大阪のつむじ風

献残屋藤吉郎

文字の大きさ
1 / 25

復讐シリーズ

しおりを挟む
小説 「大阪のつむじ風」  (献残屋藤吉郎)

御影守の仲間という同志のスクープ記者、徳山萌は仙台
で。。。人生落後して、その後、しばらく大阪に旅し
た。その大阪暮らしのなかで知り合い、意気投合した男に坂口勝という、いい男がいた、、、
その男から久しぶりに連絡があり、スクープ記者の徳山
萌は大阪へ向かった。
大阪の風は久しぶりだったが徳山萌には、すぐに馴染ん
だ。本当に懐かし、心休まる風だった。
久しぶりに会った二人は大阪北新地の馴染の寿司屋
に。。
「元気だったかな、、生きてたのう、萌」
徳山も答えた。
「ああ、、何とか生きてるよ、人生に這いつくばって
な」
「しかし、懐かしい、、会えてよかった。。。」と、
坂口も徳山の手を握った。
それから酒も進み、話も昔の大阪時代に走った。
そして、坂口が言い出した。
「俺な、、今、困ったことがあるや、、」
「萌には昔から世話になってた、女やけどな、、かっこ
悪い話だけど、、、騙されたんや」
坂口は昔から女には好かれた、さほど美男ではないが、
坂口の気持ちが気にいられた。
その男が女に騙されたぐらいで悩むような奴ではな
い、、
徳山萌はよほどの事があったようだと思った。
実は坂口は5年ほど前から、惚れた女ができたらし
い、、そして、マンションを5000万円で買い、女名
義にしたらしい。商売がしたいという女のために、北新
地でクラブを開かせた。その資金に1億円を投じた。
開店当初は盛況だった、、、新しい女たち、、新しい色
香でにぎあう店内、、
いい気分で、その女も感謝してか、、坂口にも尽くした
らしい。しかし、人とは変わるもの、恐ろしい、、、
以前は坂口に対しても心から感謝しているように接し
て、いつも愛想よく振舞っていた。
商売が軌道に乗り、金回りも前より良くなって、女は変
わった。坂口の言うことを聞かなくなった。
女は自分の思うように仕事を増やしていった。。。
お店も増やし、5年間の間に北新地の他に大阪南にも、
と。。。クラブだけでも5店舗にした。
仕事が拡大し、繁盛することはいいことなのだが、、、
何をするにも、、、独断でやるようになった。
クラブ経営が軌道に乗り、資金的にも余裕が出てきたの
で、、、小口の金貸しを始めた。
最初は無許可で、、金貸しも水商売の人たちを相手に、
そして、金貸しも許可取得して始まった。
始まって1年もしないうちに、何とか軌道に乗って、
面白いように利益が出てきた。
彼女は正規の利息で、まともに貸し付けして儲かる金融
業を覚えてしまった。
夜のクラブ経営も、昼の金融業も軌道にのって、忙しく
動き回った。水を得た魚のように。。。
そんなこともあって、彼女は有頂天になり、少々、我を
忘れた感があったので。。。
坂口が心配になり、「勝って兜の尾を閉めろ」と。。。
諺を持ち出して、注意すると、、、
「今が昇り路、、出来るときにやらないと、、」
と、鼻であしらわれた。
「私のやることに文句があるなら、やめれば、、、」
と、言われてしまった。
坂口は黙った。、、惚れた弱みというか。
側で見守ってやらないと、心から感じた。
坂口のこれまでの人生経験や商売感から危ないと思っ
た。坂口が思ってたより、彼女の商売は上手く回り始め
た。しばらく様子を見ようと、、、

