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第3章〜逆転世界の電波少女〜④
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「そ、それは、もしかして、オレと関係あることか……?」
桃との会話を思い出しながら、オレは慎重にたずねる。
すると、三葉は、少し驚いたようすで、たずね返してくる。
「あれ、どうしてわかったの?」
その返答に、悪い予感が的中してしまったことを内心で嘆いていると、彼女は、苦笑いしながら、続けて自身のみた夢について語り始めた。
「何日か前のことなんだけど……朝、いつもみたいに雄司を起こしに行ったら、なぜか、雄司の家に放送部の後輩が居たの! しかも、同居していて、毎朝モーニングコーヒーを淹れてもらってるとか、おかしなことまで言い出すの! それに、登校しようと思ったら、委員長の河野さんまで、雄司に告白して付き合い出したとか言ってくるし……『もう、なんなの! このセカイは!?』って、頭がおかしくなりそうだったよ!」
自分ではおかしなことを言っていると認識しているのか、幼なじみであり、このセカイでは交際関係にある彼女は、自嘲的な笑みを浮かべながらも、自身の抱える不安や不満を吐き出すようにオレに語りかけてきた。
スマホの画面越しに語る健気なその姿を目にすると、彼女を困惑させてしまったという自責の念にかられ、心が痛む。
「ゴメン……三葉。オレが不安にさせてしまったせいだ……」
ただ、不意に漏れた、そのつぶやきに、彼女は、さっきよりも驚いたようすで、目を丸くしたあと、はにかみながら返事を返してきた。
「そんな……雄司が謝ることじゃないのに……でも、ありがとう……」
いや、自分の方こそ、三葉に感謝の言葉を掛けてもらうような覚えはないのだが……。彼女は、さらに続けて、思いの丈を語ってくれた。
「わたしがみた夢のことで、勝手にモヤモヤしたり、イライラしていただけだから、それを誰かにぶつけるなんてしたくなかったんだよね……でも、その気持ちは、やっぱり消化しきれなくて……男の子にこんな話しをしちゃうと、絶対に嫌われると思ってたのに……」
「いや、嫌うなんて、そんなことは……」
彼女が夢と思い込んでいる出来事は、オレ自身の行動に原因があることは明白なので、後ろめたさを感じながら、そう答えると、三葉は思ってもいない言葉を返してきた。
「100点……100点満点の答え……」
「えっ、なに?」
意味がわからず、そうたずね返すと、彼女はつぶやくように答えを返す。
「『オレが、不安にさせてしまったせいだ……』って言うのは、100点満点の答えだっていうこと……」
(いや、なぜ、それが100点の回答なんだ? どういうことだ……?)
ふたたび、彼女の言葉の真意がわからず、その意味を考えあぐねていると、三葉は自分の気持ちを確認するように、解説を始めた。
「わたしの勝手な思い込みなのに……雄司はわたしのことを責めずに、わたしの気持ちに寄り添ってくれたでしょう? それに、雄司に言われて気付いたんだ。わたしは、雄司に会えないことが……雄司を誰かに取られちゃうことが不安だったんだなって……そんな風に、わたしの想いに気付いて、自分でも理解できていなかったわたしの気持ちを気付かせてくれたから、100点満点の答えだって言ってるの!」
最後は、早口になりながらも、自身の想いをコチラにぶつけてくる三葉。
そんな彼女の言葉は、オレ自身を全面的に信頼し、オレの存在を肯定してくれていることがうかがえ、オレの自尊心を満たすのに十分すぎるほどの効果をもたらす。
ただーーーーーー。
オレが彼女に掛けた言葉、そして、その言葉を生むきっかけになったのは、すべて、自分の軽薄で愚かな行為だったことを意識すると、三葉の想いは、より大きな罪悪感となって、オレにのしかかってきた。
オレにとっての『ルートA』、銀河連邦政府の管理番号No.141421356のセカイの白井三葉は、オレを信頼し、全力で好意を向けてくれる、ある意味で、男子高校生にとっての理想の女子だ。
ただ、それは、オレが、自分自身の都合が良いように、いくつものセカイを股にかけて、何度もやり直しを経験したうえで成り立っている関係に過ぎないとも言える(すでに、自分の目で確認したように、彼女は、オレと交際していないどころか、三葉他の男性と付き合ったりしているセカイも数多く存在している)。
このセカイ(=『ルートA』)のオレと三葉の関係は、言ってみれば、はじめたばかりのスマホのゲームで、理想的な初回特典カードを手に入れるために、何度もインストールとアンインストールを繰り返すリセットマラソンを行って手に入れた最強の初回デッキのようなモノだ。
本来ならやり直しの効かない人生において、こんなリセマラ的な行為で得られた好意に、どれ程の価値があるのか――――――と、オレは今さらながらに、自問をせざるを得ない。
しかし、そんなオレの後悔をよそに、一途な彼女は、こんな提案をしてきた。
「あ~、こうして通話してたら、やっぱり、雄司に会いたくなっちゃった! ねぇ、ちょっと、遅い時間だけど、これから、外で会えない?」
自室の壁掛け時計を確認すると、時計の針は九時前を指していたが――――――。
