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第7章〜ライブがはねたら〜⑥
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「すごかったよな~、最後の広報部のライブ!!」
「アレ、《ミンスタ》のヨツバちゃんだよね!? 《チックタック》では、たまに歌も披露してたけど、あんなに上手かったんだ!?」
「ナニ言ってんの? あのヒト、小学生の頃から、テレビのカラオケバトルで無双してたんだから! テレビ局の《YourTube》公式ページに動画が上がってんの見たことないの?」
階下に背を向けているオレと白草の背後から聞こえてきた声が、紅野にどの程度伝わったのかはわからないが、自分たちを呼び戻しに来たというクラス委員は、
「そっか、そうなんだ……私、先に戻るね……」
そう言って、階下につながるテラス席の階段の方に駆け出した。
「あっ、待ってくれ、紅野!」
なにかから逃れるように去ろうとする彼女に声を掛け、追おうとするオレに、
「クロ……行っちゃうの? まだ、さっきの感想を聞けてないんだけど?」
と、余裕の表情で白草四葉は問い掛けてきた。
「今の紅野を放っておけないだろ!?」
さきに講堂を去ろうとする紅野を追うべく、駆け出しながら、そう答えると、
「そっか……じゃ、放課後に話しをさせて! 場所は、あとで、LANEしておくから」
そう言って、微笑を浮かべながら、白草は手を小さく振った。
「紅野サンが思わず嫉妬しちゃうような、とっておきのシチュエーションを考えてあげる!」
土曜日に、さまざまな内容の講義を行い、今回の作戦の立案を行った白草四葉は、そんなことを口にしていた気がする。
――――――だが、クラブ紹介でのライブもどきのパフォーマンスと言い、いまさっきの紅野に対する言動と言い、いくらナンでもやりすぎである。
(これじゃ、まるで少女マンガやハリウッド製学園映画の『健気な主人公をイビる悪役の女子』そのモノじゃないか……)
オレは、そんなことを考えつつ、ため息をつきながら、紅野を追った。
4月15日(金)
==============
あの場所で待ってる
==============
放課後、スマホの着信表示ランプが点滅しているので、LANEを確認すると、午後の講堂で、もっとも注目を集めた人物からの画像付きメッセージが入っていた。
貼り付けられた画像の場所を確認し、
==============
わかった!
放課後に講堂の撤収作業アリ
夕方五時頃になっても良いか?
==============
こんなメッセージを送ると、「了解」という可愛らしいイヌのイラストが付いたスタンプが返信されてきた。
壮馬や他のクラブの男子連中と講堂でのクラブ紹介の撤収作業を行いながら、午後に起こった出来事を振り返ってみる。
新入生向けクラブ紹介が終了したあと、すぐに紅野を追いかけ、白草四葉が飛び入りのように、クラブ紹介に参加した経緯の説明を行い、彼女に、吹奏楽部のソロ・パートの演奏に関する新入生の反応や自分自身の感想を語らせてもらった。
講堂のテラス席では、白草の言動に、ややショックを受けていたようすの紅野だったが、人目を避けた校舎の階段踊り場で、こちらからの説明(言い訳とは言いたくない)や感想(あくまで本心で、決して耳障りの良いことばかりを言ったつもりはない)に耳を傾けると、気分が落ち着いたのか、数分前の出来事について、彼女なりに納得してくれたようだった。
それでも、会話の終わり際に、
「黒田くん……白草さんと随分と仲が良くなったんだね――――――」
と、彼女にしては珍しく、オレと転入生の関係を気にするような言葉をつぶやいたことが、気に掛かった。
これまでなら、白草センセイの講義内容から、
(もしかして、紅野が嫉妬してくれているのか――――――?)
