデザインできたのに、わざわざお年寄りにならなくてもいいでしょうに」
「うるさい。ひとの容姿にケチをつけるな」
ノァズァークにログインした彼らは、当然のごとく現実世界と異なる容姿をしていた。一般プレイヤーは種族や性別をランダムに割り振られるが、社員は区別のため種族を持たない。毛皮や牙を持たない、人間だった。
「でも性別が二種類だけなのは、ちょっと旧時代的すぎるよね」
この仕様が、リーは気に入らないようだった。
「ゲームの中で性別違和に苦しむプレイヤーが出てくるかもしれない。せめて自分で選べたらいいのに」
「社長のゲン担ぎじゃ仕方ないだろ」
金髪の勇者となったカトーが肩をすくめた。
ノァズァークにはモチーフとなった神話がある。大洪水の時、神は人間に巨大な箱舟を作らせて、すべての動物から雄雌をつがいで乗せた。箱舟は長い漂流ののち安全な大地にたどりつき、子孫は繁栄したという。
ジーニョは首を振った。
「それだけじゃない。長旅の間、どうしたって世代交代は避けられないからな。一定の人口を維持し続けるためにも、わかりやすく雌雄を区別しておかないと混乱する」
「性行為の必要もないのに?」
「リー、この議論はさんざんしただろう。複雑なシステムを取り入れれば船の推進力に影響する。それに、設定を現実に寄せておかなければ新天地での生活が成り立たなくなるおそれが」
「わかってるよ。わかってるけどね」
口をとがらせているリーを、ジーニョははたと見た。
娯楽として楽しむゲームとは違い、長い時間を過ごす必要がある。ほとんどの社員は現実と同じ性別を選択していたが、今のリーはどうなのだろう。容姿が幼すぎて判然としない。思わず胸のあたりに視線を注いでしまうジーニョに、リーは「ひとの容姿にケチつけないでくれる」とやりかえした。
ノァズァークの主役はあくまで一般プレイヤーだ。社員は裏方に徹する。現実の記憶を白紙化され、世界の知識とともに目覚めたひとびとは、種族に応じて定められた地域に暮らした。
プレイヤー同士で親交を深めながら、設定されたボスモンスターを倒し、地域を発展させていく。現実を簡易化し、ファンタジー世界に置き換えた夢の中で日が昇っては沈んだ。
当初、「アジリニ」という人工知能システムは、あくまで運営会社が提供するユーザーサポートの域を出ていなかった。それは棒状のモニュメントとして各地に設置され、アップデートやプレイヤーの要望吸い上げに用いられていた。プレイヤーもそれを単に不思議な力を持つ棒として認識していたはずだ。
『迷ってしまいました。家への帰り道を教えてください』
『モンスターを倒してもなかなかレベルがあがらない。今の経験値を教えてください』
『結婚したいです。祈願の受付をお願いします』
メニュー画面のアップデートと、現行のアジリニを神殿様式に切り替えるよう提案したのはジーニョである。それらしい神話を創作し、神官という職業を用意する。そうすればプレイヤーのユーザビリティが向上するし、システムへの負荷もおさえられるから、と。
自社の神格化など恥ずかしい気もしたけれど、実際、プレイヤーのアジリニへの接し方は原始宗教の起こり方によく似ていた。
ジーニョは「要はゲーム内の役所なんだから神殿でいいだろう」と説明し、ほかの社員たちもそれを受け入れた。おそらくみんな、心のどこかで神を求めていたのだろう。寄る辺のない漂流の旅で、自分たちを導いてくれる人を求めていた。もしかしたらそれは、母星に残った社長のことだったのかもしれない。
最初のバグは、モンスターから発生した。
「明らかにやべえのが沸いてんだけど」
発見したのはカトーだった。彼は「暇しねーように、あちこち冒険してくるわ!」と自分の持ち場を他の社員に押し付けて、一般プレイヤーのように遊びまわっていた。
彼が持ち帰ったモンスターは本来の仕様とは異なる変異を遂げていた。
