25 / 62
【外の恐怖】職場・学校・旅先や、他人の話
第16話:ドールメーカー
恥ずかしい話なのだが、僕の初恋の相手は人形だった。
小学3年生の時、学校の裏山の近くに、ある外国人が引っ越してきた。
売りに出されていた洋館を買い取り、そこに移り住んできたのだという。
引っ越してきた人はノアのいう名前の23歳の男の人だった。
ノアさんはアメリカ人だが、5歳の頃、両親に連れられ家族で日本に来たらしい。
それからずっと日本で暮らしていたから、日本語がペラペラだった。
僕が知らないような言葉も知っていて、驚いた記憶がある。
何が切っ掛けだったかもう思い出せないが、僕はいつしかノアさんの家に通うようになった。
その頃はクラス替えがあって、僕には全然友達がいなかったから、学校が終わったら毎日曜にノアさんの家に行っていた。
ノアさんは人形を作る仕事をしていると話していた。
後で母に聞いたことなのだが、ノアさんは世界でも有名な人形職人なのだとか。
その話を母から聞いても、僕は全然驚かなかった。
だって、ノアさんが作る人形は本当に凄かったから。
まるで生きているかのような繊細で精巧な人形は、きっと誰でも目を奪われると思う。
それで、ここで最初に言った、初恋の相手だが……。
そう。ノアさんが作った人形だったのだ。
本当に綺麗な人だった。
本当にそこで眠っているように思えた。
ただ、その人形は奇妙なことにノアさんにそっくりだった。
そっくりというか、ノアさんより若いというか……。
とにかく、その当時の僕はノアさんにストレートに、どうして自分の人形を作ったのかを聞いた。
「双子の妹なんだ」
ノアさんの話では、妹さんのミアさんは病気で18歳の時に亡くなったらしい。
ノアさんはミアさんが死んでしまったことが信じれらなくなって、それでそっくりな人形を作ったらしい。
そこで、自分には人形作りの才能があることに気づいたのだとか。
おそらく僕は一目ぼれだったのだと思う。
ミアさんから目が離せなかった。
今考えれば、本当に失礼な話なのだが、僕はミアさんが目当てでノアさんのところに行っていた。
ミアさんの前で、その日にあったことなんかを話したり、朗読を聞かせたり、話しかけたりしていた。
そんな僕の失礼極まりない行動を、ノアさんは諫めたりはしなかった。
逆にミアさんに熱心に会いに来てくれることを喜んでいたみたいだった。
気を利かせてくれていたのか、僕がミアさんに会っているとき、ノアさんは決まって席を外してくれていた。
だから、僕は気兼ねなく、色々とミアさんに話しかけていたのだと思う。
今、思い出してみると恥ずかしさで顔が熱くなるのだが、ミアさんに普通に告白もしていた。
なんていうか、小学生が人形に必死に恋のアピールをしていたのだ。
出禁にされても文句は言えないだろう。
だが、そんな生活が7、8ヶ月くらい経った頃だった。
ノアさんが引っ越すという噂を聞いた。
ビックリしていた僕に、母親はどこか安堵した様子だった。
なんでも夜中に2人組が散歩しているというのを、街の人たちが何人も目撃したのだという。
きっと、ノアさんがミアさんを連れて散歩していたのだと思う。
そのくらい、ノアさんはミアさんを可愛がっていた。
多分、僕のことを気持ちがらないでいてくれたのも、僕もミアさんを人間のように扱っていたから、それが嬉しかったんだと思う。
僕は慌てて家に行った。
窓のカーテンはなくっていて、外からでも家の中が見えた。
中はガランとしていて、家具なんかも全て無くなっていた。
もう、引っ越しの準備は終わっているようだった。
それでも僕は最後に一目でも、と思ってチャイムを押した。
すると中からミアさんが出てきた。
僕はきっと寂しそうな顔をしていたのだと思う。
ミアさんは微笑んで、僕の頭を撫でてくれた。
「いつも来てくれてありがとう。とても楽しかったよ」
そう言って、ノアさんの人形を連れて行ってしまった。
僕は今でもその光景を忘れることができないでいる。
小学3年生の時、学校の裏山の近くに、ある外国人が引っ越してきた。
