洒落にならない怖い話【短編集】

鍵谷端哉

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【外の恐怖】職場・学校・旅先や、他人の話

第18話:都市伝説サークル

これは私が大学を辞めたきっかけの話。
 
最近、世間ではSNSで大学生がやらかしてる、なんてニュースが多いよね。
私が大学に入ったときはまだそんなにスマホが普及してなくて、SNSもほとんどの人がやってなかった。
だから、なにかやっても表に出ないだけで、昔からああいうことをする人って多かったと思うよ。
 
もちろん、私も、大学に入った当時は、なんていうかちょっと大人になったような気分で、結構はしゃいでいたんだ。
高校生から大学生になるのって、そういう感じしない?
 
まあ、中学生から高校生になったときも、そうだったんだけどね。
 
で、大学といえばやっぱりサークルってことで、私はどのサークルに入ろうか迷っていたんだよね。
とはいえ、小中高と帰宅部だった私が、いくらなんでも大学からスポーツをやるっていうのもなんだか気が引けてさ。
もちろん、本気じゃなくて緩く活動してるサークルもあったけど、それでもついていけなくなるのが怖かったんだよね。
 
となれば、文系のサークルってことになる。
私はそんなに陽キャじゃなかったし。
というか、どっちかというと陰キャだったしね。
まあ、今もだけど。
 
それで私が気になったのは『都市伝説サークル』だったんだ。
オカルト系って、どの時代でもそこそこ人気だけどさ、その当時は結構流行ってたんだよね、都市伝説。
テレビとかでもよく、それ系の番組やってたし。
 
なんか面白そうだな―って思って、そのサークルに行ってみることにしたの。
都市伝説サークルは学校には非公式で、学校内に部室がなくて、部員の部屋とかファミレスとか、図書館に集まって活動することが多かったかな。
 
内容はもちろん、都市伝説を調べて楽しむってやつ。
でも、それだけじゃなくってさ。
合宿と称して、その都市伝説の舞台となった場所に行ってみるっていうこともするって聞いてさ、私、結構、旅行が好きだから入ることにしたんだ。
 
入ってから3ヶ月くらいした頃だったかな。
それまでは都市伝説で百物語をやったり、順番に話して、ネタが尽きた方が負けみたいな勝負をやったりして、楽しんでたんだ。
 
ある日さ、部長がある都市伝説のことを調べてきたの。
それは山奥にある、集落にまつわる都市伝説。
 
その村には奴隷制度が残っていて、奴隷は家畜のように扱われるって話だった。
しかも、恐ろしいことに、その奴隷は村の人たちから選ばれるんじゃなくて、村の外から人を攫ってきて、奴隷にするらしい。
 
でも、そんなことを続けていたら警察に捕まるでしょって私が突っ込んだら、部長は首を横に振ったの。
なんでも、そこは警察でも手を出せない、危険な場所で、日本の法律の適用外なんだってさ。
 
似たような話は結構あるよね。
巨頭ォとか犬鳴村とか?
その他にも、サークルのメンバーから似たような話を聞いてたから、私は最初に聞いたときはそこまでインパクトを感じなかったんだよね。
 
けど、部長の次の言葉で俄然興味が沸いた。
 
「合宿で、その村に行ってみよう」
 
その言葉でサークルメンバーの目が輝いたのは今でも覚えている。
私たちはそのときは、肝試しのような気分だった。
どうせ、その場所に行っても何もないだろうってね。
 
でも、続けて部長が驚くことを言った。
 
「村自体はまだ残っていて、許可を貰えれば中に入れるらしいんだ」
 
それを聞いて、私たちのテンションは一気に上がった。
都市伝説の舞台となった場所に行ける。
 
合宿の日まで私はすごくワクワクして過ごしたんだ。
 
で、合宿の日の当日。
部長が車を出してくれて、その村に向かった。
片道、6時間くらいかかったかな。
本当に山奥でね。
部長もよく迷わないなーって感心したくらい。
 
さすがに6時間も車に乗ってたらへとへとになっちゃってさ。
もし、村に入れなかったと思うと、ゾッとするなんて話をしてた。
 
だけど、その心配は外れ、難なく村の中に入れたんだ。
私たちが泊ったのは民宿のような家だった。
そこのおかみさんみたいな人が、ご飯を用意してくれて、それを食べながら色々な話をしてくれた。
 