「素材はシッカリ落とすから他のプレイヤーは気にしていないが、明らかに挙動がおかしい。設定していた動きと違うし、見た目も……」
黒い瘴気を放っている。データを照合してみると、バグが発生していた。
「この一体だけか」
「いや、群れが軒並みやられてたぜ。別種のモンスターにも伝染しているようにも見えたな」
「…………」
「ま、心配しすぎかもしれないけどな。プレイヤーや本体に異常は起こってないみたいだし」
「……いや。実は、俺の担当地域でも妙なことが起こっている」
局所的な異常気象が起こっていた。干ばつである。データ上ではなんの不具合も起こっていないのに、設定にはない障害が続いた。迷惑を被るのはプレイヤーである。極度な乾燥は火災を招き、作物も育たない。すみかを追われる種族も多かった。
「種族を絶滅させるよりはマシだと、先日ある種族の居住地を移動する手続きをとったのだが……彼らはアジリニに不信感を抱いているようだった。『なんで神様の見る夢の中で、こんなにひどいことが起こるんですか?』と言われてな……」
言ってもわかるわけがないと思いつつ、ジーニョは『ここで起こる良いことも悪いことも夢だから、実害はない』と説明せざるを得なかった。社員と一般プレイヤーの認識に隔たりがあるのは、無事に新天地へ到着するという目的を達成するには仕方のないことだ。
あれこれの対策が後手に回った結果として――戦争は起こった。
作物をめぐる種族の小競り合いが血で血を洗う殺し合いに変わるのはあっという間だった。本来であればモンスターにしか向けることのできない武器を、プレイヤーは自ら改造し、同じプレイヤーに振るった。
社員も、ただ手をこまねいていたわけではない。表舞台に立たないように何度も和解の道を探り、プレイヤーを共存へと導こうとした。しかし一度ついた争いの火は、容易には消えなかった。
「もう、無理だよ!」
一番最初にそう言ったのは、リーだった。
「今の私たちの権限じゃ、ノァズァークの主役であるプレイヤーには強く干渉できない。アジリニに要請しよう。私たちは、彼らに対して強制力を持つべきなんだ。羊を牧する羊飼いのように」
「なにが羊だ。ふざけるな」
ジーニョはこれに真っ向から反対した。
「そんなことをしたらプレイヤーの自由意志はどうなる。ノァズァークで主体性を持って活動する脳の働きが、船の推進力になっているんだぞ!」
「主体性をなくすのとは違う! ただ間違った方向にいかないよう、頑丈な柵を立てるだけ」
「社長はそんなこと望んでなかった!」
ジーニョは孤立無援だった。他の社員たちはみんなリーと同じ考えでいるらしい。当然だろう。争いから逃げるために乗っている船で、争いが起こっているのだ。特権的な力を行使してでも今すぐに止めたいと、その場にいる誰もが――実際のところジーニョでさえ――そう思っていた。
偏屈で人好きしないジーニョは、彼らを年寄りくさく怒鳴りつけた。自分のためにではない。社長の考えを尊重するために。
「どうもおまえら勘違いしとるようだがな、プレイヤーは社員が好き勝手できる人形じゃない。社長は俺たちと同じように、プレイヤーを一人一人、花を摘むみたいに選んだんだ。俺たちがプレイヤーに対して特権を行使していいわけがないだろう。強い力を使わなくても、辛抱強く訴えかければわかってくれるはずだ、一般プレイヤーだって」
「――雑種のことは、どうするの」
だが、リーの問いかけには答えられなかった。
大陸間の戦争を通して他種族の交流がいっそう盛んになったのは、皮肉な話である。雑種は増え続けていた。
人工知能であるアジリニは、プレイヤーの祈願に機械的に応えたのだ。ノァズァークの神は、この世界に雑種が生まれることを許した。そのプレイヤーが新天地にたどりつけないとしても。
「社長は間違ってたんだよ……」
リーは涙声だった。
「この世界は神話の中みたいに綺麗にはできていない。そういう考えを持たないように予め縛りつけておかなければ、ひとは自由にひとを好きになるし、勝手に他人を嫌いになる。だからこんな簡単に殺すんじゃないか」
