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あたしにはハニカになる前の記憶がある。それを思い出した時には、前と違い過ぎて混乱したけど、慣れきった頃には前世を思い出すことも減って、このまま全部忘れてくんだろうなぁって思ってたらジュドを見てハッとした。


あ、あたしってば王子様ってヤツが大好きだったって。

主人公が王子様とハッピーエンドになる話が好きで、いつか素敵な王子様と──なぁんて夢見てた。そんな夢見ちゃうあたしって可愛くない?可愛いよね!

そんな可愛い自分を思い出したら、やることは決まってる。王子様──ジュドを攻略するしかないよね!



ジュドが皆の前で陰気な地味女に、婚約破棄を突き付けてるのを見て、上手くいき過ぎな状況に大笑いしそうなのを堪え、誰にも見られないようにこっそり笑う。

どういう経緯でそうなったか知らないけど、王族の婚約者なんていう分相応な地位に図々しくいた女を、身の丈にあった底辺に戻せたうえ、大勢の前で恥をかかせてやることも出来て大満足!まぁ、歯応え無さ過ぎたのがちょっとだけ不満ではあるけど、ジュドがあたしだけの王子様になったことを思えばそれもどうでもよくなっちゃう。


「貴様は俺についてこい!」

いつも俯き加減な陰気女が、ジュドを真っ直ぐ見据えた。

陰気だとか不細工だとか、兎に角ジュドからは女に対して悪口しか出なかったし、排除する為の観察とか全く必要性感じなかったせいでマジマジ見たことなかったけど──………不細工?………ん?…あれ?……コイツ──他人の空似???


「お断りし──ッ」

「口答えするな!貴様に拒否権などあると思うな。」


もっとよく見ようと思ったのに、ジュドが殴ったせいで中断に。ま、いっか。

その後、胸倉を掴まれたまま会場から連行とか。扱い雑(笑)

締め付けられて苦しかったのか、なんか静か~とか思ってたら目的地に付いた頃見たら失神してた。

暢気にな女を起こすでもなく、そのまま乱暴にベッドに投げ捨てられたけど、結局目覚めなかった。





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