洒落にならない怖い話【短編集】

鍵谷端哉

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【非人類の恐怖】幽霊・呪い・宇宙人などの超常現象

第12話:座敷童

私はずっと東京生まれで東京育ちだったのですが、娘が酷い喘息になってしまい、田舎に引っ越すことになりました。
 
夫はテレワークで出来る仕事ということもあり、娘のために引っ越すことに抵抗はないみたいでした。
ただ、私はというと娘が幼稚園の頃からのママ友と離れることになるのが、若干の心残りがありました。
 
本当はこういうとき、実家に住むというのをよく聞きますが、残念ながら私や夫の両親は同じく東京住みなので、結局、誰も知り合いがいない山の近くにある町に引っ越すことになりました。
 
こういうとき、知らない人間が突然、引っ越していくと馴染めなくてイジメられるなんていう話をよく聞くから、内心、私は憂鬱でした。
 
ですが、そんな心配もよそに町の人たちは私達家族を歓迎してくれました。
なんでも、最近は人が出ていくばかりなので来てくれるのはとても嬉しいとのことです。
 
家も古いですが立派な一軒家を安く買うことができ、私も夫も引っ越してきたのは成功だったと喜んでました。
 
娘もすぐに学校にも慣れ、家に友達を呼んだり、逆に友達の家に遊びに行ったりしていました。
でも、1ヶ月くらい経った頃でした。
突然、娘が「ふーちゃんって、いつまで家にいるの?」と聞いてきました。
 
最初は娘が何を言っているのか、よくわかりませんでした。
なので、娘に詳しく聞いてみると、家の中にずっと小さな女の子がいるというのです。
 
それは引っ越しでこの家に来た時から、ずっといたそうです。
その女の子は学校にも行かず、家から出ようとしないらしく、ほとんどしゃべらないと言うのです。
格好は、おかっぱで着物を着ているらしいのです。
 
もちろん、私には見えません。
そのとき、背筋が寒くなり、私は悪いとは思いましたが仕事中の夫に相談しました。
 
すると夫は笑って「きっと座敷童だよ」と言いました。
 
「ラッキーだね。これで俺達、金持ちになるかも。会社の査定も近いし、もしかしたら昇進するかもね」
 
私は見えない子が家の中にいるというのは少し、不気味に感じましたが座敷童は幸運を呼んでくれると聞くので、気にしないことにしました。
 
ですが、それから数週間後。
夫が3ヶ月に一度の出社日で東京に向かっている途中、事故に遭い、入院することになりました。
そして、その日に、娘が学校で転んで額を切ってしまうという事故がありました。
 
その頃から私達家族に不幸が続くようになりました。
 
夫は入院中の事故で退院が延び、娘は喘息の発作が多くなり、私も財布を盗まれたり家電が壊れたりと、明らかに嫌なことが頻繁に起こるようになったのです。
 
そんな中、家の中でいきなり娘の泣き声が聞こえてきました。
ビックリして娘のところにいくと、娘の腕に痣が出来ていました。
 
その痣のことを聞くと、娘はふーちゃんにやられたと言ったのです。
今も、じっと睨んでいると言って泣き続ける娘。
その日は、娘と一緒に寝ることにしました。
 
次の日、娘は学校を休ませ、一緒に夫の見舞いに行きました。
ふーちゃんは座敷童じゃない、という話になりました。
明らかに幸運どころか悪いことばかりが続いているからです。
 
夫と相談して、ふーちゃんを家から追い出すことにしました。
とはいっても、追い出す方法なんて知らないし、霊能力者に頼むというのもぼったくりが怖いということで、とりあえず、ネットで調べてやってみようということになったのです。
 
家の中に盛り塩をし、ひたすら「出ていけ」と叫びました。
すると娘が、「ふーちゃんが出て行った」と言いました。
その言葉を聞いて、ホッとしました。
 
その日から、何となく不幸が止まった気がしました。
夫も回復が早く、すぐに退院することになり、娘も喘息の発作が出ることもなくなりました。
私の方も何事もなくいつも通りの生活が続いています。
 
それから1ヶ月後。
娘が「ふーちゃんは、今度は卓弥くん家にいた」と言いました。
 
私は悪いと思いながらも「卓弥くん家には遊びに行かないようにね」というと娘は頷いてくれました。
 
それからさらに半年後。
卓弥くんの家族は引っ越ししたみたいです。
 
ふーちゃんが原因かは知りませんが。
今も、あの家にふーちゃんがいるのか、そもそもふーちゃんは何だったのか。
 
気にはなりますが、あまり考えないようにしています。
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