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第1章〜元カレを見返すためにクラスの三軍男子をスパダリに育てることにします〜⑤
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◆ ◆ ◆ ◆ ◆
亜矢、昨日は本当にゴメン
今朝からネットを見てるんだけど
いま、ちょっと話せるかな?
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
いまや、元カレの状態になってしまった鳴尾はるか(もう、君付けで呼びたくはなくなった)の自宅でのライブ配信をすぐに停止して、配信終了後に「動画を削除」を選択し、自分の失態の痕跡がネット上に残らないよう処理をしたにも関わらず、友だち想いのリコは、例の修羅場の一部始終が配信されてしまったことで、私以上に落ち込んでいた。
「ごめん……撮影していた私が、すぐに停止ボタンを押していたら……」
と、リコには、何度も謝られたけど……。
私は、いつも、画像投稿やライブ配信のための撮影をかって出てくれる親友を責める気にはなれなかった。
中等部からの友人である樋ノ口莉子は、もう一人の親友・名塩奈美とともに、学校だけでなく、放課後や休日でも一緒にいることの多い、私にとっての《いつメン》と言って良い存在だ。
会話の中で、私に対して、ちょくちょく、茶々やツッコミを入れてくるナミと違い、いつでも、ニコニコと話しを聞いてくれるリコは、なんでも話せる仲だと思っている。
そんなリコだから、
(まだ、私に気をつかっているんだろうか? なら、もう、自分は気にしていないことを伝えないと……)
なんて考えながら、LANEのメッセージに、「OK!」のパンダのスタンプを返信すると、すぐにリコからビデオ通話の着信があった。
「おはよう、リコ! 朝から気をつかってくれてありがとう。私なら、昨日のことは……」
もう気にしてないから……と、伝えようとすると、いつもは、相手の話しを最後まで聞くタイプの彼女が、珍しく、こちらの話しをさえぎるように、「亜矢、出てくれて良かった!」と、早口で言うと、続いて、たずねてきた。
「さっきも書いたけど、昨日からネット見てる?」
「えっと……朝、起きてから、ミンスタを見返してたぐらいだけど……」
リコの焦りっぷりに、少し驚きながら答えると、彼女は、私に気をつかいながらも、悲痛な声を上げた。
「あのね、亜矢……落ち着いて聞いてね……トゥイッターが、大変なことになってる!」
「えぇっ!? ナニそれ、どういうこと?」
親友の言葉に反応しながらも、私は、枕元に置いてあったタブレットを手に取った。
普段は、スマホを使うことが多いけど、リコやナミと通話をしながら、動画やネット記事を見る時に重宝しているタブレット端末を操作し、トゥイッターのアイコンがある画面を確認すると、アプリアイコンには、右上に通知を意味する赤い小さな丸が表示されている。
アイコンをタップし、ログインすると、ベルのマークの部分には、「50」という数字が記されていた。
ディスプレイに表示されている内容を確認しようとすると、スピーカー通話にしたスマホから、リコの声が響く。
「昨日のライブ配信、誰かがトゥイッターのインフルエンサーに、タレコミをしたみたい……」
「えぇっ!? マジで?」
友人の言葉に、自分のアカウントのチェックは後回しにして、インフルエンサーの投稿を確認することにする。
(このテの炎上事件のまとめトゥイートと言えば、多分あのアカウントだよね……)
と、予測しながら、アプリ内で、《柿沢ダレソ》と検索する。
すぐに、該当するアカウントが表示され、『トゥイート』のタブを選択すると、最上部にリコの言っている投稿が見つかった。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
柿沢ダレソ
@kakidare3
ミンスタ女子、浮気現場に遭遇しブチギレ「納得できるか! ふざけんな」
↓
歌い手の彼にキャンディーを投げつけ炎上
↓
ガチギレ時のご尊顔が話題に
※その後、ライブ動画を削除し、逃亡。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「ちょ……待って! ナニコレ!?」
昨日、配信停止後に、すぐに削除したはずの動画が、なぜか、その投稿で紹介され、キャンディーを投げつけたあと、スマホカメラに向き直る私をとらえた映像がアップロードされていた。
さらに、深夜に投稿されたこのトゥイートには、多くの反応が寄せられている。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
XX@XX56234092
この子、フォロワー90万人のあやちだよね
あ~あ、案件終了のお知らせ
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
SORIO@SORIO_SF
男の方は、歌い手(笑)のハルカだろ?
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
サイボーグ7@n0usicy
我々の界隈からすれば、これはご褒美
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
文字を見るだけで、血の気が引くような書き込みが連なっているが……。
なかでも、ショックだったのは、このリプだ。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
nu-nu@norce_te_ipsum
JKインフルエンサー
↓
鼻毛女子
への華麗なるジョブチェンジ
#鼻毛女子
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
ハッシュタグ付きで表示されたその単語は、最後にアップになった自分の鼻から、可愛らしく伸びた一本の毛がそよいでいることを示していた。
「イヤ~~~~~~~~!」
リコとの通話中であることも忘れ、思わず声を上げてしまう。
「もしもし、亜矢? 大丈夫そ!?」
心配するリコの声とともに、ディスプレイには、無料通話のLANEではなく、電話アプリの着信通知が表示された。
通知を確認すると、発信者は、私に多くの案件を紹介してくれている光石古都乃さんだった。
亜矢、昨日は本当にゴメン
今朝からネットを見てるんだけど
いま、ちょっと話せるかな?
