つまりは女子高生が最強

amama

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第4章

ハグって大事だと思うんだ

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「はよー...うっわ姉貴顔コワッ!」

「うるせーチャラ男」

朝起きてリビングへ降りると姉貴がサラダ食べながらノーパソと睨めっこしてた。目の下にはクマ。
あー、レポートか。


「あ、和兄おはよう。今日どっか出かけるんだっけ?朝どーする?」

「今日久々に部活に顔だそーと思ってさー。あんま腹減ってねーし俺もサラダでいーかも」

「女子かよキモい」

「唯ちゃん助けて姉貴何にでもケチつけてくるんだけど!」

「美佳姉今忙しいんだよ、ちょっかい出すから怒られるんでしょー、もー!それにどうせ部活で動くんだからパンでいいから食べてきなよ、はい!」


めっちゃ理不尽なやつあたりをされて助けを求めたものの、唯ちゃんはやっぱ姉貴の味方でした。これはマジで納得いかない。レポート間に合わなくなるのって自業自得じゃね?

朝食の準備をしてくれてる唯ちゃんの顔にはクマなんてもちろんなく横でイライラしながら仏頂面でレポートやってる姉貴とおんなじ女の子だとは思えなかった。あー、昨日の光の気持ちわかった気がする。少しだけな。


「美佳姉、気休めだけど目覚めにレモングラス。今日家しばらく誰もいないから、落ち着いてゆっくり出来ると思う。なんかあったら言ってね。」

「唯...っ!」


唯ちゃんがティーカップにハーブティーを入れて姉貴に持ってくる。
これが女子力かー。


「結婚して...!」

「私でいいの...?」


姉貴が唯ちゃんに求婚して抱きついてた。
うわー羨ましい、女同士って普通に抱きつくよな
てか唯ちゃん顔が真顔なんだけど冗談ってわかってるよなあれ。若干不安。


「お、仲良いなー、二人とも。おはよう」

「はよー、今唯口説いてるから邪魔しないで」

「姉貴レポートで超機嫌わりーからちょっかい出さねーほうがいいぜ」


二人が抱き合ってたら二階から兄貴降りてきてまたのんびりとした声で笑った。
そのあと少し考え込むような顔をしてすぐにまたにっこり笑う。


「昨日からなーんか引っかかってたんだよ。唯俺にはあんまりスキンシップしてこないなーって。家族なんだしなんかあったらいってきていいんだからな?」

「はあ?兄弟だからって抱きつかないでしょー、普通。私と和也が抱きついてるとこみたことある?」

「姉貴と抱きつくとか罰ゲームじゃん」

「こっちのセリフだわチャラ男」


唯ちゃんと離れた姉貴が超怖え顔で迫ってきて現実って残酷だなと思った。
姉貴とくだらない言い争いをしてたら唯ちゃんがパタパタと兄貴のとこまでいって抱きついた。






は?








「お、どうした?」

「...なんとなく。今日午前中から出掛けるんだよね?朝食べるでしょ?」

「あぁ、でも帰りは多分早いぞ」


それだけ聞くと朝食の準備しに唯ちゃんはキッチンに引っ込んだ。
ちょっと待って今まじで何が起こった?俺は目がおかしくなったのか?


「和也顔やばいww確かに唯が自分から大輝に抱きついたのは衝撃だけどあんたの顔の方が衝撃だわwww」

「兄貴唯ちゃんの弱みでも握ってんの!?ホント理解超えてんだけどどういうこと」

「ん?なんでだ?別になにも変わったことしてないけど」

「落ち着け和也wwwもうだめ腹痛い」


大爆笑してる姉貴の声なんてなにも耳に入ってこなかった。
唯ちゃんが自分から抱きついてくるのって同性か自分より下の兄弟だけだった。
つまり年上で異性の俺と兄貴は除外される。

俺は自分から軽いハグ的なことはするけど全力で拒否られるから、あんなちゃんとしたハグなんてしたことない。ましてや唯ちゃんから来たことなんてただの一度もない。兄貴に関しては自分から抱きつきになんていかないし唯ちゃんからもこなかったはず。
天変地異としか思えない。

俺がかなり混乱してたら唯ちゃんがトレーを持って戻って来た。


「唯ちゃん今のどういうこと」

「え、なにが?ていうか味噌汁持ってるんだからやめてよ、近い退いて。」

「ーーーっ!!」

俺が納得出来ず唯ちゃんに詰め寄って聞いたらいつも通りナチュラルに拒否された。
それをツボに入ったのか姉貴が目に涙をためて小刻みに震えながら笑ってる。今本気で姉なんかいらないと思ったわ。


「朝から賑やかだな」

「兄貴のせいなんだけど。10割兄貴のせいだぜこれ。
そんなことより唯ちゃんさっきなんで自分から抱きついてたの!?」

「いいじゃん別に家族だし。和兄そんなことしてると約束の時間遅れるよー、待ち合わせしてるんでしょ」

「だったら俺にも来てくれていんじゃね?家族じゃん!てか俺だけじゃん唯ちゃんが抱きついてきてくんないの!差別だと思います!!」

「必死かよwwww」


俺が抗議してたら姉貴が腹抱えながら口出してきた。俺もよく笑うけどここまで酷くねーわ、俺からしたら一つも笑えねーし。
こんなところで似ててもなに一つ嬉しくねーし。


「えー...和兄は...なんか、ちょっと...やめとく...」


爆笑しながら姉貴が俺の背中をバンバン叩いてきたけど痛みも何も感じなかった。
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