1 / 100
駿河編
知るか!俺は旅に出るぞぉ!
しおりを挟む
刀が踊る。
光と閃光が場を満たし、人の悲鳴がところどころから聴こえて来る。
殺陣、又は技斗・擬斗・擬闘と呼ばれるものは、戦闘シーンなどで使われる演技だ。
だが、今目の前で起こっているのはそういったものでは無い。
遊びでは無い、勿論演技でも無い。
本物の、殺し合いだ。
その迫力はテレビ越しに見るソレの比にならない、その血しぶきは、手に残る生暖かい感触は空想を遥かに凌駕する。
う、嘘だ。
私はこういうのが嫌で隠居を決めたってのに!
どうしてこんな目に合わなきゃいけないんだ!
体の震えを必死で抑える。
「「ご隠居様、片付きました」」
タイミング良く、彼の従者が現れた。
先程までいた刺客で生きている者は1人もいない。
どうやら従者が倒したようだ。
「よし、行くぞ!」
「「はっ!」」
もうやだ、城に帰りたい...
◇◇◇◇
今川義元
知っているだろうか、あぁ、その認識で間違いは無い。
彼について前世の私が覚えているのはただ1つ、コイツは桶狭間の戦いで死んだってことだけだ。
桶狭間の戦い、織田信長が全国に名前を轟かせるきっかけとなった事件。
少数の兵で大多数の兵を打ち破る、戦国史に名を残すドラマだろう。
実際映画にもなってるし、戦国史における超重要なターニングポイントと言っても良い。
ちなみに、私がそんな義元の弟なのだが、この兄、何故か天下を取ってしまう。
ん?
おかしいよな?
いやいや、なんで死なないんだ?そこは私にも良くわからん。
だって、私は何もやってないもの。
日本を舞台にした歴史モノで、騒動や事件を上手く回避して歴史を変えるという行為は非常にありがちなことだ。
本能寺の変を変えるとかがそうだな、私もそういった物語は良く見ていた。
しかし、私自身が成したことと言えばは地方の城に籠り、今川義元の弟としてそろばんを弾いていただけに過ぎない。
色々やったかと言えばそうだが、それでも直接兄に影響を与えるようなことはしていない筈だ。
それなのに何故か歴史が変わった、不思議としか言いようが無いな。
とにかく兄上は織田を滅ぼして無事上洛を果たし、将軍を擁立し、副将軍となって事実上天下を取る。
各国で騒ぎを起こす大名を武力で抑えつけ、勢力がすり減っていた室町幕府は献身的な兄の助けによって、かつての栄光を取り戻した。
長きに渡る戦国時代は、我が兄が、思いの外早く終結させたのだ。
ちなみに、室町幕府の元に全ての大名が集ったのは、桶狭間の戦いが起こってから10年後の話である。
私が生まれたのが大永2年で兄上より5つ下だから、兄が52歳で私が47歳だ。
そんな兄上が、流行病で亡くなった。
私の物語は、ここから始まる。
「本当に行かれるのですか、輝宗様!」
「あぁ、大殿の葬儀が滞りなく終わった以上、私がいては差し支えるだろう。」
「それはそうですが、家督を継ぐことはできたものの、まだ殿やご子息は経験も浅く、輝宗様のお力が必要になるやも知れませぬ!」
「家督を継いで10年以上経つというのに天下の仕置も任せられぬとあっては大殿もさぞかしお嘆きだろうよ、2人には良い試練になる。やらせておけぃ」
「は、ははぁ!」
長い大廊下を、2人の男が歩いている。
1人は中背中肉、顔は可も無く不可も無くという平凡な顔だちをしており、口に黒い髭を蓄えている。
今川輝宗、それが私の名前だ。
先日、我が兄義元が亡くなった。
まぁ家督は元々甥っ子の氏真が継いでいたので問題なかったのだが、氏真も流行病で寝込むという緊急事態に陥っていた。
大変だ、喪主を勤める者がいない。
そこで白羽の矢が立ったのが私だ、私は権力も無いし、ずっと城の隅でそろばんを弾いていたような男だ。野心など欠片も見せない私は、家臣や親族連中にとって都合が良かったのだろう。
まぁそれも今日で終わりだ、氏真も快方に向かっていると言うし、漸くこの長い期間も終わりを告げる。
あー疲れた。
終わった終わった。
兄上、貴方はすごい人だよ、きっとこの戦国の世を終結させた人物として織田信長みたいなポジションに収まるんじゃ無いかな?
