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第三部
第4章〜三大配信者 芦宮高校最大の決戦〜③
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~白草四葉の見解~
「うん! 順調な仕上がり! これなら、いつでも本番用の撮影に入れるわね」
月曜日の放課後、小会議室に移動したわたしは、タブレットに録画した動画で、雪乃と一緒に、ダンス部のメンバーと練習を重ねてきたプロペラ・ダンスの映像を確認している。
「ダンス部の三人のパフォーマンスも素晴らしいけんども、ヨツバちゃんも、さすがの動きだべ……」
自分を慕ってくれている下級生の素直な感想を耳にして、わたしの気持ちは大いに満たされる。
「そんなことないよ……雪乃のダンスだって素敵じゃない! こんな素質があるなら、今からダンス部に入部しても大丈夫なんじゃない?」
雪乃の言葉に、謙遜の意思を示しつつ、彼女のダンスの実力に触れておくのも忘れない。
「もったいないことでス……ヨツバちゃんに誉めてもらえるなんて、もう、この世に思い残すことはないべ……」
大げさなことを言う雪乃の言葉に微笑みながら、わたしは、ここ数週間の自分たちの活動を振り返る。
連絡会に出席してくれていた雪乃によれば、クロのグループも、黄瀬クンたちのグループも、今回の『PR動画コンテスト』の活動には、苦労が多いようだけど……。
スプレッドシートで、クロたちの活動内容を確認したり、雪乃から連絡会の報告を受けるたびに、数多くのクラブと交渉する手間を惜しんだわたしが、協力先をダンス部一本に絞った選択は、間違っていなかったという手応えを感じていた。
「シロと違って、こっちは、組織票を固めなきゃいけないからな」
と、クロは言っていたけど、時間に余裕を持ちながら宣伝活動を行って、映像のクオリティーを上げれば、協力したクラブの組織票に頼らなくても、多くの生徒に投票してもらえるはずで、
「宣伝活動と動画の完成度に力を注ぐことこそが、今回の活動で一番たいせつなこと」
だと考えているわたしにとって、クロや黄瀬クンのアプローチ方法には、どこか歯がゆさを感じていた。
「このコンテストが終わったら、動画をバズらせるコツをクロにも教えてあげる!」
なんて、言ってしまったのも、そうした理由からで、口に出したあとに、
(しまった……思わず余計なことを言っちゃったけど、上から目線に聞こえてなかったかな?)
と、不安になったけど、どうやら、クロ自身は、あまり気にしていないようすだった。
他の男子がどう感じるのかはわからないけど、こうした細かいことを気に留めないところが、クロの良さであり、わたしが彼の性格を気に入っている理由でもある。
ともあれ、今回の『PR動画コンテスト』でのわたしの目標は、トップの投票数を得て、動画制作においての実力をクロやク○生意気な下級生に見せつけたうえで、広報部の外部アドバイザーとしての存在感を示すことにある。
その初手として始めたショート動画にまとめて、
#プロペラダンス
をの一文を加え、練習風景を投稿した映像は、狙いどおりの再生回数を稼いでいる。
こうして、わたしのフォロワーさんたちが、元の楽曲を探し出し、同じようにプロペラ・ダンスのショート動画を投稿し始めたので、それらの動画に「いいね!」を押し、コメントを付けて交流を図る。
いつも以上に、ファンサービスを行う第二弾の攻勢を行ったことで、動画サイトでは、この一週間で、あっという間に、同じ楽曲が投稿されはじめた。
すでに、ネットメディアを中心に、わたしの投稿した動画が注目を集め始めているので、この企画が、6月ではなく、もう少し早い時期に開催されていれば、
「上半期に最もバズったダンス曲」
として、楽曲ごと注目されたかも知れないことを考えると、少し惜しい気もするけど、そこは、不満を述べても仕方ない。
あとは、フルバージョンのダンスの完成度と編集する動画のクオリティを上げることと、わたしの秘策といっても良い企画書を生徒会に提出することに専念するだけだ。
ここまで、わたしの活動に付き合ってくれた、ダンス部の摩耶と奈々子、伊原先輩、そして、雪乃には、感謝の気持ちしかない。
基本的に、これまでの活動では、ひとりで歌とダンスを披露することの多かったわたしにとって、ダンス部のメンバーや雪乃と一緒に身体を動かし、みんなで話し合いながらダンスの完成度を高めていく過程は、新鮮で、本当に楽しいものだった。
ギョーカイに憧れを持っているという伊原先輩には、わたしが、テレビに出演するときにお世話になった、健全な芸能事務所を紹介しようと考えている。
狙いどおりに、自分たちのPR動画がトップの得票を得たあかつきには、彼女たちや協力してくれたダンス部のみんなと喜びを分かち合いたい。
そして、クロと一緒に悔しがる下級生に対して、わたしの存在の大きさというものを、見せつけるのだ。
その瞬間のことを想像するだけで、口もとが緩み、表情が崩れてしまうことを止めることができず、思わず鼻と口を両手で覆ってしまう。
「雪乃、そろそろダンス部に移動しよっか? 今週中にフルバージョンの動画を撮影しちゃおう!」
可愛らしい下級生に、あらためてモチベーションをあげるように声をかけたわたしの耳には、
「はうあ~。ドス黒い感情に支配されてほくそ笑むヨツバちゃんの横顔は、焼石岳に咲くクロユリのように美しいべ……」
