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第3章
普段怒んない奴が怒るとプレッシャーがやばい
しおりを挟む「...え?」
私がアイルさんのお言葉に甘えてこっちの世界に戻って急いで家に戻ると、おばあちゃんが申し訳なさそうな顔をして迎えてくれた。
しばらく私の脳がフリーズした。
「それがねぇ、希美ちゃんかくれんぼしてる間に眠たくなって、部屋で寝てたそうなんだよう。」
「....なんてこったい...」
希美が無事だったことの安堵と向こうでだいぶやらかしたことの罪悪感とやっちまった感で崩れ落ちた。
無事だったのは良かった。本当に良かった。
かくれんぼの最中に鬼ガン無視でおねむとかなんだ天使かくっそ可愛い何も言えん。
「それで希美ちゃん見つかって唯ちゃんが帰ってこないから和也君が探しに出て帰ってきてないんだよ」
「えっ、...さ、さがしてくる!」
「あ、でももう帰って...唯ちゃん!」
何やってんだろう、私は...
希美が心配だからって突っ走って迷惑かけて...だいぶへこむ。和兄も案外心配性なのかな、意外。
家から出て探すって言ったらどこだろ...と、とりあえず近くのスーパー?いや、ないな。どこだろう、自分がいきそうなところ?いや、希美探してたんだから公園とか...
公園に向かおうとかけだしたら後ろから引っ張られてバランスを崩した。
よろけてぶつかって振り向くと和兄で目があった時一瞬びっくりした。
いつも笑ってるイメージの和兄がすっごい真剣な顔してたから誰かと思った。
「か、和「....あー、もう....!無事?」
「うん、なんともないよ、ごめんなさい」
「...唯はさ、思ってもない事言うよねー」
「え、...あ、あの、和兄...ごめんてば...」
安心したのか、息を整えつつ無事か確認される。結構走ってたのかな、こんな息切らしてんの初めてみた。
両肩を掴まれた状態で謝ると顔を上げた和兄が笑顔なのにとても怖かった。
それにいつも私のことちゃんづけで呼ぶのに呼び捨てになってて、なんだか凄く違和感がある。
「何に対して謝ってんの、それ」
「えっと、...一人で希美探しに行って心配かけたこと...」
「それ俺前にも言ったんだけど。」
「え、....」
「俺の言ったことなんて忘れちゃった?」
にっこりと、笑顔だったが物凄い怒ってるのが伝わってきてなにも言えなくなった。
口調や表情は同じなのにものすっごいプレッシャーがあって言葉が見つからない。
前にもこんなこと...あったっけ...?
必死で頭の中を検索するけど思い当たらない。
「お、おぼえてる!」
「じゃあ何で同じことしてんの?」
「ごめんなさい!」
「...例えばの話さー、希美が柔道黒帯で超強くてめっちゃしっかりした15歳だとすんじゃん。」
「え、う、うん...」
「その希美が夜中に露出の多い格好でコンビニ行ってくるっていって出てって音沙汰なしで二時間経ったらどーするよ」
「まず出さぬ」
「そりゃそーだけど、見つかった瞬間滅茶苦茶怒ると思うけどね俺は」
「うん...でも私は平気だよ、ほら結構しっかりしてるし」
「は?」
「ごめん、まって、ごめん、本当ごめん」
やばいマジで怒ってらっしゃる。
心配してくれるのはありがたいけど、さすがにこれは怖い。
いつものちゃらい感じは苦手だけど断然マシだ。
「剣道強いから大丈夫とか言ってんの?心配しないわけねーじゃん、もうちょい自分の行動で周りがどうなるか考えてから行動しろよ」
「...ごめんなさい」
「これ2回目だから反省してないってことだろ」
「いや、本当に悪気はなくて、つい頭に血が上って...希美のこと守らなきゃっていう気持ちだけ突っ走っちゃって...」
結構真面目に怒られてだいぶへこむ。
ただこれは分かって欲しい。私は頭ではみんなに心配かけるから勝手な行動はしちゃいけないとわかっているんだ。
ただそれ以上に、自分が守らなきゃという気持ちが強い。
私は父の連れ子の中では長女で、みんなを守る立場だったから。
うまく言葉にできないけれど、きっと使命感のようなものだ。
「あのさ、それ男の役割じゃんよ」
大きな溜息をつかれて呆れたように言われたけれど、なんだかしっくりこなかった。
「何、そんな頼りねーの?」
「違うよ!...違くて、そのせいでもし和兄になんかあったら嫌だし...」
「俺は勝手に無茶やられるほうが嫌なんだけど。」
「ご、ごめんなさい...」
「...俺は唯が思ってるよか頑丈だしこれから何かあったら必ず報告すること。OK?」
「かしこまりました!!」
怒ってはいるけれどなんとか許してくれたようで、帰ろ、と手を引いてくれる。
お兄ちゃんっていたらこんな感じなんだろうなぁ。
応援ありがとうございます!
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