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第二部
第3章〜カワイくてゴメン〜⑱
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こんな行動をするヒトは、このメンバーの中に他にいないので、もう、説明するまでもないと思うけど……。
声をあげたのは、白草四葉センパイだ。
彼女の言葉の矛先は、予想どおり、くろセンパイとワタシに向けられている。
「佐倉サンは、今日から、あの部屋に住み始めた、って言ってたけど……どうして、クロ、黒田クンが、二人きりで、彼女の部屋に居たの? ちゃんと、説明してくれるんでしょうね?」
「いや、オレも、引っ越しのことは、下校途中に桃華から初めて聞いたんだけどな……『一人暮らしが長いセンパイに話しを聞きたい』って言われたからな……」
「そうなんです! 《編集室》が間にあるので、お隣りの部屋……って訳には行きませんでしたけど、同《・》じ《・》フ《・》ロ《・》ア《・》に、同《・》じ《・》高《・》校《・》で一人暮らしをしてる、くろセンパイが住んでるのは、とっても心強いので、相談に乗ってもらおうと思ったんです! ね、くろセンパイ!?」
笑顔で、くろセンパイに同意を求めると、苦虫を噛み潰したような表情になった上級生は、
「クッ……なんて、抜け目のない」
と、つぶやく。
彼女のようすを観察しながら、
(フフッ……あざとくて、ゴメン)
と、ワタシは、心のなかでほくそ笑む。すると、彼女は、ワタシの心の内側を知ってか知らずか、
「ふ~ん、た《・》だ《・》の《・》、部活動の先輩と後輩にしては、ず《・》い《・》ぶ《・》ん《・》仲がイイのね?」
(フフッ……気になっちゃうよね、ゴメン)
「えぇ、中《・》学《・》校《・》の《・》頃《・》か《・》ら《・》、くろセンパイには、お世話になっていましたから……」
余裕の笑みで彼女に応じると、目の前で腕を組む、一つ歳上の女子生徒は、ピクリと眉を震わせる。
「あら、そう……小《・》学《・》生《・》の《・》頃《・》か《・》ら《・》、彼と知り合っているわたしからしたら、大した長さでもないけどね……」
これまで以上に、苛立ちながら、それでも自らの優位を保とうとする自称・幼なじみの表情に、
(フフッ……意識しちゃうよね、ゴメン)
と、優越感を感じながら、
「えぇ、中学一年の頃から、くろセンパイとは、二《・》年《・》近《・》く《・》の《・》間《・》、一緒に校内放送をさせてもらってましたから……やっぱり、一番最初に相談に乗ってもらいたいなって……」
そう返答すると、一週間前にくろセンパイをフッたばかりの彼女は、
「クロ! わたしに告白してから、一週間たらずで、他の女子に乗り替えるなんて、イイ度胸ね!?」
と、キレ気味に声をあげ、怒りの矛先を、くろセンパイに一点集中させた。
さすがに、この言葉には、オープン・スクールでのサプライズ企画における彼女の真意を知っている、きぃセンパイと天竹センパイは、
(いやいや、告白を断ったのは、自分じゃん……)
と、醒めた表情で、白草センパイを見つめている。
そして、くろセンパイとの関係を(さらに)深める上で、最大の障害になるであろう相手のようすを見つめながら、ワタシは、込み上げてくる笑いを噛み殺すのに苦労しながら、
(フフッ……………………ムカついちゃうよね、ざまぁ)
と、心のなかで、彼女に向けて舌を出すのだった。
入学前に長期入院というハンデを背負ったことと、ワタシの大事なヒトの心をもてあそんだ相手なのだから――――――。
これくらいの復讐は、許されてしかるべきでしょう?
声をあげたのは、白草四葉センパイだ。
彼女の言葉の矛先は、予想どおり、くろセンパイとワタシに向けられている。
「佐倉サンは、今日から、あの部屋に住み始めた、って言ってたけど……どうして、クロ、黒田クンが、二人きりで、彼女の部屋に居たの? ちゃんと、説明してくれるんでしょうね?」
「いや、オレも、引っ越しのことは、下校途中に桃華から初めて聞いたんだけどな……『一人暮らしが長いセンパイに話しを聞きたい』って言われたからな……」
「そうなんです! 《編集室》が間にあるので、お隣りの部屋……って訳には行きませんでしたけど、同《・》じ《・》フ《・》ロ《・》ア《・》に、同《・》じ《・》高《・》校《・》で一人暮らしをしてる、くろセンパイが住んでるのは、とっても心強いので、相談に乗ってもらおうと思ったんです! ね、くろセンパイ!?」
笑顔で、くろセンパイに同意を求めると、苦虫を噛み潰したような表情になった上級生は、
「クッ……なんて、抜け目のない」
と、つぶやく。
彼女のようすを観察しながら、
(フフッ……あざとくて、ゴメン)
と、ワタシは、心のなかでほくそ笑む。すると、彼女は、ワタシの心の内側を知ってか知らずか、
「ふ~ん、た《・》だ《・》の《・》、部活動の先輩と後輩にしては、ず《・》い《・》ぶ《・》ん《・》仲がイイのね?」
(フフッ……気になっちゃうよね、ゴメン)
「えぇ、中《・》学《・》校《・》の《・》頃《・》か《・》ら《・》、くろセンパイには、お世話になっていましたから……」
余裕の笑みで彼女に応じると、目の前で腕を組む、一つ歳上の女子生徒は、ピクリと眉を震わせる。
「あら、そう……小《・》学《・》生《・》の《・》頃《・》か《・》ら《・》、彼と知り合っているわたしからしたら、大した長さでもないけどね……」
これまで以上に、苛立ちながら、それでも自らの優位を保とうとする自称・幼なじみの表情に、
(フフッ……意識しちゃうよね、ゴメン)
と、優越感を感じながら、
「えぇ、中学一年の頃から、くろセンパイとは、二《・》年《・》近《・》く《・》の《・》間《・》、一緒に校内放送をさせてもらってましたから……やっぱり、一番最初に相談に乗ってもらいたいなって……」
そう返答すると、一週間前にくろセンパイをフッたばかりの彼女は、
「クロ! わたしに告白してから、一週間たらずで、他の女子に乗り替えるなんて、イイ度胸ね!?」
と、キレ気味に声をあげ、怒りの矛先を、くろセンパイに一点集中させた。
さすがに、この言葉には、オープン・スクールでのサプライズ企画における彼女の真意を知っている、きぃセンパイと天竹センパイは、
(いやいや、告白を断ったのは、自分じゃん……)
と、醒めた表情で、白草センパイを見つめている。
そして、くろセンパイとの関係を(さらに)深める上で、最大の障害になるであろう相手のようすを見つめながら、ワタシは、込み上げてくる笑いを噛み殺すのに苦労しながら、
(フフッ……………………ムカついちゃうよね、ざまぁ)
と、心のなかで、彼女に向けて舌を出すのだった。
入学前に長期入院というハンデを背負ったことと、ワタシの大事なヒトの心をもてあそんだ相手なのだから――――――。
これくらいの復讐は、許されてしかるべきでしょう?
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