2.女の勇み足
夜のクラブ経営よりも、昼の金融業が面白くなり、商い
も少々、的外れな行為をするようになってきた。
最初は水商売の女相手のつもりで始まったのだが、、、
大口に貸し付け、、不動産を担保にとってのと、、、
また、信用での手形割引まで手を広げた。
不動産担保をとるようになり、不動産取引業の許可まで
取得していった。
そして、金額的に大きな、手形割引を始めた。
この手形割引が最終的には命取りになった。彼女は女社
長となり、大阪の金融業界で、、名前が売れ出したこ
ろ、、「大阪の金融クィーン」と言われて、いい気にな
つて、クラブ経営で儲けた資金をもとに金融道に走っ
た。
もともとはクラブ経営の手腕で、男を手玉にとっての商
売,早い話が、、、騙し商法ではないか。
そんな女経営の甘さがあり、金融の貸し付けが大きな取
引になっても、取り立ては、資金回収はどうにかなる。
と、、、自負していた。
自分が貸し付けて、騙されることは一切考えずに、、、
必ず、貸したものは返してもらえると、、、
危険な安心感を持っていた。
女特有の自惚れであった。
世の中には初めから騙しに取り掛かる奴がいる、計画的
に罠に嵌める奴がいるものだ。
その甘い罠を準備して、時間をかける。
そんな悪にかかれば、彼女はいい鴨もしれない。
クラブの客で、この1年間、金払いのいい、、、
不動産屋の木村社長がいる。
彼は女好きするタイプの甘いマスクの男だ。
そして、坂口の彼女も満更ではなかった。クラブに通い
始めて、1年ぐらか罠を含んだ儲け話に耳を傾け、その
話に乗ってしまった、、、
北海道の土地がらみの手形割引で、、、
不渡りになったとしても、、、土地を差し押さえ
て、、、転売またはリゾート地として、スキー場として
も儲かる話が出た。そして、その土地を確認してからで
も遅くないので、見た後に納得したら手形割引をしない
かと、、、木村社長も半分割り引くので、残りの半分を
どらろうと、金額は5億だ。
彼女も金額は大きいけど、木村社長半分、持つのだから
安心と思ってしまったのであった。

3.甘い罠の始まり
木村社長の誘いで、北海道の土地を見に行くことになっ
た.場所はニセコの近辺だった。
スキー場も近くにあり、ゴルフ場も併設されていたの
で、坂口の彼女も安心したようだ。
近くには温泉もあり、融資してもすぐに元は取れそう
だった。木村社長の地元の市会議員も今回の事業に参加
するので,,,,
現場は山ばかりだった。開発整地をすれば文句なしだっ
た。坂口の彼女は冬の雄大な北海道を見て、銀世界を見
て、、、リゾート計画の果てしない夢を追っていた。
そして、坂口が止めるのも聞かずに、10億円を融資し
たのだった。
まだ、形の出来ていない山に、彼女は夢を見たのであっ
た。大阪に戻った彼女は資金準備をした。
大きな甘い罠が待っていると、少しも疑わず、、、
人とはなんかの弾みで、一端信じたことの恐ろしさ彼女
も、また、理解していなかった。
今回の罠には木村社長たちの周到な時間をかけた計略潜
んでいた。初めから悪人たちの仕掛けた蟻地獄に落ち込
み、まんまんと、、10億円は騙された。
坂口の彼女が騙しと気づいたときには、木村社長たちは
北海道に引き上げ、、後でわかった事は木村社長たちは
北海道の田舎のやくざ組織だったということだった。
地元の愚連隊というか、反ぐれに毛が生えた程度のやく
ざだった。
融資した10億円はパクられたのであった。
土地を調べてら持ち主は別人で、土地謄本も土地売買契
約書も、、、すべて、偽造だった。
坂口の彼女は甘かったのだった。
時間をかけて大阪まで出かけてきた木村社長のずるさ、
罠を賭ける人間の巧みさに、まんまんと乗せられてし
まったのであった。
すべて、後の祭りだ。。。
懐から出た金は戻らない。
坂口の彼女は地団駄を踏んで悔しがった。
坂口も話を聞いて驚いた。
しかし、何かの方策を考えないと、、今までの苦労
、今までやってきたことが、なにもかも泡となったしま
う。。。坂口は一瞬、思った。
泡どころか、、、商売を整理しても足りずに、借金がの
こってしまうと、、、、、
坂口は自分の経験と知恵を絞って、、、彼女を救ってや
ろうと、、、被害を少なくしないと、、
心から思った。