「…………」
重い沈黙が、ジーニョの肩にのしかかった。何が正しくて何が間違っているのか、彼自身にもわからなくなりかけた時、真剣な空気をぶち壊して会議に乱入してくる男がいた。
「うっすー。お疲れっすー」
「カトー! おまえッ!」
ジーニョは無神経なカトーに掴みかかった。
「この緊急事態に、一体どこほっつき歩いていたんだ!」
「おう、俺は大陸制覇を成し遂げたぜ! プレイヤーが戦争にハマッたおかげで、バグに汚染されたモンスターがそこらじゅうあふれかえってるんだ。普通に暮らしてる連中からめちゃくちゃ感謝された」
ハイお土産、と手渡された素材を(ドラゴンの逆鱗だった)ジーニョはバシッと手で払った。
「ふざけるな! こんな時まで勇者気取りか!?」
「……うん?」
カトーは、笑って首をかしげた。
「なんだ? たかがゲームに何を真剣になってんだよ」
「…………!?」
「ジーニョおじいちゃん、もしや現実とゲームの区別がついていない?」
カトーの口ぶりは揶揄っているというよりも、むしろ哀れんでいるように聞こえた。
「なんとなく話は聞こえてたけどさあ、たかがゲームの中の話なんだから何回でも死ねばいいじゃん。それとも、この戦争でプレイヤーの本体が死んだりしてんのか?」
「いや……」
「なー? 結局のところ、何もかも夢の中の話なんだって」
「……だが、大量に死ぬことがあればノァズァークの文化が後退する。親のいない子供は保護を受けられないだろう。おい、こんなの当たり前のことだろう。言わなきゃわからないのか、こんな簡単なことが」
「ジーニョ……」
カトーは呆れたように言った。
「だからゲームの中の話だって言ってんだろ。おまえ、入れ込みすぎ。……リー。雑種とはいえ次世代のアバターに不足はないんだろ?」
「……むしろ、祈願を申請したいプレイヤーは増えてるよ」
死んだプレイヤーは休眠ののち、再び別のアバターを与えられて誕生する。それが完全な死でないといえば、確かにそうだ。社員の認識としてはそれで正しい。
だが、本当に――?
ジーニョは、我知らず後ずさっていた。目の前にいる金髪の男は本当に自分の知っているカトーなのだろうか。
「どいつもこいつも、人類の歴史をゲームでなぞってるだけのことを、何ガタガタ言ってんだ。……まあガッツリ介入したほうがいいってのは俺も同感だけど。ルーチンワークにも飽きてきたしな」
勇者カトーは、ジーニョ老人の頭にガシッとヘッドロックをかけた。その笑みには色気じみたものさえ混じっている。ビーチサンダルをぺたぺた鳴らして歩く、生意気なガキの面影はすでに消え失せていた。
「おじいちゃんお疲れだねえ。いい機会だし、ちょっと担当エリアを縮小してさあ、楽な仕事に移ったらどう?」
言わんとしていることが読み取れて、ジーニョは肩を怒らせた。思わず見たリーが、ふいっと視線を逸らす。
「リー、おまえっ……」
「……カトーの言う通りだよ、ジーニョ。君は疲れているし、正常な判断を下せる状態にない」
「おまえら、俺を意思決定から締め出すつもりか!? 俺が抜けたらノァズァークはどうなると思ってる!」
「水臭えなあ。チームで仕事してるんだ、疲れてる時くらい仲間に任せろって」
「!!!」
いたわりの言葉は白々しかった。彼らは意見を曲げないジーニョをうるさがって、左遷しようとしているのだ。
「そんな顔すんなよ」
「ぐぅっ」
カトーの腕の力は強く、息は簡単に詰まった。
「安心しろ。しばらく寝ててもらうだけだ」
意識が遠のく。喋り続けているカトーの声は、膜を通したかのようにぼんやりとしていた。
「俺は冒険者協会を作ろうと思ってる――これからは社員もどんどん前に出て、プレイヤーと一緒に世界を修正するんだ。気が向いたらジーニョも手伝ってくれよな」
「社員は……ッ、あくまで、裏方だッ、おまえの勇者ごっこに、他人を巻き込むなッ……!」
