ゲスいお嬢様的日常(仮)

胸の轟

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私って罪な女ね!≪美羽≫【1】

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「え~と、美羽、さん?で良かったかな、名前。」


突然の声に驚いて顔をあげると、ロング丈カットソーにパーカーを重ね、スキニーという出で立ちの、漆黒の髪と紅玉の瞳の、ものッすごい美少年が居た。


「天使?」
「は?」

これはもう、胸に飛び込むしかないわね!


「すごく怖かったよぉっ」
「うわっ!ちょっ、あのっ」


突然胸に飛び込んだ私を、彼は焦りながらもしっかり抱き留めてくれた。


無言ですがり付く私に少し戸惑った後、どうして良いか分からなかった手を、おずおずと背に回しそっと抱きしめてくる。


「えっと、あの…、俺が来たからもう大丈夫です。安心してください。」

「…ほんとに?」
「はい。」

抱き合ったまま、彼の顔を見上げれば、紅玉の瞳が真っ直ぐ私を見つめてくる。


「私を助けに来てくれたんだよね?」

「はい。」

「…私、誰にも知られずここで死ぬかもって思って怖かったの。…来てくれてありがとう。君は私のヒーローよ。」

美少女のうっとりするほど素敵な笑みを間近で食らい、今更ながら顔の距離の近さにハッとした彼が、頬を染め視線を泳がせる。


「あのっ、俺…、あ~、なんていうか、…すごい戸惑ってます。…俺の心臓が、すごく煩くて…。これって美羽さんのせいなんだろうって思うから、離れなきゃって思うのに、離れたくなくて。…ずっと美羽さんを抱きしめていたい、なんて思ったり…って、逢ったばっかなのに何言ってんだ俺。」


聞き逃しそうなほどの小さな声で、すいませんと謝ってきた。

「…私も」
「え?」

「私の心臓もすごく煩いの。」

「美羽さん…。」
「ドキドキ、お揃いだね。」

「俺…、自分がこんな風になるの初めてで、そんな自分の感情に混乱して…、あの、俺、こう見えて割とモテるんですけど、あっ、べ、別に自慢したいんじゃないです!あの、決して女友達が居ないとか、周り男だけってわけじゃないことを伝えたくて、その、…女子と関わり合ってても、心がどうこうなることなんかなくて。…だから、…だから、誰も居なくて、初めて美羽さんとこうしてるから、おかしなこと口走ってるとは思わないでください…。美羽さんだから、…美羽さんじゃなきゃ…」

少し力を込めて抱きしめられる。


「ここから脱出出来たら…」








そんな展開になるはずだったのに、なんでこうなるのよ!


強打した顔と身体が痛い。

「……避けるとか酷い。」

「なんか邪な波動を感じたもんで。大丈夫ですか?」

「見て分かんない?大丈夫じゃないわよ!散々だわ!訳の分からない場所に閉じ込められて、歩いても歩いてもどこにもたどり着かなくて頭おかしくなりそうなうえにこの仕打ち!美少女が弱ってんだから抱きしめなさいよ!」

「それはすいませんでした?」

「何その疑問系!!」
「俺の手を握ってください。」

「は?急に意味分かんない。」


ああ、なるほど。抱きしめるのは恥ずかしいけど、手なら大丈夫ってことね。


女慣れしてない無垢な美少年。

なんだか素敵な響きね!


まだ何も知らず、汚れなき心と身体に、最初に印を付けることが出来たなら、最高の気分を味わえそう。


私のものにしちゃおっかなあ~。うふふ。


「あのー、早く俺の…、えっと…」

得意のウルっとした庇護欲をそそる上目遣いで彼を見つめる。

「手を」

よし、私のものにすること決定!



彼の手を握った瞬間、周りの景色が変わった。




「!?……え?え?え?どこ此処?」


そこは吹き抜けで日差しが降り注ぎ、天井付近には名前も知らない植物の葉が、お洒落な感じを演出していた。


中央には小さな噴水があり、水がキラキラしている。


「じゃあ、こっちへ。」

噴水の水の何倍もキラキラした笑顔で美少年が言う。

「ちょっと、ここ、どこなのよ!」


答えない美少年の後について渡り廊下を行くと、さっきより広い場所に出た。


円形状のそこは、やはり吹き抜けで日差しが降り注ぎ、いろんな花の鉢植えや小さなテーブルと椅子が置かれ、前と左右に渡り廊下が続いている。


前方の渡り廊下の先には、ポーチっぽいものが見えている。



「……ホテル?」
「家です。」

家以外の何に見えんだよ、みたいな顔で見られた。






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