平行世界でハーレム生活を堪能していたら彼女たちがひとつの世界線に集まってきました

遊馬友仁

文字の大きさ
24 / 73

第2章〜Everything Everyone All At Once〜⑤

しおりを挟む
 その日の授業は、各クラスの時間割に被りが出たり、一部の教科担当の教諭が出勤してきていないなど若干の問題があったものの、学年末テストに向け、ほとんどの教科が必要な単元を終了していることもあって、内容に支障をきたしそうな授業は自習という形を取って校内全体で乗り切るという方針のおかげで、あいらんど高校は、大きな混乱が起きることもなく放課後を迎えることができた。

 オレの周辺でも、今朝からバチバチと反目し合っているもも三葉みつばが、学年が違うこともあって、校舎の異なるフロアで授業を受けていることから、自室や通学路で発生した修羅場が演じられるようなことはなかった。

 それでも、三葉みつば河野こうのが、通学の途中で、「玄野雄司くろのゆうじと付き合っている」と口にしたというウワサは、クラス中どころか、瞬く間に二年生の学年全体に広まってしまったようで、

(ヒソヒソ)「玄野くろのくんは、二股を掛けてるんだって……」
(ヒソヒソ)「いや、オレは一年の女子も含めて三股だって聞いたぞ」 
(ヒソヒソ)「今年の生徒会は、どうなってんの?」
(ヒソヒソ)「こんな時こそ、あいらんど高校の文◯砲の出番だろう?」
(ヒソヒソ)「その役目をする新聞・放送部が、当事者じゃない」
(ヒソヒソ)「マスゴミの腐敗ぶり許しまじ!」

 と言ったような声が、教室の隅や廊下など、あちこちから漏れ聞こえてきた。

 そして、女子からは軽蔑けいべつ侮蔑ぶべつの視線が、男子からは怨嗟えんさ憎悪ぞうおの視線が、オレに集まっていることも感じられる。
 
 もっとも。オレ自身の行動に責任がある可能性が高いことから、自分のことをウワサされるのは仕方のないことだが、その内容が幼なじみにして校内の中心人物である彼女や、新しい生徒会長にしてクラス委員のパートナーに及んでいるのを耳にするのは、心が痛い。

 三葉みつば河野こうのも、クラス内の中心人物とクラス委員という自分の置かれた立ち位置から、表面上は気にしない風を装っていたが、その寛容さを示していられるのも、今日一日が限界だろう。

 そんなことを考えながら、なんとか授業をやり過ごし、待ちわびた放課後の時間を迎えたオレは、三葉みつば河野こうのそれぞれに、

「今朝おこったことをなるべくわかりやすく説明するようにするから……」

と、LANEのメッセージを送ってから、冬馬とうまともに、先代部長の待つ新聞・放送部の部室に向かう。

 文化系クラブの部室が並ぶ3号館の校舎に移動し、部室のドアをノックすると、

「どうぞ」

と、室内から桜花おうかの声がする。

 先月まで、ウチのクラブのぬしであった先輩に敬意を表して、
  
「失礼します」
 
と、声をかけてから入室すると、先代の代表者は、クスクスと笑いながら返答した。

「あら、もう貴方あなたたちは、このクラブの最上級生でしょう? 私に気をつかわなくて良いのに?」

「いや、卒業間際の部長に、わざわざ、時間を取ってもらって申し訳ない、と思うので……」

 オレが、そんな風に答えると、桜花おうか先輩は、ふたたび可笑しそうに、ミステリアスな笑みを浮かべながら、鋭い視線を投げかけてくる。

「そう……でも、それくらい、他の女の子たちにも気をつかうことが出来ていれば、今日みたいなことにはならなかったんじゃない?」

「いや……あ~、そうですね……」

 ハハハと苦笑しながら、そう答えつつ、この先輩は、どこまで自分や三葉みつばたちのことを把握しているんだろう……と、頭を巡らせる。
 新聞部と放送部を統合し、新たに設立したクラブの代表者を二年間も務めていただけあって、桜花おうか先輩の情報網は、オレたち後輩部員すら驚くほどの精度と速報性を誇っている。