売りに出されていた洋館を買い取り、そこに移り住んできたのだという。
引っ越してきた人はノアのいう名前の23歳の男の人だった。
ノアさんはアメリカ人だが、5歳の頃、両親に連れられ家族で日本に来たらしい。
それからずっと日本で暮らしていたから、日本語がペラペラだった。
僕が知らないような言葉も知っていて、驚いた記憶がある。
何が切っ掛けだったかもう思い出せないが、僕はいつしかノアさんの家に通うようになった。
その頃はクラス替えがあって、僕には全然友達がいなかったから、学校が終わったら毎日曜にノアさんの家に行っていた。
ノアさんは人形を作る仕事をしていると話していた。
後で母に聞いたことなのだが、ノアさんは世界でも有名な人形職人なのだとか。
その話を母から聞いても、僕は全然驚かなかった。
だって、ノアさんが作る人形は本当に凄かったから。
まるで生きているかのような繊細で精巧な人形は、きっと誰でも目を奪われると思う。
それで、ここで最初に言った、初恋の相手だが……。
そう。ノアさんが作った人形だったのだ。
本当に綺麗な人だった。
本当にそこで眠っているように思えた。
ただ、その人形は奇妙なことにノアさんにそっくりだった。
そっくりというか、ノアさんより若いというか……。
とにかく、その当時の僕はノアさんにストレートに、どうして自分の人形を作ったのかを聞いた。
「双子の妹なんだ」
ノアさんの話では、妹さんのミアさんは病気で18歳の時に亡くなったらしい。
ノアさんはミアさんが死んでしまったことが信じれらなくなって、それでそっくりな人形を作ったらしい。
そこで、自分には人形作りの才能があることに気づいたのだとか。
おそらく僕は一目ぼれだったのだと思う。
ミアさんから目が離せなかった。
今考えれば、本当に失礼な話なのだが、僕はミアさんが目当てでノアさんのところに行っていた。
ミアさんの前で、その日にあったことなんかを話したり、朗読を聞かせたり、話しかけたりしていた。
そんな僕の失礼極まりない行動を、ノアさんは諫めたりはしなかった。
逆にミアさんに熱心に会いに来てくれることを喜んでいたみたいだった。
気を利かせてくれていたのか、僕がミアさんに会っているとき、ノアさんは決まって席を外してくれていた。
だから、僕は気兼ねなく、色々とミアさんに話しかけていたのだと思う。
今、思い出してみると恥ずかしさで顔が熱くなるのだが、ミアさんに普通に告白もしていた。
なんていうか、小学生が人形に必死に恋のアピールをしていたのだ。
出禁にされても文句は言えないだろう。
だが、そんな生活が7、8ヶ月くらい経った頃だった。
ノアさんが引っ越すという噂を聞いた。
ビックリしていた僕に、母親はどこか安堵した様子だった。
なんでも夜中に2人組が散歩しているというのを、街の人たちが何人も目撃したのだという。
きっと、ノアさんがミアさんを連れて散歩していたのだと思う。
そのくらい、ノアさんはミアさんを可愛がっていた。
多分、僕のことを気持ちがらないでいてくれたのも、僕もミアさんを人間のように扱っていたから、それが嬉しかったんだと思う。
僕は慌てて家に行った。
窓のカーテンはなくっていて、外からでも家の中が見えた。
中はガランとしていて、家具なんかも全て無くなっていた。
もう、引っ越しの準備は終わっているようだった。
それでも僕は最後に一目でも、と思ってチャイムを押した。
すると中からミアさんが出てきた。
僕はきっと寂しそうな顔をしていたのだと思う。
ミアさんは微笑んで、僕の頭を撫でてくれた。
「いつも来てくれてありがとう。とても楽しかったよ」
そう言って、ノアさんの人形を連れて行ってしまった。
僕は今でもその光景を忘れることができないでいる。
あなたにおすすめの小説
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
短い怖い話 (怖い話、ホラー、短編集)
本野汐梨 Honno Siori
ホラー
あなたの身近にも訪れるかもしれない恐怖を集めました。
