王族なんてお断りです!!

紗砂

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本編

エール王国

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「旦那様、奥様! こちら、準備が整いました!」

「そうか……」

「ふふっ……娘に婚約破棄を申し立てた挙句、侮辱したうえに暴行……。
よくもまあこんなにも重ねたものですね、あなた?」

「あぁ、そうだな。
エリスには酷なことをしてしまったか……。
耐えるのは今日までだ」


私達の娘のエリスが、教科書やドレスを破いただと?
あのエリスがそんなことをするはずがないだろうに。
私の娘であれば、そんな分かりやすいことはしない。
やるのならばもっと分かりにくく、精神的にごっそりと削っていくやり方をする。
もしくは、社会的地位を落とすかだ。

だからこそ、そんなことをエリスがするはずがないのだ。
それをよく理解している者達は憤慨していた。


「お嬢様を侮辱した輩は私が排除致します……!」

「ルエル、程々にね? 私の分もちゃんと残しておくのよ」

「はい、お任せ下さい奥様!!」


……妻もやる気のようだ。無論、私もやる気だがな。
あのバカには一発くらいは殴っておかねば気がすまぬ。


「あっ……。お嬢様へのご連絡はどうしますか?」

「そうだな……エリスにはこちらは上手くやっている、とでも頼む。
現状については何も触れるな。
エリスの事だ、この話を聞けば何かしらの動きをするだろうからな」


あの子は身内に対しては優しい子だ。
だからこそ、この件を知れば商会を動かしてでも何か行動をとるだろう。
そうなれば、あの子の立場が危うくなることもある。
それが分かっていて、そんなことはさせられぬ。


「承知しました。
ですが、お嬢様は後でお怒りになると思いますよ?」

「構わん」

「あの子に迷惑はかけられないもの。
事後報告にはなるけれど、仕方ないわ」


その時には既に、この国には居ないかもしれないがな。

これからのことについて話している時だった。
エリスの店の者、アリスが目を覚ましたという報告があった。
しばらくしてからアリスの部屋へ行くと、やはりあのバカに付けられた傷が目立つ。
肩から首元までの刀傷は、酷く痛むだろうにアリスはそれを表面に出すことはせず、他の者の心配をしている。


「このような処置までしていただき、ありがとうございます。
店の方はどうなったのでしょうか……?
他の者は……」

「大丈夫だ。負傷者は君だけだ」

「そうですか……」


彼女は安心したようにホッと胸を撫でおろし、微笑んだ。
どこかエリスに似ていると感じるのはエリスも同じことがあれば真っ先に、自分ではなく他の者の心配をするからだろうな。
親としては自分の体を一番に考えて欲しいものだが。


「君さえ良ければ、私達に協力してはくれないか?
娘を傷付けたバカにお灸を据える」

「私としては願ってもいないことです。
ですが、一度店の方へ顔を出してもよろしいでしょうか?
私の他にもエリス様を侮辱したあの男共に対する不満等が溜まった者もいますので……」

「あぁ、勿論だとも」


やはりというべきか、商会にはエリスを慕ってくれている者が多いようだ。
まさか、こうも簡単にのってくるとはな……。





後日、アリスから一通の手紙が届いた。


『商会本店従業員一同、フォーリア公爵家の支援をさせていただきます』


と。
その言葉通り、様々な融通を聞かせてくれた。
これも全ては商会の従業員とエリスの信頼関係があってこそなのだろう。

だが、問題はその後だった。エリスから手紙が届いたのだ。

『色々と心配なので、一度そちらに戻ります。
~追伸~
まさか、私が不在だからといって反乱を起こすようなことはありませんよね?』

と。
どこから漏れたのかは分からぬが、エリスの耳に届いてしまったらしい。
随分と怒っているようだ。


「……さて、どうやってエリスのご機嫌をとろうか?」
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