そうでも無いか、応仁の乱からそれほど時がたった訳では無いし、各地の戦いは守護大名の小競り合いみたいな感じで治ってしまうのかな。
無論、織田信長が天下統一するのに比べればの話であるが。
まぁどうでも良い、もう私には関係の無いことだ。
それでは、旅に出よう。
こう私が思ったのは、別に理由が無いからと言う訳では無い。
一応と言ってはなんだが、私は今川義元、実質的な天下人の弟だ。そんな私がまだ存命で喪主まで勤めてしまったのだ。
この時代において、喪主を勤めるという価値は大きい。本来喪主というものは次代の当主が取り仕切るものであり、本来ならば氏真が行わなければならないものだ。
私がもしや副将軍の座を狙っているなどと思われれば、新しい今川家の火種になりかねない。
そんなのは御免だ。
お家騒動?
冗談じゃない、私は天下人になりたいのでは無い。
私の夢は、旅をしながらまったり暮らすこと。
そして、この世界に他に転生者がいないのか探ることだ。
私が転生したきっかけとなった事件は、私の他に3人の人間が巻き込まれていたと言う記憶がある。
もし転生し、まだ生きているのなら是非会いたいものだ。
さて、旅に出るならまずは決めなければならないことがある。
供回りだ。
自分で言うのはなんだが、私は刀の才が無い。
私に刀を教えた先生は、直ぐに私に才が無いのを見抜き、僅か3日で匙を投げてしまった程だ。
このご時世、護衛がいなければ野盗に襲われて即死だ。
ということで、私は自分に見合う護衛を探すことにしたのだった。
◇◇◇◇
「前田利益と申します、この度はご隠居様の供回りとしての命を仰せつかり、栄誉で体が震えておりまする!」
「真田信繁と申します!若輩なれど名高きご隠居様のお役に立てますよう精進して参ります!」
目の前に、2人の男が座っていた。
1人は大柄で、身の丈は180センチぐらい。顔は100人が見れば90人は美丈夫と答えるほどの美丈夫だ。
丁寧な言葉遣いとは裏腹にその衣服は豪華で、下手をすると私よりも良いものを着ている可能性がある。
豪華、と言うよりは派手と言った方が良いだろうか、黄金を基調とした服は、老境に差し掛かった男には少しだけ眩しい。
立場が上の者の前で上の者より高い物を持ったり着たりするのは、本来は無礼と咎めるところだがまぁコイツだし許すか。
年齢は21歳、女遊びが激しく、喧嘩っ早いと評判らしい。
もう1人は小柄で可愛らしい少年だ、年齢は13歳。
まだ声変わりはしておらず、一生懸命声を張り上げている様がなんとも可愛らしい。
1人が女遊びが激しい奴なので、クソ真面目な奴を連れて行きたいと言ったらおススメされた。
いや、前田慶次と真田幸村じゃ無い!?