オレと会えないことで不安を感じてしまっているという三葉の信頼に応えるためにも、彼女への返答の選択肢は、ひとつしかなかった。
桃との会話を思い出しながら、オレは慎重にたずねる。
すると、三葉は、少し驚いたようすで、たずね返してくる。
「あれ、どうしてわかったの?」
その返答に、悪い予感が的中してしまったことを内心で嘆いていると、彼女は、苦笑いしながら、続けて自身のみた夢について語り始めた。
「何日か前のことなんだけど……朝、いつもみたいに雄司を起こしに行ったら、なぜか、雄司の家に放送部の後輩が居たの! しかも、同居していて、毎朝モーニングコーヒーを淹れてもらってるとか、おかしなことまで言い出すの! それに、登校しようと思ったら、委員長の河野さんまで、雄司に告白して付き合い出したとか言ってくるし……『もう、なんなの! このセカイは!?』って、頭がおかしくなりそうだったよ!」
自分ではおかしなことを言っていると認識しているのか、幼なじみであり、このセカイでは交際関係にある彼女は、自嘲的な笑みを浮かべながらも、自身の抱える不安や不満を吐き出すようにオレに語りかけてきた。
スマホの画面越しに語る健気なその姿を目にすると、彼女を困惑させてしまったという自責の念にかられ、心が痛む。
「ゴメン……三葉。オレが不安にさせてしまったせいだ……」
ただ、不意に漏れた、そのつぶやきに、彼女は、さっきよりも驚いたようすで、目を丸くしたあと、はにかみながら返事を返してきた。
「そんな……雄司が謝ることじゃないのに……でも、ありがとう……」
いや、自分の方こそ、三葉に感謝の言葉を掛けてもらうような覚えはないのだが……。彼女は、さらに続けて、思いの丈を語ってくれた。
「わたしがみた夢のことで、勝手にモヤモヤしたり、イライラしていただけだから、それを誰かにぶつけるなんてしたくなかったんだよね……でも、その気持ちは、やっぱり消化しきれなくて……男の子にこんな話しをしちゃうと、絶対に嫌われると思ってたのに……」
「いや、嫌うなんて、そんなことは……」
彼女が夢と思い込んでいる出来事は、オレ自身の行動に原因があることは明白なので、後ろめたさを感じながら、そう答えると、三葉は思ってもいない言葉を返してきた。
「100点……100点満点の答え……」
「えっ、なに?」
意味がわからず、そうたずね返すと、彼女はつぶやくように答えを返す。
「『オレが、不安にさせてしまったせいだ……』って言うのは、100点満点の答えだっていうこと……」
(いや、なぜ、それが100点の回答なんだ? どういうことだ……?)
ふたたび、彼女の言葉の真意がわからず、その意味を考えあぐねていると、三葉は自分の気持ちを確認するように、解説を始めた。
「わたしの勝手な思い込みなのに……雄司はわたしのことを責めずに、わたしの気持ちに寄り添ってくれたでしょう? それに、雄司に言われて気付いたんだ。わたしは、雄司に会えないことが……雄司を誰かに取られちゃうことが不安だったんだなって……そんな風に、わたしの想いに気付いて、自分でも理解できていなかったわたしの気持ちを気付かせてくれたから、100点満点の答えだって言ってるの!」
最後は、早口になりながらも、自身の想いをコチラにぶつけてくる三葉。
そんな彼女の言葉は、オレ自身を全面的に信頼し、オレの存在を肯定してくれていることがうかがえ、オレの自尊心を満たすのに十分すぎるほどの効果をもたらす。
ただーーーーーー。
オレが彼女に掛けた言葉、そして、その言葉を生むきっかけになったのは、すべて、自分の軽薄で愚かな行為だったことを意識すると、三葉の想いは、より大きな罪悪感となって、オレにのしかかってきた。
オレにとっての『ルートA』、銀河連邦政府の管理番号No.141421356のセカイの白井三葉は、オレを信頼し、全力で好意を向けてくれる、ある意味で、男子高校生にとっての理想の女子だ。
ただ、それは、オレが、自分自身の都合が良いように、いくつものセカイを股にかけて、何度もやり直しを経験したうえで成り立っている関係に過ぎないとも言える(すでに、自分の目で確認したように、彼女は、オレと交際していないどころか、三葉他の男性と付き合ったりしているセカイも数多く存在している)。
このセカイ(=『ルートA』)のオレと三葉の関係は、言ってみれば、はじめたばかりのスマホのゲームで、理想的な初回特典カードを手に入れるために、何度もインストールとアンインストールを繰り返すリセットマラソンを行って手に入れた最強の初回デッキのようなモノだ。
本来ならやり直しの効かない人生において、こんなリセマラ的な行為で得られた好意に、どれ程の価値があるのか――――――と、オレは今さらながらに、自問をせざるを得ない。
しかし、そんなオレの後悔をよそに、一途な彼女は、こんな提案をしてきた。
「あ~、こうして通話してたら、やっぱり、雄司に会いたくなっちゃった! ねぇ、ちょっと、遅い時間だけど、これから、外で会えない?」
自室の壁掛け時計を確認すると、時計の針は九時前を指していたが――――――。
オレと会えないことで不安を感じてしまっているという三葉の信頼に応えるためにも、彼女への返答の選択肢は、ひとつしかなかった。
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