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リョコちゃんと海の守り神ーー妄想図鑑が世界を変える?【異世界トランザニヤ物語】SS
しおりを挟むノビの従魔の鳥、リョコは今日も元気に飛び回っていました。
もっふもふの茶色い羽に、つぶらな瞳が愛らしい鳥です。
ノビが食材探しに出かけるときは、いつもお供をしています。
ある日、氷の王国の姫リュミナから新たな頼みごとが届きました。
「料理人ノビよ。今度は、幻の魚〈リュウグウノート〉の故郷へ行き、感謝を伝えてほしいのです」
姫リュミナは静かに告げました。
「感謝……? オラたちが、あいつらの故郷まで行くんかさ?」
「はい。リュウグウノートは海竜だけでなく、海の神に守られていると伝えられています。あの奇跡の卵は、神の恵みなしには手に入らなかったのです」
ノビはうなずきました。
「わかったんさ!」
***
「海の神様は極北の海にいるわ」
リュミナ姫のその言葉を聞き、リョコの胸はどきどきしました。
じつはリョコの祖父が、若いころ海の神々と出会っていたからです。
祖父は海に落ちたとき、大きなアンモナイトに助けられました。
アンモナイトは祖父を背中に乗せ、魚たちの神のもとへ導いたといいます。
(今度は、わたちの番!)
リョコは小さく決意を抱き、地図をのぞきこみました。
***
いよいよ出発。
ノビたちは船に乗り込みます。
竜鱗の海を越え、極北の荒波へ。
船はごうごうと風に揺れます。
「見つけられるかしら?」
姫リュミナは海の荒波をものともせず、浮遊の魔法で海の神を探しました。
そんな中、ノビがリョコを気遣い声をかけます。
「おい、リョコ、大丈夫か?」
ノビが心配そうに声をかけると、リョコは首を振って「キョ!」と元気に鳴きました。
ところがそのとき、リョコは大きく羽ばたき、嵐の中へ飛び出してしまいました。
「おい、リョコ! どこ行くんさ!」
ドッボーーン!
ノビの声を背にリョコは深く、深く潜っていきました。
***
リョコは海中で「モグルモグル」の魔法を唱え、水中眼鏡と網、足ヒレを出しました。
「お魚さんに乗らなきゃ!捕まえるぅ!」
光が届かない海の底。
そこで現れたのは、祖父の話の通り、虹色に輝く巨大なアンモナイトでした。
リョコは勇気をふりしぼり声をかけました。
「はじめまして! ノビの従魔のリョコです。ノビが魚たちの神様に感謝を伝えたいと言っています! どうか道案内をしてくれませんか?」
アンモナイトはゆっくりとうなずき、リョコを乗せて泳ぎ始めました。
「ぐぶぶ、くるちい!」
リョコが海中で苦しんでいると、アンモナイトは潜具という魔法の道具を貸してくれました。
リョコは潜具をつけて、アンモナイトの背に跨りました。
「くるちくないよ、レッツゴー!」
海の底に広がっていたのは、きらめくサンゴ礁と無数の魚たち。
その中心に、全身が宝石のように輝く巨大な魚――魚たちと海の神がいました。
「リョコよ。お前は勇気ある鳥だ」
海の神は静かに語りました。
「お前の祖父から話を聞いていた。人間が海の恵みに感謝を伝えに来るとは、驚いたぞ。……お前の主人は、心優しい人間だな」
リョコは胸を張って答えました。
「はい! ノビは、とっても優しい料理人なんです!」
「ならばノビをここによぼう! ノビよ姿をあらわせ!」
海の神は「姿あらわし」の魔法をとなえました。
シューン
「ノビ?!」
突然姿が消えたノビ。 びっくりするリュミナ姫はノビを探しました。
けれどノビの姿は見えず、リュミナは船に取り残されました。
***
その夜、ノビは神々の前で料理をふるまいました。
極北の魚介と氷稲を合わせた、華やかなにぎり寿司です。
ひと口食べると、魚の神はうっとりと目を閉じました。
「人間よ。お前の料理は、我らの魂を温めてくれた」
魚の神は光り輝く玉を差し出しました。
それはリュウグウノートの卵よりも大きく、まるで星を閉じ込めたような宝玉でした。
「これは海の恵みの象徴。お前の道がこれからも光り輝くことを願う」
ノビは驚きながらも感謝して受け取りました。
「リョコ! お前のおかげなんさ!」
ノビはリョコを抱きしめます。
リョコは誇らしげに「キョキョ!」と鳴きました。
満月の光の下、海では魚たちが踊り、
リョコは遠い祖父の物語が、自分の中でつながったことを感じました。
戻ったノビとリョコはリュミナ姫に叱られましたが、船を出し新たな冒険へと旅立ちました。
終
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