4.女の執念
北海道から戻った、坂口の女は2,3日考え込んでい
た。
そして、強気の女はとりあえず動いた。
「もう一度、北海道へ行って木村社長たちを探して、会って来るから。。。。」と、言って
坂口には自分が帰ってくるまで動かないでと言い残し
て。
彼女は北海道へ向かった。
坂口は無駄なことだなと思いながら、取り合えず彼女の
好きなようにすればいいと、、、
その結果で自分がやれることをすると、坂口は決めた。
今更、慌てたところで、金が戻るわけでも無いの
で、、、彼女の結果報告を聞いてからと、、、
彼女は寒い雪の中を探し回った。
事務所、住居と知っている限りの住所を頼りに、、。
歩き回った。
そして、たどり着いた
木村社長たちは小樽の街にいた。
札幌で開発事業を計画して、事業をせずに小樽へ。
初めから事業はしないつもりだから金だけ騙して、、、
木村社長たちは小樽で遊んでいた。
坂口の彼女から騙した10億円は、、、満々とパクられ
て木村社長が、詐欺師が豪遊していた。
見つけた木村社長に彼女は詰め寄った。しかし、せせら
笑われた。
「おお、、、坂口ママか、、、良くここまで来たな」
「今更、金返せと言われてもな、、事後に失敗したの
で、、金は一銭もないよ。。。」
「心配するなよ、、、別の事業で取り戻して、儲けて見
せるから、、、時間をくれよ」
金を騙しておいて、悪びれた様子もなく、戯言を吐いた
「次の事業を見せるよ、今度の現場は大丈夫だから、、
2,3日泊まって行きなよ、、ホテルを予約するから」
と、言って、、、
木村社長は彼女に言葉巧みに、、、言い聞かせた。
木村社長たちにはとんでもない計画があった。
初めから金を取れるだけ引っ張って、返済しない覚悟で
彼女を追い込んでしまおうと、、、
彼女が自殺をして、この罠を終了させると。。。
その悪辣な連中の罠に嵌められたのだ。
そして、その計画は彼女が北海道へ戻ってきたら履行す
ると、初めから決めていたのだった。
世の中には悪い奴はいるものだ。
徹底した悪魔に着かれた人間が、、、彼らの計画で坂口
の彼女は自殺させられた。
後始末が見事で、警察の取り調べでも「自殺」と、、、
まるで、人を騙して人を、殺すことが当たり前という、
ふざけた人間たちがこの世にはいるという、、、
彼女の自殺が警察から知らされた坂口は後悔した。
一人で行かせなければよかったと、、坂口は反省した
間違いなく、木村社長たちに殺されたと、騙されて、金
までむしり取られて、命まで取られて、絶対に許せない
と、心から煮えくりかえった。
「香、、、敵(かたき)は必ず取ってやる、、、」
坂口はすべてをなくしても、すべてを賭けて、、、
5.男の意地
坂口は調べた。
木村社長たちの素性を、、徹底して調べた。
徳山萌の線からも、相竜会会長白木大二郎にも、、、
その結果、筋道の通ったやくざではなく、北海道の質の
悪い愚連隊崩れとわかった。
坂口は北海道へ飛んだ。
徳山萌と打ち合わせをして、、、相竜会の白木大二郎の
承諾のもとに動いた。
木村社長たちと会うときには「相竜会」を名乗った。
坂口にあった木村社長たちは慌てた。
とんでもないやくざ組織と関わったものと、日本最大の
坂口香が自殺したときの状況を聞かせてくれと、、、
木村社長たちは自分たちが殺しておいたのだから、話の
隙ができた。
坂口も百選錬磨の裏道を歩いてきた男、、、
木村社長たちの話に嘘を見抜き、攻めた。
「いい加減な話で、、、返事はするなよ」と、、
坂口も睨みを利かせた。
「いいな、、命を賭けて話してるんだから、覚悟を決め
て話してくれよ」
木村社長たち3人は坂口の凄さに身震いを覚えた。
「本当のことを言ってくれないなら、場所を変えてもいいんだから。。。」
木村社長たちは本当のことを言えば殺される。
言わなくても殺されと思った。
木村社長たちも少しは遊んだ人間だから、同じ事なら、
黙ってやられた方が、、、
なんか逃げ道があるのではないかと。と、思っていた。
坂口は間違いなく、この三人が香を殺したと思った。
隠しもっていた拳銃を放った。
三人とも逃げる暇もなく、その場に倒れた。
木村社長の事務所で、、、
坂口は自分についた返り血を始末して、その場を去った
そして、大阪に戻った坂口は香の墓に向かった。
坂口は結果を報告して、、、自分んも墓前で果てた。。
墓に参る前に、徳山萌に連絡をして、事の仔細を報告し
今回の礼を尽くして、別れをしたのだった。
徳山萌は坂口が彼女の墓前で果てたことを、、、
北海道での銃撃事件を後で知った。
男と女にはいろいろあって、、、
憎まれ口をたたきながら、本当は心からお互いを愛しん
でいる。
惚れた男のやさしさが、、、女の業を癒しているような
大阪の街から「つむじ風」が消えた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

まなの秘密日記

到冠
大衆娯楽
胸の大きな〇学生の一日を描いた物語です。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

処理中です...