全て一話完結ですのでどこから読んでもらっても構いません。
短くて詳しい概要がよくわからないと思われるかもしれません。しかし、その分、なぜ本文の様な恐怖の事象が起こったのか、あなた自身で考えてみてください。
たくさんの短いお話の中から、是非お気に入りの恐怖を見つけてください。
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。
それなりに怖い話。
只野誠
ホラー
これは創作です。
実際に起きた出来事はございません。創作です。事実ではございません。創作です創作です創作です。
本当に、実際に起きた話ではございません。
なので、安心して読むことができます。
オムニバス形式なので、どの章から読んでも問題ありません。
不定期に章を追加していきます。
2026/4/15:『くろいわんぴーす』の章を追加。2026/4/22の朝頃より公開開始予定。
2026/4/14:『かえる』の章を追加。2026/4/21の朝頃より公開開始予定。
2026/4/13:『へび』の章を追加。2026/4/20の朝頃より公開開始予定。
2026/4/12:『ぱにっく』の章を追加。2026/4/19の朝頃より公開開始予定。
2026/4/11:『どろどろ』の章を追加。2026/4/18の朝頃より公開開始予定。
2026/4/10:『なきごえ』の章を追加。2026/4/17の朝頃より公開開始予定。
2026/4/9:『ぐつぐつぐつ』の章を追加。2026/4/16の朝頃より公開開始予定。
※こちらの作品は、小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで同時に掲載しています。
百物語 厄災
嵐山ノキ
ホラー
怪談の百物語です。一話一話は長くありませんのでお好きなときにお読みください。渾身の仕掛けも盛り込んでおり、最後まで読むと驚くべき何かが提示されます。
小説家になろう、エブリスタにも投稿しています。
【電子書籍化】ホラー短編集・ある怖い話の記録~旧 2ch 洒落にならない怖い話風 現代ホラー~
榊シロ
ホラー
【1~4話で完結する、語り口調の短編ホラー集】
ジャパニーズホラー、じわ怖、身近にありそうな怖い話など。
八尺様 や リアルなど、2chの 傑作ホラー の雰囲気を目指しています。現在 150話 越え。
===
エブリスタ・小説家になろう・カクヨムに同時掲載中
【総文字数 800,000字 超え 文庫本 約8冊分 のボリュームです】
【怖さレベル】
★☆☆ 微ホラー・ほんのり程度
★★☆ ふつうに怖い話
★★★ 旧2ch 洒落怖くらいの話
※8/2 Kindleにて電子書籍化しました
『9/27 名称変更→旧:ある雑誌記者の記録』
怪異の忘れ物
木全伸治
ホラー
千近くあったショートショートを下記の理由により、ツギクル、ノベルアップ+、カクヨムなどに分散させました。
さて、Webコンテンツより出版申請いただいた
「怪異の忘れ物」につきまして、
審議にお時間をいただいてしまい、申し訳ありませんでした。
ご返信が遅くなりましたことをお詫びいたします。
さて、御著につきまして編集部にて出版化を検討してまいりましたが、
出版化は難しいという結論に至りました。
私どもはこのような結論となりましたが、
当然、出版社により見解は異なります。
是非、他の出版社などに挑戦され、
「怪異の忘れ物」の出版化を
実現されることをお祈りしております。
以上ご連絡申し上げます。
アルファポリス編集部
というお返事をいただいたので、本作品は、一気に全削除はしませんが、ある程度別の投稿サイトに移行しました。
www.youtube.com/@sinzikimata
私、俺、どこかの誰かが体験する怪奇なお話。バットエンド多め。少し不思議な物語もあり。ショートショート集。
いつか、茶風林さんが、主催されていた「大人が楽しむ朗読会」の怪し会みたいに、自分の作品を声優さんに朗読してもらうのが夢。