「いいや、勇者は必要だぜ。ジーニョ」
がくっと足から力の抜けるジーニョを、カトーは当然のように支えた。
「誰かが世界を救わなきゃいけないだろう? ここはゲームの中なんだから」
ジーニョは、それ以上文句を言うことができなかった。
◇◆◇
鐵刑の塔は都合のいい左遷先であり、牢獄だった。高難度ダンジョンとして冒険者協会に管理されており、外には受付という名の見張りもいる。
社員の介入により戦争が終わってからも、ジーニョは塔の中に閉じこもり続けた。
魔物の研究に没頭したのはその頃だ。現実から目を背けたかった。ジーニョはノァズァークの変容を受け入れることができなかった。
カトーは冒険者協会本部の会長として、颯爽と世間に躍り出た。リーはプレイヤーを新天地に辿り着かせるために、数多くの実験を行った。実験内容と結果はすべてリリースノートに記載されていたが、ジーニョは見るたびに目をそむけたくなった。社長がもしここにいたら、プレイヤーの人権を無視することを許しはしなかったはずだ。
何よりジーニョは、自分がチーム内で不要と見なされたことに虚脱していた。
(結局、役立たずは役立たずのままだった。俺が家族を置き去りにして生き延びた意味などなかったのだ)
ジーニョはノァズァークで名前を変え、新しいアバターを得て、別人になれたような気がしていた。家族とはかけ離れた姿でよかった。偏屈な年寄りでいれば、もう誰にも「あなたを愛している」などと言われずに済む。
実際には、何をしたところでロナウジーニョはロナウジーニョのまま、終わることもできず、むざむざと生き恥をさらしている。
塔の中で、魔物は自然と発生しつづけた。研究を続けるうち、彼はそれをプログラムされたモンスターが単に自然適応した結果であると理解した。なんのことはない、異常気象も魔物の発生も、清潔なデジタル世界が一度に大勢のプレイヤーを受け入れた歪みを反映したものだったのである。
「テスト段階ではここまでの大人数でアクセスしなかったからな……」
独りごつ自分の声がやけに大きく、乾いて聞こえた。目を閉じると、社内の様子が驚くほど鮮明に脳裏に蘇ってくる。そこには神経質なロナウジーニョ氏がおり、クソ生意気なカトーがおり、修羅場になればなるほど菓子を食う手が止まらなくなるリーがいる。
プロジェクトの大詰めで何日も泊まり込みが続いていた。デスクに栄養ドリンクの瓶をズラッと並べる社員が一人落ち、二人落ち、(アホのカトーより先に寝てたまるか)と、目薬を差しているところに、いきなり出張帰りの社長が現れる。そのお土産が、よりにもよって折箱に直接、みっちりと詰まった餡ころ餅だった。個包装でもなく、非常に取り分けづらく食べづらい。『マジでセンスねぇ~』と呟くカトーを、氏は叩いて黙らせた。
今なお鮮明に思い出すということは、あれらの出来事は楽しかったのだろうか。それとも苦痛だったのだろうか。ジーニョの摩耗しきった心は、その答えを出すことができない。
「俺、は……」
その時だった。鐵刑の塔・第六層のギミックが体当たりによって破壊されたのは。
「魔道具屋はここかーッ!?」
品のないミノタウロス族の大女が、妖精族の美少女を担いでいる。
ジーニョは目の前で堂々といちゃつく二人に辟易した。当然だ。もう長い間、瀕死のプレイヤー以外を相手にしていない。ところがこの二人ときたらこの上ないほど生命力に満ちあふれ、ピンピンに元気なのだ。おまけに、ちょっとひくくらい仲が良く、驚くほど楽天的だった。
(戦争を知らない世代が、もうこんなに育っているのか)
ジーニョ老人は、若々しい二人を見ていて、過去が自分の背後で砂のように崩れ落ちていくのを感じた。その時、よく知っている誰かが笑ったような気がして――驚いて振り向いたのだが、当然ながら誰もいなかった。
「その冗談みたいな髪型はなんだ?」
「社員は好きなアバターをデザインできたのに、わざわざお年寄りにならなくてもいいでしょうに」