 それは、各クラブの人事編成から、校内男女の交際事情や教職員の異動情報に至るまで、あらゆる方面に対応している。

 ただ、それでも、のあとに、オレが身に付けたサイエンス・フィクションともファンタジーともつかない現実離れした特殊能力については、どこの惑星ほしに移動したときであっても誰にも話したことがないので、いくら、桜花おうか先輩と言えども、その事情を把握しているとは思えないが……。

 他人に話したところで、頭がおかしくなったとしか思われないであろう荒唐無稽な自分の能力について、どこまで……あるいは、どのように話したものか……と、考えながら部室を見渡していると、見慣れたポスターが目に入った。

 それは、自分たちの住む美しい地球ほしの衛星写真が大きく写された雑誌の表紙だ。

 ただ、それは、日頃の部室で見慣れた地球ほしとは、少し異なっているような気がする。
 
 なにより、ポスターの右側の部分が、外国の片田舎の風景と巨大企業の創業者がスピーチで引用して有名になった

 ”Stay Hungry. Stay Foolish.”

の印象的な文言ではなく、

 ”We can’t put it together. It is together.”

という文言と、青い地球ほしの別の写真に変わっていた。

(この惑星ほしでは、部室のポスターが変わってるのか……)

 そんなことが、ふと頭をよぎる。
 すると、オレの視線に気づいたのか、桜花おうか先輩が、「あら……」と、つぶやいたあと、オレが、予想もしないことをたずねてきた。

玄野くろのくん、『Whole Earth Catarogホール・アース・カタログ』のポスターが気になるの? 貴方あなたが部室で見ているのは、なのかしら?」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

強制ハーレムな世界で元囚人の彼は今日もマイペースです。

きゅりおす
SF
ハーレム主人公は元囚人?!ハーレム風SFアクション開幕! 突如として男性の殆どが消滅する事件が発生。 そんな人口ピラミッド崩壊な世界で女子生徒が待ち望んでいる中、現れる男子生徒、ハーレムの予感(?) 異色すぎる主人公が周りを巻き込みこの世界を駆ける!

異世界宇宙SFの建艦記 ――最強の宇宙戦艦を建造せよ――

黒鯛の刺身♪
SF
主人公の飯富晴信(16)はしがない高校生。 ある朝目覚めると、そこは見たことのない工場の中だった。 この工場は宇宙船を作るための設備であり、材料さえあれば巨大な宇宙船を造ることもできた。 未知の世界を開拓しながら、主人公は現地の生物達とも交流。 そして時には、戦乱にも巻き込まれ……。

日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー

黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた! あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。 さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。 この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。 さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。

この世界、貞操が逆で男女比1対100!?〜文哉の転生学園性活〜

妄想屋さん
SF
気がつけば、そこは“男女の常識”がひっくり返った世界だった。 男は極端に希少で守られる存在、女は戦い、競い、恋を挑む時代。 現代日本で命を落とした青年・文哉は、最先端の学園都市《ノア・クロス》に転生する。 そこでは「バイオギア」と呼ばれる強化装甲を纏う少女たちが、日々鍛錬に明け暮れていた。 しかし、ただの転生では終わらなかった―― 彼は“男でありながらバイオギアに適合する”という奇跡的な特性を持っていたのだ。 無自覚に女子の心をかき乱し、甘さと葛藤の狭間で揺れる日々。 護衛科トップの快活系ヒロイン・桜葉梨羽、内向的で絵を描く少女・柊真帆、 毒気を纏った闇の装甲をまとう守護者・海里しずく…… 個性的な少女たちとのイチャイチャ・バトル・三角関係は、次第に“恋と戦い”の渦へと深まっていく。 ――これは、“守られるはずだった少年”が、“守る覚悟”を知るまでの物語。 そして、少女たちは彼の隣で、“本当の強さ”と“愛し方”を知ってゆく。 「誰かのために戦うって、こういうことなんだな……」 恋も戦場も、手加減なんてしてられない。 逆転世界ラブコメ×ハーレム×SFバトル群像劇、開幕。

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜

水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。 その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。 危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。 彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。 初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。 そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。 警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。 これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

処理中です...