と、心が弾むような気持ちになっていたのと思うのだが、今日の紅野アザミのようすを見ていると、彼女に対する罪悪感のようなものが芽生えてきた。
三週間ほど前には、空気の読めていない、(白草いわく)『最ッ悪!』の告白をして、紅野に心理的負担を掛けてしまい、こうして、また彼女を振り回すような行動をとってしまった――――――。
「アレ、《ミンスタ》のヨツバちゃんだよね!? 《チックタック》では、たまに歌も披露してたけど、あんなに上手かったんだ!?」
「ナニ言ってんの? あのヒト、小学生の頃から、テレビのカラオケバトルで無双してたんだから! テレビ局の《YourTube》公式ページに動画が上がってんの見たことないの?」
階下に背を向けているオレと白草の背後から聞こえてきた声が、紅野にどの程度伝わったのかはわからないが、自分たちを呼び戻しに来たというクラス委員は、
「そっか、そうなんだ……私、先に戻るね……」
そう言って、階下につながるテラス席の階段の方に駆け出した。
「あっ、待ってくれ、紅野!」
なにかから逃れるように去ろうとする彼女に声を掛け、追おうとするオレに、
「クロ……行っちゃうの? まだ、さっきの感想を聞けてないんだけど?」
と、余裕の表情で白草四葉は問い掛けてきた。
「今の紅野を放っておけないだろ!?」
さきに講堂を去ろうとする紅野を追うべく、駆け出しながら、そう答えると、
「そっか……じゃ、放課後に話しをさせて! 場所は、あとで、LANEしておくから」
そう言って、微笑を浮かべながら、白草は手を小さく振った。
「紅野サンが思わず嫉妬しちゃうような、とっておきのシチュエーションを考えてあげる!」
土曜日に、さまざまな内容の講義を行い、今回の作戦の立案を行った白草四葉は、そんなことを口にしていた気がする。
――――――だが、クラブ紹介でのライブもどきのパフォーマンスと言い、いまさっきの紅野に対する言動と言い、いくらナンでもやりすぎである。
(これじゃ、まるで少女マンガやハリウッド製学園映画の『健気な主人公をイビる悪役の女子』そのモノじゃないか……)
オレは、そんなことを考えつつ、ため息をつきながら、紅野を追った。
4月15日(金)
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あの場所で待ってる
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放課後、スマホの着信表示ランプが点滅しているので、LANEを確認すると、午後の講堂で、もっとも注目を集めた人物からの画像付きメッセージが入っていた。
貼り付けられた画像の場所を確認し、
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わかった!
放課後に講堂の撤収作業アリ
夕方五時頃になっても良いか?
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こんなメッセージを送ると、「了解」という可愛らしいイヌのイラストが付いたスタンプが返信されてきた。
壮馬や他のクラブの男子連中と講堂でのクラブ紹介の撤収作業を行いながら、午後に起こった出来事を振り返ってみる。
新入生向けクラブ紹介が終了したあと、すぐに紅野を追いかけ、白草四葉が飛び入りのように、クラブ紹介に参加した経緯の説明を行い、彼女に、吹奏楽部のソロ・パートの演奏に関する新入生の反応や自分自身の感想を語らせてもらった。
講堂のテラス席では、白草の言動に、ややショックを受けていたようすの紅野だったが、人目を避けた校舎の階段踊り場で、こちらからの説明(言い訳とは言いたくない)や感想(あくまで本心で、決して耳障りの良いことばかりを言ったつもりはない)に耳を傾けると、気分が落ち着いたのか、数分前の出来事について、彼女なりに納得してくれたようだった。
それでも、会話の終わり際に、
「黒田くん……白草さんと随分と仲が良くなったんだね――――――」
と、彼女にしては珍しく、オレと転入生の関係を気にするような言葉をつぶやいたことが、気に掛かった。
これまでなら、白草センセイの講義内容から、
(もしかして、紅野が嫉妬してくれているのか――――――?)
と、心が弾むような気持ちになっていたのと思うのだが、今日の紅野アザミのようすを見ていると、彼女に対する罪悪感のようなものが芽生えてきた。
三週間ほど前には、空気の読めていない、(白草いわく)『最ッ悪!』の告白をして、紅野に心理的負担を掛けてしまい、こうして、また彼女を振り回すような行動をとってしまった――――――。
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