「うるさい。ひとの容姿にケチをつけるな」
ノァズァークにログインした彼らは、当然のごとく現実世界と異なる容姿をしていた。一般プレイヤーは種族や性別をランダムに割り振られるが、社員は区別のため種族を持たない。毛皮や牙を持たない、人間だった。
「でも性別が二種類だけなのは、ちょっと旧時代的すぎるよね」
この仕様が、リーは気に入らないようだった。
「ゲームの中で性別違和に苦しむプレイヤーが出てくるかもしれない。せめて自分で選べたらいいのに」
「社長のゲン担ぎじゃ仕方ないだろ」
金髪の勇者となったカトーが肩をすくめた。
ノァズァークにはモチーフとなった神話がある。大洪水の時、神は人間に巨大な箱舟を作らせて、すべての動物から雄雌をつがいで乗せた。箱舟は長い漂流ののち安全な大地にたどりつき、子孫は繁栄したという。
ジーニョは首を振った。
「それだけじゃない。長旅の間、どうしたって世代交代は避けられないからな。一定の人口を維持し続けるためにも、わかりやすく雌雄を区別しておかないと混乱する」
「性行為の必要もないのに?」
「リー、この議論はさんざんしただろう。複雑なシステムを取り入れれば船の推進力に影響する。それに、設定を現実に寄せておかなければ新天地での生活が成り立たなくなるおそれが」
「わかってるよ。わかってるけどね」
口をとがらせているリーを、ジーニョははたと見た。
娯楽として楽しむゲームとは違い、長い時間を過ごす必要がある。ほとんどの社員は現実と同じ性別を選択していたが、今のリーはどうなのだろう。容姿が幼すぎて判然としない。思わず胸のあたりに視線を注いでしまうジーニョに、リーは「ひとの容姿にケチつけないでくれる」とやりかえした。
ノァズァークの主役はあくまで一般プレイヤーだ。社員は裏方に徹する。現実の記憶を白紙化され、世界の知識とともに目覚めたひとびとは、種族に応じて定められた地域に暮らした。
プレイヤー同士で親交を深めながら、設定されたボスモンスターを倒し、地域を発展させていく。現実を簡易化し、ファンタジー世界に置き換えた夢の中で日が昇っては沈んだ。
当初、「アジリニ」という人工知能システムは、あくまで運営会社が提供するユーザーサポートの域を出ていなかった。それは棒状のモニュメントとして各地に設置され、アップデートやプレイヤーの要望吸い上げに用いられていた。プレイヤーもそれを単に不思議な力を持つ棒として認識していたはずだ。
『迷ってしまいました。家への帰り道を教えてください』
『モンスターを倒してもなかなかレベルがあがらない。今の経験値を教えてください』
『結婚したいです。祈願の受付をお願いします』
メニュー画面のアップデートと、現行のアジリニを神殿様式に切り替えるよう提案したのはジーニョである。それらしい神話を創作し、神官という職業を用意する。そうすればプレイヤーのユーザビリティが向上するし、システムへの負荷もおさえられるから、と。
自社の神格化など恥ずかしい気もしたけれど、実際、プレイヤーのアジリニへの接し方は原始宗教の起こり方によく似ていた。
ジーニョは「要はゲーム内の役所なんだから神殿でいいだろう」と説明し、ほかの社員たちもそれを受け入れた。おそらくみんな、心のどこかで神を求めていたのだろう。寄る辺のない漂流の旅で、自分たちを導いてくれる人を求めていた。もしかしたらそれは、母星に残った社長のことだったのかもしれない。
最初のバグは、モンスターから発生した。
「明らかにやべえのが沸いてんだけど」
発見したのはカトーだった。彼は「暇しねーように、あちこち冒険してくるわ!」と自分の持ち場を他の社員に押し付けて、一般プレイヤーのように遊びまわっていた。
彼が持ち帰ったモンスターは本来の仕様とは異なる変異を遂げていた。
「素材はシッカリ落とすから他のプレイヤーは気にしていないが、明らかに挙動がおかしい。設定していた動きと違うし、見た目も……」