この村には都市伝説だって言って、時々人が来るようになったこと。
最初は迷惑だと思ったが、逆に、お客さんとしてもてなそうってことになったこと。
そして、それが見事に当たり、こうやって民宿をやるようになったことなんかを話してくれた。
 
そのおかみさんって人がさ、凄く気さくな人で、ここに泊まった記念に、これを書いてみないかって言って、紙を出してきたの。
その紙に、失踪するってことを書くという遊びだ。
 
お酒も出されていたこともあって、私たちはワイワイと話ながら紙に、探さないでくださいとか、自分が生きる道を見つけたとか、そういうことを色々と書いて遊んだんだ。
 
その後は温泉に入って、寝ることになったの。
 
みんなは疲れていたせいか、すぐに眠っちゃって。
でも、私はなんだか興奮して寝られなかったんだよね。
 
だから外の風でも辺りに行こうって思って、外に出たの。
しばらく、夜風に当たりながら散歩して、30分くらいした頃だったかな。
民宿に帰ろうとしたときに、大勢の人が民宿に入っていくのが見えた。
 
なんだろう?こんな時間に?
 
私はなんだか嫌な予感がして、民宿には戻らなかった。
暗闇の中で、身を潜めていたら、あることに気づいたの。
 
その民宿の周りにはガリガリに痩せて、虚ろな目をした男の人や女の人が呆然と立っていたの。
しかも、裸で。
 
そして、民宿の中から悲鳴がして、私は恐ろしくなって逃げたんだ。
もう、必死に。
 
今考えても、我ながら凄いと思うよ。
暗い中、一人で山を降りたんだもん。
火事場のクソ力ってやつかも。
 
それからはとにかく、民家を探して、助けを求めたんだ。
 
警察を呼んでもらって、全部話したんだけど、警察の人は笑ってた。
あの山にはそんな村なんてないって。
 
それでも、サークルのメンバーが襲われたと話したら、渋々、警察の人が山に向かってくれた。
けど、何も見つからなかった。
 
私は、そんなわけないとは思いつつも、もしかしたら夢だったんじゃないかって考え始めたんだ。
これはもう、逃避だね。
 
で、1週間後に大学に行ってみたんだ。
そしたらさ、サークルのメンバーが失踪したってことになってるの。
でも、それは事件にはならなかった。
なぜなら、それぞれの家に、家出をするっていう書置きがあったから。
それは本人の筆跡だったし、脅されて書かされたものではないことがわかったから。
 
私はあのとき、遊びで書いたものだと思ったが、そのことは話さなかった。
 
なぜなら、その紙を、誰かがそれぞれの家に置いたってことになる。
つまり、まだこの辺にいる可能性があるってわけだ。
もし、見つかれば私も攫われるかもしれない。
 
そう考えると、私は大学の講義なんて受けれるわけがなかった。
誰かが大学に忍び込んでいるかもしれないし。
 
私はすぐに実家に帰った。
大学には、もし、親戚を名乗る人が来たとしても、家の住所は絶対に教えないように頼んでおいた。
 
そして、それから半年後に大学を辞めた。
 
ちなみにね、都市伝説サークルの部長だけど……。
そこの大学の生徒じゃなかったんだ。
実家に帰る前に、人事の人に聞いてみたら、そんな名前の生徒はいない、だってさ。
 
あと、もう一つ。
いくら大学の非公式でも、サークルには小さくても部室が割り当てられるんだってさ。
 
これで、この話は終わり。
 
あ、この話は絶対に誰にも言わないでね。
まあ、誰も信じないかもしれないけど。
 
その場所?
ダメダメ、言えないよ。
 
え?なんで知ってるの?
私、場所のこと、話したっけ?
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