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第二部 4章
<2>
「絵の中にアシュリーがいたっていうのか?!」
父上は信じられないという顔で叫んだ。
よほど急いでやってきたのだろう、見たこともないほど髪も服も乱れている。
母上は一緒にやっきてたものの、ショックのあまり寝込んでしまった。
「はい、離れの部屋に飾ってある大きな絵の中です。皆さんにもご確認いただいた方が良いかとおもうのですが」
ジェシーの言葉にヴァイオレット公爵が頷く。
「そうだな。離れから持ってこさせよう」
だが数十分後、使用人たちは手ぶらで戻ってきた。
「我々では絵に触れることができませんでした。触れようとすると、透明なバリアのようなものに弾かれてしまうのです」
別荘の執事長兼管理人であるカーティス・ジョーンズが困惑した顔で報告する。
「ジェシー、ルイス。さっきは絵に触れられたのかい?」
父上がこっちを見た。
「いいえ。俺たちは絵に近付きはしましたが、触れてはいません。そうだよな、ルイス」
「はい」
「そうか……絵を動かせないのであれば、我々から行くしかないな。皆、離れに向かおう 」
ヴァイオレット公爵の言葉に俺たちは立ち上がった。
例の絵を目にした瞬間、皆、口々にあっと叫んだ。
「本当にアシュリーがいます……昨日と同じ服装ですし、間違いありません」
レイの声は驚きのあまり掠れていた。
「なぜこんなことに……」
絵の中の息子を前に父上は呆然としている。
「兄さま、この絵……」
「ああ。昨晩から描かれた人間たちが動いている」
ジェシーの眼差しは見たことがないほど厳しい。
「ヴァイオレット公爵、父上」
その声に、父上と公爵が振り返った。
「とても信じがたいのですが……昨夜ルイスと俺が見た位置から、アシュリーが動いているんです」
海の前で困惑した表情を浮かべていたはずの推しは、画面の中央でレイによく似た金髪男の隣で彼と微笑み合っている。
「昨晩、俺たちがアシュリーを見つけたとき、アシュリーは絵の奥の方にいて、海の前に立っていました」
ヴァイオレット公爵と父上は顔を見合わせる。
二人の顔色は悪く、額には汗が浮いていた。
「……ヴァイオレット公爵。まさかとは思いますが、これは呪いの絵ということでしょうか?」
父上の声には動揺が滲んでいた。
公爵は静かに頷く。
「ああ。それしか考えられない」
「呪いの絵?」
不吉な単語に心の中がざわつく。いったいなんだろう。
ゲームには出てきていたただろうか。
「ええ、これは間違いなく呪いの絵でしょうね」
それまで黙っていたユーリが口を開く。皆の視線が一斉に彼に集まった。
「ご存知ないかもしれませんが、リエンツは大陸でもっとも呪いの絵の発見率が高い。我がギレスベルガー公爵家でも呪いの絵が発見されたことがあります」
父上は驚きの目をユーリに向ける。
「ギレスベルガー公爵家で!? ではユーリは呪いの絵については詳しいのか? わが国では数十年に一度発生するかしないかで、私も恥ずかしながら初めて実物を見たのだよ」
「私もだ」
ヴァイオレット公爵が同意する。
「ユーリ殿、よければ呪いの絵について詳しく教えてくれないか」
ユーリは少し考え込むように視線を伏せてじっとしていたが、やがて顔を上げた。
「承知しました。呪いの絵について、わたしが知る限りのことをお話します」
父上は信じられないという顔で叫んだ。
よほど急いでやってきたのだろう、見たこともないほど髪も服も乱れている。
母上は一緒にやっきてたものの、ショックのあまり寝込んでしまった。
「はい、離れの部屋に飾ってある大きな絵の中です。皆さんにもご確認いただいた方が良いかとおもうのですが」
ジェシーの言葉にヴァイオレット公爵が頷く。
「そうだな。離れから持ってこさせよう」
だが数十分後、使用人たちは手ぶらで戻ってきた。
「我々では絵に触れることができませんでした。触れようとすると、透明なバリアのようなものに弾かれてしまうのです」
別荘の執事長兼管理人であるカーティス・ジョーンズが困惑した顔で報告する。
「ジェシー、ルイス。さっきは絵に触れられたのかい?」
父上がこっちを見た。
「いいえ。俺たちは絵に近付きはしましたが、触れてはいません。そうだよな、ルイス」
「はい」
「そうか……絵を動かせないのであれば、我々から行くしかないな。皆、離れに向かおう 」
ヴァイオレット公爵の言葉に俺たちは立ち上がった。
例の絵を目にした瞬間、皆、口々にあっと叫んだ。
「本当にアシュリーがいます……昨日と同じ服装ですし、間違いありません」
レイの声は驚きのあまり掠れていた。
「なぜこんなことに……」
絵の中の息子を前に父上は呆然としている。
「兄さま、この絵……」
「ああ。昨晩から描かれた人間たちが動いている」
ジェシーの眼差しは見たことがないほど厳しい。
「ヴァイオレット公爵、父上」
その声に、父上と公爵が振り返った。
「とても信じがたいのですが……昨夜ルイスと俺が見た位置から、アシュリーが動いているんです」
海の前で困惑した表情を浮かべていたはずの推しは、画面の中央でレイによく似た金髪男の隣で彼と微笑み合っている。
「昨晩、俺たちがアシュリーを見つけたとき、アシュリーは絵の奥の方にいて、海の前に立っていました」
ヴァイオレット公爵と父上は顔を見合わせる。
二人の顔色は悪く、額には汗が浮いていた。
「……ヴァイオレット公爵。まさかとは思いますが、これは呪いの絵ということでしょうか?」
父上の声には動揺が滲んでいた。
公爵は静かに頷く。
「ああ。それしか考えられない」
「呪いの絵?」
不吉な単語に心の中がざわつく。いったいなんだろう。
ゲームには出てきていたただろうか。
「ええ、これは間違いなく呪いの絵でしょうね」
それまで黙っていたユーリが口を開く。皆の視線が一斉に彼に集まった。
「ご存知ないかもしれませんが、リエンツは大陸でもっとも呪いの絵の発見率が高い。我がギレスベルガー公爵家でも呪いの絵が発見されたことがあります」
父上は驚きの目をユーリに向ける。
「ギレスベルガー公爵家で!? ではユーリは呪いの絵については詳しいのか? わが国では数十年に一度発生するかしないかで、私も恥ずかしながら初めて実物を見たのだよ」
「私もだ」
ヴァイオレット公爵が同意する。
「ユーリ殿、よければ呪いの絵について詳しく教えてくれないか」
ユーリは少し考え込むように視線を伏せてじっとしていたが、やがて顔を上げた。
「承知しました。呪いの絵について、わたしが知る限りのことをお話します」
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