黒い瘴気を放っている。データを照合してみると、バグが発生していた。
「この一体だけか」
「いや、群れが軒並みやられてたぜ。別種のモンスターにも伝染しているようにも見えたな」
「…………」
「ま、心配しすぎかもしれないけどな。プレイヤーや本体に異常は起こってないみたいだし」
「……いや。実は、俺の担当地域でも妙なことが起こっている」
局所的な異常気象が起こっていた。干ばつである。データ上ではなんの不具合も起こっていないのに、設定にはない障害が続いた。迷惑を被るのはプレイヤーである。極度な乾燥は火災を招き、作物も育たない。すみかを追われる種族も多かった。
「種族を絶滅させるよりはマシだと、先日ある種族の居住地を移動する手続きをとったのだが……彼らはアジリニに不信感を抱いているようだった。『なんで神様の見る夢の中で、こんなにひどいことが起こるんですか?』と言われてな……」
言ってもわかるわけがないと思いつつ、ジーニョは『ここで起こる良いことも悪いことも夢だから、実害はない』と説明せざるを得なかった。社員と一般プレイヤーの認識に隔たりがあるのは、無事に新天地へ到着するという目的を達成するには仕方のないことだ。
あれこれの対策が後手に回った結果として――戦争は起こった。
作物をめぐる種族の小競り合いが血で血を洗う殺し合いに変わるのはあっという間だった。本来であればモンスターにしか向けることのできない武器を、プレイヤーは自ら改造し、同じプレイヤーに振るった。
社員も、ただ手をこまねいていたわけではない。表舞台に立たないように何度も和解の道を探り、プレイヤーを共存へと導こうとした。しかし一度ついた争いの火は、容易には消えなかった。
「もう、無理だよ!」
一番最初にそう言ったのは、リーだった。
「今の私たちの権限じゃ、ノァズァークの主役であるプレイヤーには強く干渉できない。アジリニに要請しよう。私たちは、彼らに対して強制力を持つべきなんだ。羊を牧する羊飼いのように」
「なにが羊だ。ふざけるな」
ジーニョはこれに真っ向から反対した。
「そんなことをしたらプレイヤーの自由意志はどうなる。ノァズァークで主体性を持って活動する脳の働きが、船の推進力になっているんだぞ!」
「主体性をなくすのとは違う! ただ間違った方向にいかないよう、頑丈な柵を立てるだけ」
「社長はそんなこと望んでなかった!」
ジーニョは孤立無援だった。他の社員たちはみんなリーと同じ考えでいるらしい。当然だろう。争いから逃げるために乗っている船で、争いが起こっているのだ。特権的な力を行使してでも今すぐに止めたいと、その場にいる誰もが――実際のところジーニョでさえ――そう思っていた。
偏屈で人好きしないジーニョは、彼らを年寄りくさく怒鳴りつけた。自分のためにではない。社長の考えを尊重するために。
「どうもおまえら勘違いしとるようだがな、プレイヤーは社員が好き勝手できる人形じゃない。社長は俺たちと同じように、プレイヤーを一人一人、花を摘むみたいに選んだんだ。俺たちがプレイヤーに対して特権を行使していいわけがないだろう。強い力を使わなくても、辛抱強く訴えかければわかってくれるはずだ、一般プレイヤーだって」
「――雑種のことは、どうするの」
だが、リーの問いかけには答えられなかった。
大陸間の戦争を通して他種族の交流がいっそう盛んになったのは、皮肉な話である。雑種は増え続けていた。
人工知能であるアジリニは、プレイヤーの祈願に機械的に応えたのだ。ノァズァークの神は、この世界に雑種が生まれることを許した。そのプレイヤーが新天地にたどりつけないとしても。
「社長は間違ってたんだよ……」
リーは涙声だった。
「この世界は神話の中みたいに綺麗にはできていない。そういう考えを持たないように予め縛りつけておかなければ、ひとは自由にひとを好きになるし、勝手に他人を嫌いになる。だからこんな簡単に殺すんじゃないか」