マジかよ、この世界に転生して以降色んな歴史上の人物に会ってきたよ。
徳川家康とか、上杉謙信とか。
まさか、ジジイになってからこんな2人に会えるなんて思わなかったよ。本当。
前田慶次はご存知花の慶〇とか漫画が有名だったり、その破天荒な逸話が多くある日本の有名な武将だ。
史実では高い教養を持ち、朝鮮人3人を供としている風変わりな男であり、新井白石からは「世に隠れなき勇士なり」と賞賛された男だ。
いや、まぁゲームの知識なんだけどね。これ。
真田幸村は日ノ本一の古兵として知られ、織田信長、坂本龍馬に並ぶ日本を代表するビッグネームだ。
「花の様なる秀頼様を、鬼の様なる真田が連れて、退きも退いたよ加護島へ」
とは、有名な歌だ。
歴女たちが歴史にハマるきっかけになった人物だよな、まぁゲームでも引っ張りだこだよ。
「面を上げい。」
そう言うと、2人とも顔を上げこちらを見る。
うわすごい、この2人が後の歴史に名を残す2人か。
この世界でもそうなれるかどうかはさておき、どちらも優秀なのは間違いない。精々こき使ってやろう。
「なに、そう大袈裟なものでは無い。年寄りが日本を見て回るだけのことよ」
「またまた、そのような建前ばかり仰られる。某も周囲もご隠居様のその内心を図りかねております」
「前田殿!流石に無礼であろう!」
「なんだ、お主は気にはならんのか?」
「そ、それは...」
照れたように俯く信繁を、利益がつつく。こうして見ると仲の良い兄弟のようだな。
それにしても、内心?そんなものは無いのだが。
私が旅に出たい理由のもう1つにはこういう面もある、どいつもこいつも、こちらの無い腹の虫を引っ掻くような真似をするのだ。
私がなにかをする度に、知らない誰かがいらん邪推をする。
そんな苦しい政治の世界はもう沢山だ、勝手にやって欲しいものよ。
さて、取り敢えず、2人の名前がこれでは見づらいな。変えるか。
「利益」
「はっ」
「お主に新たな名をやろう、慶事がつづくという意で慶次、前田慶次とこれより名乗るが良い」
「ははあっ!前田慶次、これよりご隠居様の矛となります!」
「信繁、お主にもだな、真田氏の諱である幸に、村で幸村と名乗るが良い」
「未熟なれど、精一杯仕えます!」
「まぁ、2人ともそう堅くなるな、ただの旅だ。双方共に仲良くついて参れ」
「はっ!」
「まぁ、そういうことに致しましょう」
2人が、揃えて頭を下げる。
よし、これで準備は万全だ。
こうして、1人の老境に差し掛かった男は、僅か2名の供を連れて京都の地を離れた。
彼が回る道のりは、いずれも厳しく、何も険しい。
そんな未来なぞ知る由も無く、多くの人々に惜しまれながら彼は旅立って行く。
後の世に語り継がれる、今川輝宗の冒険は、こうして始まった。
「あ、すまぬ」
「「なんでしょう?」」
「忘れモンをしてもうた...」
早く始まれ。
光と閃光が場を満たし、人の悲鳴がところどころから聴こえて来る。
殺陣、又は技斗・擬斗・擬闘と呼ばれるものは、戦闘シーンなどで使われる演技だ。
だが、今目の前で起こっているのはそういったものでは無い。
遊びでは無い、勿論演技でも無い。
本物の、殺し合いだ。
その迫力はテレビ越しに見るソレの比にならない、その血しぶきは、手に残る生暖かい感触は空想を遥かに凌駕する。
う、嘘だ。
私はこういうのが嫌で隠居を決めたってのに!
どうしてこんな目に合わなきゃいけないんだ!
体の震えを必死で抑える。
「「ご隠居様、片付きました」」
タイミング良く、彼の従者が現れた。
先程までいた刺客で生きている者は1人もいない。
どうやら従者が倒したようだ。
「よし、行くぞ!」
「「はっ!」」
もうやだ、城に帰りたい...
◇◇◇◇
今川義元
知っているだろうか、あぁ、その認識で間違いは無い。
彼について前世の私が覚えているのはただ1つ、コイツは桶狭間の戦いで死んだってことだけだ。
桶狭間の戦い、織田信長が全国に名前を轟かせるきっかけとなった事件。
少数の兵で大多数の兵を打ち破る、戦国史に名を残すドラマだろう。
実際映画にもなってるし、戦国史における超重要なターニングポイントと言っても良い。
ちなみに、私がそんな義元の弟なのだが、この兄、何故か天下を取ってしまう。
ん?
おかしいよな?
