洒落にならない怖い話【短編集】

鍵谷端哉

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俺が教えてない言葉を喋るインコ

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俺は今、セキセイインコを飼っている。



飼い始めて大体、5年くらいだろうか。

名前はセラ。

最初は言葉を覚えさせるのが面白くて、色々と言葉を覚えさせていた。



俺の名前だったり、アニメの決め台詞だったり。

でも、まあ、それも3ヶ月くらいしたら飽きてきて、言葉を覚えさせることはしなくなった。

だから、セラが話すのは「タダイマ」「ツカレタ」「オヤスミ」「オハヨウ」みたいな、俺が独り言のように言う言葉だけだった。



そんなある日の休日。

俺が部屋で漫画を読んでいたら、いきなりセラが「イタッ」って言い出した。

最初は「板?」と思って、変な言葉を覚えたなぁという感想しか抱かなかった。



気にせず漫画の続きを読んでいたら、今度は「イタイッ」と言い出したのだ。

つまり、「板っ」ではなく「痛っ」だったわけだ。



にしても、俺は「痛っ」とか「痛い」なんて言葉は、最近は言ってない。

アニメの台詞かなんかだろうか?

少し不気味に思いつつも、その日は気にするのを止めた。



そして、その次の週の休日。

セラがいきなり「イヤ、ヤメテ」と言い出した。



これには背筋がゾワッとした。



断言してもいい。

俺は最近、セラの前で「嫌、やめて」なんて言葉を言ってないし、アニメでもそんな台詞が出てくることはなかった。



……まさか、誰かが家に侵入している?



俺は慌てて防犯カメラを買って、色々な場所にセットした。

また、念のため、アニメを見るときはヘッドフォンをするようにした。



数日が過ぎた頃。

セラがいきなり「アハハハハ」と笑い出しかと思うと、今度は「オネガイダカラ……」と言い出した。



俺は慌てて防犯カメラを全部チェックした。

しかし、俺以外に不審な人物が写っているということはなかった。



そのことに安心はしたけど、今度は、じゃあ誰がセラに変な言葉を教えたか、ということになる。

次に俺が疑ったのは、いわゆる怪奇現象だ。

つまり、幽霊の存在である。



ここに入居するときに、一応は調べたが、改めてしっかりとここが事故物件じゃないかを調べてみた。



結果はシロ。



この部屋はもちろん、アパート全体、そしてアパートが建つ前のことも調べたが、心霊現象に繋がるようなことはなかった。



それからもセラは「タスケテ」や「シニタイ」などと変な言葉を言い始める。



眠れない日が続いた。

いや、眠るのが怖かった。

時々、ホテルに泊まって寝ていたくらいだ。



そして我慢の限界に差し掛かった頃。

セラがはっきりとこう言った。



「見つけたぞ」



俺はその日のうちに引っ越しをした。



あれから3年が経つが、それからセラが変な言葉を口にすることはなくなった。

ただ、今でもセラがしゃべったときは、ビクッとしてしまう。



それにしても、一体、あれは誰の言葉だったんだろうか。
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