「…………」
重い沈黙が、ジーニョの肩にのしかかった。何が正しくて何が間違っているのか、彼自身にもわからなくなりかけた時、真剣な空気をぶち壊して会議に乱入してくる男がいた。
「うっすー。お疲れっすー」
「カトー! おまえッ!」
ジーニョは無神経なカトーに掴みかかった。
「この緊急事態に、一体どこほっつき歩いていたんだ!」
「おう、俺は大陸制覇を成し遂げたぜ! プレイヤーが戦争にハマッたおかげで、バグに汚染されたモンスターがそこらじゅうあふれかえってるんだ。普通に暮らしてる連中からめちゃくちゃ感謝された」
ハイお土産、と手渡された素材を(ドラゴンの逆鱗だった)ジーニョはバシッと手で払った。
「ふざけるな! こんな時まで勇者気取りか!?」
「……うん?」
カトーは、笑って首をかしげた。
「なんだ? たかがゲームに何を真剣になってんだよ」
「…………!?」
「ジーニョおじいちゃん、もしや現実とゲームの区別がついていない?」
カトーの口ぶりは揶揄っているというよりも、むしろ哀れんでいるように聞こえた。
「なんとなく話は聞こえてたけどさあ、たかがゲームの中の話なんだから何回でも死ねばいいじゃん。それとも、この戦争でプレイヤーの本体が死んだりしてんのか?」
「いや……」
「なー? 結局のところ、何もかも夢の中の話なんだって」
「……だが、大量に死ぬことがあればノァズァークの文化が後退する。親のいない子供は保護を受けられないだろう。おい、こんなの当たり前のことだろう。言わなきゃわからないのか、こんな簡単なことが」
「ジーニョ……」
カトーは呆れたように言った。
「だからゲームの中の話だって言ってんだろ。おまえ、入れ込みすぎ。……リー。雑種とはいえ次世代のアバターに不足はないんだろ?」
「……むしろ、祈願を申請したいプレイヤーは増えてるよ」
死んだプレイヤーは休眠ののち、再び別のアバターを与えられて誕生する。それが完全な死でないといえば、確かにそうだ。社員の認識としてはそれで正しい。
だが、本当に――?
ジーニョは、我知らず後ずさっていた。目の前にいる金髪の男は本当に自分の知っているカトーなのだろうか。
「どいつもこいつも、人類の歴史をゲームでなぞってるだけのことを、何ガタガタ言ってんだ。……まあガッツリ介入したほうがいいってのは俺も同感だけど。ルーチンワークにも飽きてきたしな」
勇者カトーは、ジーニョ老人の頭にガシッとヘッドロックをかけた。その笑みには色気じみたものさえ混じっている。ビーチサンダルをぺたぺた鳴らして歩く、生意気なガキの面影はすでに消え失せていた。
「おじいちゃんお疲れだねえ。いい機会だし、ちょっと担当エリアを縮小してさあ、楽な仕事に移ったらどう?」
言わんとしていることが読み取れて、ジーニョは肩を怒らせた。思わず見たリーが、ふいっと視線を逸らす。
「リー、おまえっ……」
「……カトーの言う通りだよ、ジーニョ。君は疲れているし、正常な判断を下せる状態にない」
「おまえら、俺を意思決定から締め出すつもりか!? 俺が抜けたらノァズァークはどうなると思ってる!」
「水臭えなあ。チームで仕事してるんだ、疲れてる時くらい仲間に任せろって」
「!!!」
いたわりの言葉は白々しかった。彼らは意見を曲げないジーニョをうるさがって、左遷しようとしているのだ。
「そんな顔すんなよ」
「ぐぅっ」
カトーの腕の力は強く、息は簡単に詰まった。
「安心しろ。しばらく寝ててもらうだけだ」
意識が遠のく。喋り続けているカトーの声は、膜を通したかのようにぼんやりとしていた。
「俺は冒険者協会を作ろうと思ってる――これからは社員もどんどん前に出て、プレイヤーと一緒に世界を修正するんだ。気が向いたらジーニョも手伝ってくれよな」
「社員は……ッ、あくまで、裏方だッ、おまえの勇者ごっこに、他人を巻き込むなッ……!」