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
いまや、元カレの状態になってしまった鳴尾はるか(もう、君付けで呼びたくはなくなった)の自宅でのライブ配信をすぐに停止して、配信終了後に「動画を削除」を選択し、自分の失態の痕跡がネット上に残らないよう処理をしたにも関わらず、友だち想いのリコは、例の修羅場の一部始終が配信されてしまったことで、私以上に落ち込んでいた。
「ごめん……撮影していた私が、すぐに停止ボタンを押していたら……」
と、リコには、何度も謝られたけど……。
私は、いつも、画像投稿やライブ配信のための撮影をかって出てくれる親友を責める気にはなれなかった。
中等部からの友人である樋ノ口莉子は、もう一人の親友・名塩奈美とともに、学校だけでなく、放課後や休日でも一緒にいることの多い、私にとっての《いつメン》と言って良い存在だ。
会話の中で、私に対して、ちょくちょく、茶々やツッコミを入れてくるナミと違い、いつでも、ニコニコと話しを聞いてくれるリコは、なんでも話せる仲だと思っている。
そんなリコだから、
(まだ、私に気をつかっているんだろうか? なら、もう、自分は気にしていないことを伝えないと……)
なんて考えながら、LANEのメッセージに、「OK!」のパンダのスタンプを返信すると、すぐにリコからビデオ通話の着信があった。
「おはよう、リコ! 朝から気をつかってくれてありがとう。私なら、昨日のことは……」
もう気にしてないから……と、伝えようとすると、いつもは、相手の話しを最後まで聞くタイプの彼女が、珍しく、こちらの話しをさえぎるように、「亜矢、出てくれて良かった!」と、早口で言うと、続いて、たずねてきた。
「さっきも書いたけど、昨日からネット見てる?」
「えっと……朝、起きてから、ミンスタを見返してたぐらいだけど……」
リコの焦りっぷりに、少し驚きながら答えると、彼女は、私に気をつかいながらも、悲痛な声を上げた。
「あのね、亜矢……落ち着いて聞いてね……トゥイッターが、大変なことになってる!」
「えぇっ!? ナニそれ、どういうこと?」
親友の言葉に反応しながらも、私は、枕元に置いてあったタブレットを手に取った。
普段は、スマホを使うことが多いけど、リコやナミと通話をしながら、動画やネット記事を見る時に重宝しているタブレット端末を操作し、トゥイッターのアイコンがある画面を確認すると、アプリアイコンには、右上に通知を意味する赤い小さな丸が表示されている。
アイコンをタップし、ログインすると、ベルのマークの部分には、「50」という数字が記されていた。
ディスプレイに表示されている内容を確認しようとすると、スピーカー通話にしたスマホから、リコの声が響く。
「昨日のライブ配信、誰かがトゥイッターのインフルエンサーに、タレコミをしたみたい……」
「えぇっ!? マジで?」
友人の言葉に、自分のアカウントのチェックは後回しにして、インフルエンサーの投稿を確認することにする。
(このテの炎上事件のまとめトゥイートと言えば、多分あのアカウントだよね……)
と、予測しながら、アプリ内で、《柿沢ダレソ》と検索する。
すぐに、該当するアカウントが表示され、『トゥイート』のタブを選択すると、最上部にリコの言っている投稿が見つかった。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
柿沢ダレソ
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※その後、ライブ動画を削除し、逃亡。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「ちょ……待って! ナニコレ!?」
昨日、配信停止後に、すぐに削除したはずの動画が、なぜか、その投稿で紹介され、キャンディーを投げつけたあと、スマホカメラに向き直る私をとらえた映像がアップロードされていた。
さらに、深夜に投稿されたこのトゥイートには、多くの反応が寄せられている。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
XX@XX56234092
この子、フォロワー90万人のあやちだよね
あ~あ、案件終了のお知らせ
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
SORIO@SORIO_SF
男の方は、歌い手(笑)のハルカだろ?
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
サイボーグ7@n0usicy
我々の界隈からすれば、これはご褒美
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
文字を見るだけで、血の気が引くような書き込みが連なっているが……。
なかでも、ショックだったのは、このリプだ。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
nu-nu@norce_te_ipsum
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↓
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への華麗なるジョブチェンジ
#鼻毛女子
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
ハッシュタグ付きで表示されたその単語は、最後にアップになった自分の鼻から、可愛らしく伸びた一本の毛がそよいでいることを示していた。
「イヤ~~~~~~~~!」
リコとの通話中であることも忘れ、思わず声を上げてしまう。
「もしもし、亜矢? 大丈夫そ!?」
心配するリコの声とともに、ディスプレイには、無料通話のLANEではなく、電話アプリの着信通知が表示された。
通知を確認すると、発信者は、私に多くの案件を紹介してくれている光石古都乃さんだった。
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