という雪乃のつぶやきが聞こえたような気もするけれど、きっと、それは聞き違いなのだろう。
「うん! 順調な仕上がり! これなら、いつでも本番用の撮影に入れるわね」
月曜日の放課後、小会議室に移動したわたしは、タブレットに録画した動画で、雪乃と一緒に、ダンス部のメンバーと練習を重ねてきたプロペラ・ダンスの映像を確認している。
「ダンス部の三人のパフォーマンスも素晴らしいけんども、ヨツバちゃんも、さすがの動きだべ……」
自分を慕ってくれている下級生の素直な感想を耳にして、わたしの気持ちは大いに満たされる。
「そんなことないよ……雪乃のダンスだって素敵じゃない! こんな素質があるなら、今からダンス部に入部しても大丈夫なんじゃない?」
雪乃の言葉に、謙遜の意思を示しつつ、彼女のダンスの実力に触れておくのも忘れない。
「もったいないことでス……ヨツバちゃんに誉めてもらえるなんて、もう、この世に思い残すことはないべ……」
大げさなことを言う雪乃の言葉に微笑みながら、わたしは、ここ数週間の自分たちの活動を振り返る。
連絡会に出席してくれていた雪乃によれば、クロのグループも、黄瀬クンたちのグループも、今回の『PR動画コンテスト』の活動には、苦労が多いようだけど……。
スプレッドシートで、クロたちの活動内容を確認したり、雪乃から連絡会の報告を受けるたびに、数多くのクラブと交渉する手間を惜しんだわたしが、協力先をダンス部一本に絞った選択は、間違っていなかったという手応えを感じていた。
「シロと違って、こっちは、組織票を固めなきゃいけないからな」
と、クロは言っていたけど、時間に余裕を持ちながら宣伝活動を行って、映像のクオリティーを上げれば、協力したクラブの組織票に頼らなくても、多くの生徒に投票してもらえるはずで、
「宣伝活動と動画の完成度に力を注ぐことこそが、今回の活動で一番たいせつなこと」
だと考えているわたしにとって、クロや黄瀬クンのアプローチ方法には、どこか歯がゆさを感じていた。
「このコンテストが終わったら、動画をバズらせるコツをクロにも教えてあげる!」
なんて、言ってしまったのも、そうした理由からで、口に出したあとに、
(しまった……思わず余計なことを言っちゃったけど、上から目線に聞こえてなかったかな?)
と、不安になったけど、どうやら、クロ自身は、あまり気にしていないようすだった。
他の男子がどう感じるのかはわからないけど、こうした細かいことを気に留めないところが、クロの良さであり、わたしが彼の性格を気に入っている理由でもある。
ともあれ、今回の『PR動画コンテスト』でのわたしの目標は、トップの投票数を得て、動画制作においての実力をクロやク○生意気な下級生に見せつけたうえで、広報部の外部アドバイザーとしての存在感を示すことにある。
その初手として始めたショート動画にまとめて、
#プロペラダンス
をの一文を加え、練習風景を投稿した映像は、狙いどおりの再生回数を稼いでいる。
こうして、わたしのフォロワーさんたちが、元の楽曲を探し出し、同じようにプロペラ・ダンスのショート動画を投稿し始めたので、それらの動画に「いいね!」を押し、コメントを付けて交流を図る。
いつも以上に、ファンサービスを行う第二弾の攻勢を行ったことで、動画サイトでは、この一週間で、あっという間に、同じ楽曲が投稿されはじめた。
すでに、ネットメディアを中心に、わたしの投稿した動画が注目を集め始めているので、この企画が、6月ではなく、もう少し早い時期に開催されていれば、
「上半期に最もバズったダンス曲」
として、楽曲ごと注目されたかも知れないことを考えると、少し惜しい気もするけど、そこは、不満を述べても仕方ない。
あとは、フルバージョンのダンスの完成度と編集する動画のクオリティを上げることと、わたしの秘策といっても良い企画書を生徒会に提出することに専念するだけだ。
ここまで、わたしの活動に付き合ってくれた、ダンス部の摩耶と奈々子、伊原先輩、そして、雪乃には、感謝の気持ちしかない。
基本的に、これまでの活動では、ひとりで歌とダンスを披露することの多かったわたしにとって、ダンス部のメンバーや雪乃と一緒に身体を動かし、みんなで話し合いながらダンスの完成度を高めていく過程は、新鮮で、本当に楽しいものだった。
ギョーカイに憧れを持っているという伊原先輩には、わたしが、テレビに出演するときにお世話になった、健全な芸能事務所を紹介しようと考えている。
狙いどおりに、自分たちのPR動画がトップの得票を得たあかつきには、彼女たちや協力してくれたダンス部のみんなと喜びを分かち合いたい。
そして、クロと一緒に悔しがる下級生に対して、わたしの存在の大きさというものを、見せつけるのだ。
その瞬間のことを想像するだけで、口もとが緩み、表情が崩れてしまうことを止めることができず、思わず鼻と口を両手で覆ってしまう。
「雪乃、そろそろダンス部に移動しよっか? 今週中にフルバージョンの動画を撮影しちゃおう!」
可愛らしい下級生に、あらためてモチベーションをあげるように声をかけたわたしの耳には、
「はうあ~。ドス黒い感情に支配されてほくそ笑むヨツバちゃんの横顔は、焼石岳に咲くクロユリのように美しいべ……」
という雪乃のつぶやきが聞こえたような気もするけれど、きっと、それは聞き違いなのだろう。
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