「いいや、勇者は必要だぜ。ジーニョ」
がくっと足から力の抜けるジーニョを、カトーは当然のように支えた。
「誰かが世界を救わなきゃいけないだろう? ここはゲームの中なんだから」
ジーニョは、それ以上文句を言うことができなかった。
◇◆◇
鐵刑の塔は都合のいい左遷先であり、牢獄だった。高難度ダンジョンとして冒険者協会に管理されており、外には受付という名の見張りもいる。
社員の介入により戦争が終わってからも、ジーニョは塔の中に閉じこもり続けた。
魔物の研究に没頭したのはその頃だ。現実から目を背けたかった。ジーニョはノァズァークの変容を受け入れることができなかった。
カトーは冒険者協会本部の会長として、颯爽と世間に躍り出た。リーはプレイヤーを新天地に辿り着かせるために、数多くの実験を行った。実験内容と結果はすべてリリースノートに記載されていたが、ジーニョは見るたびに目をそむけたくなった。社長がもしここにいたら、プレイヤーの人権を無視することを許しはしなかったはずだ。
何よりジーニョは、自分がチーム内で不要と見なされたことに虚脱していた。
(結局、役立たずは役立たずのままだった。俺が家族を置き去りにして生き延びた意味などなかったのだ)
ジーニョはノァズァークで名前を変え、新しいアバターを得て、別人になれたような気がしていた。家族とはかけ離れた姿でよかった。偏屈な年寄りでいれば、もう誰にも「あなたを愛している」などと言われずに済む。
実際には、何をしたところでロナウジーニョはロナウジーニョのまま、終わることもできず、むざむざと生き恥をさらしている。
塔の中で、魔物は自然と発生しつづけた。研究を続けるうち、彼はそれをプログラムされたモンスターが単に自然適応した結果であると理解した。なんのことはない、異常気象も魔物の発生も、清潔なデジタル世界が一度に大勢のプレイヤーを受け入れた歪みを反映したものだったのである。
「テスト段階ではここまでの大人数でアクセスしなかったからな……」
独りごつ自分の声がやけに大きく、乾いて聞こえた。目を閉じると、社内の様子が驚くほど鮮明に脳裏に蘇ってくる。そこには神経質なロナウジーニョ氏がおり、クソ生意気なカトーがおり、修羅場になればなるほど菓子を食う手が止まらなくなるリーがいる。
プロジェクトの大詰めで何日も泊まり込みが続いていた。デスクに栄養ドリンクの瓶をズラッと並べる社員が一人落ち、二人落ち、(アホのカトーより先に寝てたまるか)と、目薬を差しているところに、いきなり出張帰りの社長が現れる。そのお土産が、よりにもよって折箱に直接、みっちりと詰まった餡ころ餅だった。個包装でもなく、非常に取り分けづらく食べづらい。『マジでセンスねぇ~』と呟くカトーを、氏は叩いて黙らせた。
今なお鮮明に思い出すということは、あれらの出来事は楽しかったのだろうか。それとも苦痛だったのだろうか。ジーニョの摩耗しきった心は、その答えを出すことができない。
「俺、は……」
その時だった。鐵刑の塔・第六層のギミックが体当たりによって破壊されたのは。
「魔道具屋はここかーッ!?」
品のないミノタウロス族の大女が、妖精族の美少女を担いでいる。
ジーニョは目の前で堂々といちゃつく二人に辟易した。当然だ。もう長い間、瀕死のプレイヤー以外を相手にしていない。ところがこの二人ときたらこの上ないほど生命力に満ちあふれ、ピンピンに元気なのだ。おまけに、ちょっとひくくらい仲が良く、驚くほど楽天的だった。
(戦争を知らない世代が、もうこんなに育っているのか)
ジーニョ老人は、若々しい二人を見ていて、過去が自分の背後で砂のように崩れ落ちていくのを感じた。その時、よく知っている誰かが笑ったような気がして――驚いて振り向いたのだが、当然ながら誰もいなかった。
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