いやいや、なんで死なないんだ?そこは私にも良くわからん。
だって、私は何もやってないもの。
日本を舞台にした歴史モノで、騒動や事件を上手く回避して歴史を変えるという行為は非常にありがちなことだ。
本能寺の変を変えるとかがそうだな、私もそういった物語は良く見ていた。
しかし、私自身が成したことと言えばは地方の城に籠り、今川義元の弟としてそろばんを弾いていただけに過ぎない。
色々やったかと言えばそうだが、それでも直接兄に影響を与えるようなことはしていない筈だ。
それなのに何故か歴史が変わった、不思議としか言いようが無いな。
とにかく兄上は織田を滅ぼして無事上洛を果たし、将軍を擁立し、副将軍となって事実上天下を取る。
各国で騒ぎを起こす大名を武力で抑えつけ、勢力がすり減っていた室町幕府は献身的な兄の助けによって、かつての栄光を取り戻した。
長きに渡る戦国時代は、我が兄が、思いの外早く終結させたのだ。
ちなみに、室町幕府の元に全ての大名が集ったのは、桶狭間の戦いが起こってから10年後の話である。
私が生まれたのが大永2年で兄上より5つ下だから、兄が52歳で私が47歳だ。
そんな兄上が、流行病で亡くなった。
私の物語は、ここから始まる。
「本当に行かれるのですか、輝宗様!」
「あぁ、大殿の葬儀が滞りなく終わった以上、私がいては差し支えるだろう。」
「それはそうですが、家督を継ぐことはできたものの、まだ殿やご子息は経験も浅く、輝宗様のお力が必要になるやも知れませぬ!」
「家督を継いで10年以上経つというのに天下の仕置も任せられぬとあっては大殿もさぞかしお嘆きだろうよ、2人には良い試練になる。やらせておけぃ」
「は、ははぁ!」
長い大廊下を、2人の男が歩いている。
1人は中背中肉、顔は可も無く不可も無くという平凡な顔だちをしており、口に黒い髭を蓄えている。
今川輝宗、それが私の名前だ。
先日、我が兄義元が亡くなった。
まぁ家督は元々甥っ子の氏真が継いでいたので問題なかったのだが、氏真も流行病で寝込むという緊急事態に陥っていた。
大変だ、喪主を勤める者がいない。
そこで白羽の矢が立ったのが私だ、私は権力も無いし、ずっと城の隅でそろばんを弾いていたような男だ。野心など欠片も見せない私は、家臣や親族連中にとって都合が良かったのだろう。
まぁそれも今日で終わりだ、氏真も快方に向かっていると言うし、漸くこの長い期間も終わりを告げる。
あー疲れた。
終わった終わった。
兄上、貴方はすごい人だよ、きっとこの戦国の世を終結させた人物として織田信長みたいなポジションに収まるんじゃ無いかな?
そうでも無いか、応仁の乱からそれほど時がたった訳では無いし、各地の戦いは守護大名の小競り合いみたいな感じで治ってしまうのかな。
無論、織田信長が天下統一するのに比べればの話であるが。
まぁどうでも良い、もう私には関係の無いことだ。
それでは、旅に出よう。
こう私が思ったのは、別に理由が無いからと言う訳では無い。
一応と言ってはなんだが、私は今川義元、実質的な天下人の弟だ。そんな私がまだ存命で喪主まで勤めてしまったのだ。
この時代において、喪主を勤めるという価値は大きい。本来喪主というものは次代の当主が取り仕切るものであり、本来ならば氏真が行わなければならないものだ。
私がもしや副将軍の座を狙っているなどと思われれば、新しい今川家の火種になりかねない。
そんなのは御免だ。
お家騒動?
