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第二部 1章
<3話>
ランチを一緒に楽しんだ翌日から、僕はアーノルドくんと一緒に行動するようになった。
10大名家と称される大貴族の中でも、もっとも力のあるヴァイオレット家の子息のアーノルドくんと連れ子ではあるけれどいちおう同じく10大名家に名を連ねるクロフォード家の僕に、クラスメイトたちは近づけないでいるらしい。
加えて、毎日のようにランチタイムと放課後に僕らを迎えにくるアシュリーたちのこともある。
大食堂では、いつの間にか僕らのために窓際の、いちばん日当たりがよく景色のいいテーブルが空けられるようになっていた。
だが、いつも食事中は痛いほどの視線を周囲から感じる。
僕の汚れた口周りを推しがナプキンで拭ったり、お行儀は悪いけれど「あ~ん」してもらう度に、食堂のあちこちからバタバタと人が倒れる音がするのだ。
レイも嫌がるアーノルドのために肉を切り分けてやったりと世話を焼いている。それをユーリがつまみ食いしてアーノルドを怒らせてゲラゲラ笑ったりそのユーリの皿からルークが肉を奪ったりしている姿にも、気絶する生徒たちが後を絶たないらしい。
『クロフォード先輩、いつもあまり表情を変えないのにルイスくんの前ではあんなに柔らかい表情でお笑いになるのね』
『いつも王様みたいなレイ様も弟はには優しいのね……! ギャップの破壊力がすごいわ』
『それを言うならユーリ様もよ! いつも冷静で尊大なのに、やんちゃな笑顔で弟組をからかってる姿、可愛すぎるじゃない!』
『そのユーリ様に悪戯をしかけられるルーク先輩こそ、一番尊いのですわ!』
周囲からそんな囁きが聞こえてくることもしょっちゅうだ。
アシュリーたちは他人の視線にさらされていることに慣れているのか、気にすることもなく楽しそうにしている。
無数の熱視線を感じながらランチをするのは恥ずかしかったけれど、それよりも推しと楽しい時間を過ごせる嬉しさのほうが勝つ。
時間の経過とともに周囲の視線は大して気にならなくなった。人間、どんなことにも慣れていくものである。
そんな風にして少しずつ学校生活に馴染んできた5月半ば。急遽、自習になった教室で初夏の気持ちいい風にそよがれながら、僕はアーノルドとおしゃべりをしていた。
「最近まで気づかなかったが、隣のクラスにブレイディ家の娘がいるんだとよ」
思い出したように、アーノルドが窓の外を眺めながら呟いた。
端と端の席だったはずの僕らだが、どういうわけかある日突然、アーノルドの席が僕の隣に移動になった。おそらくアシュリーたちが手を回してくれたのだろう。
休み時間の度にアーノルドの机まで駆け寄っていく必要がなくなって、ありがたい。
「ブレイディ家って、10大名家の? アーノルドくんはその子に会ったことがあるの?」
俺の質問に彼は天使のように可愛い顔を凶悪に歪めた。
「ある。すっげえうるせえ女だった。あと末席のくせに態度がでけぇ」
「そうなんだ」
10大名家といっても同列ではなく明らかな序列がある。
まず五大公爵家のヴァイオレット家、クロフォード家、ランドルフ家、コールマン家だ。その後にオレアリー侯爵、ドハーティ侯爵、アーウェイン侯爵、キーディング伯爵、そしてブレイディ伯爵の順番になっているのだ。
ちなみに五大公爵家と三大侯爵家の間にも大きな権威の差があり、さらに2つの伯爵家は格下なのだ。もちろん伯爵家なので、10大名家に名を連ねない公爵家や侯爵家よりも地位は低い。
「おまえもあの女に絡まないほうがいいぞ。まじでうぜえから」
だが、この手の発言はゲームにおいてはフラグになることが多い。例にもれず、それからすぐに、僕はブレイディ家の令嬢と遭遇することになったのだ。
10大名家と称される大貴族の中でも、もっとも力のあるヴァイオレット家の子息のアーノルドくんと連れ子ではあるけれどいちおう同じく10大名家に名を連ねるクロフォード家の僕に、クラスメイトたちは近づけないでいるらしい。
加えて、毎日のようにランチタイムと放課後に僕らを迎えにくるアシュリーたちのこともある。
大食堂では、いつの間にか僕らのために窓際の、いちばん日当たりがよく景色のいいテーブルが空けられるようになっていた。
だが、いつも食事中は痛いほどの視線を周囲から感じる。
僕の汚れた口周りを推しがナプキンで拭ったり、お行儀は悪いけれど「あ~ん」してもらう度に、食堂のあちこちからバタバタと人が倒れる音がするのだ。
レイも嫌がるアーノルドのために肉を切り分けてやったりと世話を焼いている。それをユーリがつまみ食いしてアーノルドを怒らせてゲラゲラ笑ったりそのユーリの皿からルークが肉を奪ったりしている姿にも、気絶する生徒たちが後を絶たないらしい。
『クロフォード先輩、いつもあまり表情を変えないのにルイスくんの前ではあんなに柔らかい表情でお笑いになるのね』
『いつも王様みたいなレイ様も弟はには優しいのね……! ギャップの破壊力がすごいわ』
『それを言うならユーリ様もよ! いつも冷静で尊大なのに、やんちゃな笑顔で弟組をからかってる姿、可愛すぎるじゃない!』
『そのユーリ様に悪戯をしかけられるルーク先輩こそ、一番尊いのですわ!』
周囲からそんな囁きが聞こえてくることもしょっちゅうだ。
アシュリーたちは他人の視線にさらされていることに慣れているのか、気にすることもなく楽しそうにしている。
無数の熱視線を感じながらランチをするのは恥ずかしかったけれど、それよりも推しと楽しい時間を過ごせる嬉しさのほうが勝つ。
時間の経過とともに周囲の視線は大して気にならなくなった。人間、どんなことにも慣れていくものである。
そんな風にして少しずつ学校生活に馴染んできた5月半ば。急遽、自習になった教室で初夏の気持ちいい風にそよがれながら、僕はアーノルドとおしゃべりをしていた。
「最近まで気づかなかったが、隣のクラスにブレイディ家の娘がいるんだとよ」
思い出したように、アーノルドが窓の外を眺めながら呟いた。
端と端の席だったはずの僕らだが、どういうわけかある日突然、アーノルドの席が僕の隣に移動になった。おそらくアシュリーたちが手を回してくれたのだろう。
休み時間の度にアーノルドの机まで駆け寄っていく必要がなくなって、ありがたい。
「ブレイディ家って、10大名家の? アーノルドくんはその子に会ったことがあるの?」
俺の質問に彼は天使のように可愛い顔を凶悪に歪めた。
「ある。すっげえうるせえ女だった。あと末席のくせに態度がでけぇ」
「そうなんだ」
10大名家といっても同列ではなく明らかな序列がある。
まず五大公爵家のヴァイオレット家、クロフォード家、ランドルフ家、コールマン家だ。その後にオレアリー侯爵、ドハーティ侯爵、アーウェイン侯爵、キーディング伯爵、そしてブレイディ伯爵の順番になっているのだ。
ちなみに五大公爵家と三大侯爵家の間にも大きな権威の差があり、さらに2つの伯爵家は格下なのだ。もちろん伯爵家なので、10大名家に名を連ねない公爵家や侯爵家よりも地位は低い。
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