冗談じゃない、私は天下人になりたいのでは無い。
私の夢は、旅をしながらまったり暮らすこと。
そして、この世界に他に転生者がいないのか探ることだ。
私が転生したきっかけとなった事件は、私の他に3人の人間が巻き込まれていたと言う記憶がある。
もし転生し、まだ生きているのなら是非会いたいものだ。
さて、旅に出るならまずは決めなければならないことがある。
供回りだ。
自分で言うのはなんだが、私は刀の才が無い。
私に刀を教えた先生は、直ぐに私に才が無いのを見抜き、僅か3日で匙を投げてしまった程だ。
このご時世、護衛がいなければ野盗に襲われて即死だ。
ということで、私は自分に見合う護衛を探すことにしたのだった。
◇◇◇◇
「前田利益と申します、この度はご隠居様の供回りとしての命を仰せつかり、栄誉で体が震えておりまする!」
「真田信繁と申します!若輩なれど名高きご隠居様のお役に立てますよう精進して参ります!」
目の前に、2人の男が座っていた。
1人は大柄で、身の丈は180センチぐらい。顔は100人が見れば90人は美丈夫と答えるほどの美丈夫だ。
丁寧な言葉遣いとは裏腹にその衣服は豪華で、下手をすると私よりも良いものを着ている可能性がある。
豪華、と言うよりは派手と言った方が良いだろうか、黄金を基調とした服は、老境に差し掛かった男には少しだけ眩しい。
立場が上の者の前で上の者より高い物を持ったり着たりするのは、本来は無礼と咎めるところだがまぁコイツだし許すか。
年齢は21歳、女遊びが激しく、喧嘩っ早いと評判らしい。
もう1人は小柄で可愛らしい少年だ、年齢は13歳。
まだ声変わりはしておらず、一生懸命声を張り上げている様がなんとも可愛らしい。
1人が女遊びが激しい奴なので、クソ真面目な奴を連れて行きたいと言ったらおススメされた。
いや、前田慶次と真田幸村じゃ無い!?
マジかよ、この世界に転生して以降色んな歴史上の人物に会ってきたよ。
徳川家康とか、上杉謙信とか。
まさか、ジジイになってからこんな2人に会えるなんて思わなかったよ。本当。
前田慶次はご存知花の慶〇とか漫画が有名だったり、その破天荒な逸話が多くある日本の有名な武将だ。
史実では高い教養を持ち、朝鮮人3人を供としている風変わりな男であり、新井白石からは「世に隠れなき勇士なり」と賞賛された男だ。
いや、まぁゲームの知識なんだけどね。これ。
真田幸村は日ノ本一の古兵として知られ、織田信長、坂本龍馬に並ぶ日本を代表するビッグネームだ。
「花の様なる秀頼様を、鬼の様なる真田が連れて、退きも退いたよ加護島へ」
とは、有名な歌だ。
歴女たちが歴史にハマるきっかけになった人物だよな、まぁゲームでも引っ張りだこだよ。
「面を上げい。」
そう言うと、2人とも顔を上げこちらを見る。
うわすごい、この2人が後の歴史に名を残す2人か。
この世界でもそうなれるかどうかはさておき、どちらも優秀なのは間違いない。精々こき使ってやろう。
「なに、そう大袈裟なものでは無い。年寄りが日本を見て回るだけのことよ」
「またまた、そのような建前ばかり仰られる。某も周囲もご隠居様のその内心を図りかねております」
「前田殿!流石に無礼であろう!」
「なんだ、お主は気にはならんのか?」
「そ、それは...」
照れたように俯く信繁を、利益がつつく。こうして見ると仲の良い兄弟のようだな。
それにしても、内心?そんなものは無いのだが。
私が旅に出たい理由のもう1つにはこういう面もある、どいつもこいつも、こちらの無い腹の虫を引っ掻くような真似をするのだ。
私がなにかをする度に、知らない誰かがいらん邪推をする。
そんな苦しい政治の世界はもう沢山だ、勝手にやって欲しいものよ。
さて、取り敢えず、2人の名前がこれでは見づらいな。変えるか。
「利益」
「はっ」
「お主に新たな名をやろう、慶事がつづくという意で慶次、前田慶次とこれより名乗るが良い」
「ははあっ!前田慶次、これよりご隠居様の矛となります!」
「信繁、お主にもだな、真田氏の諱である幸に、村で幸村と名乗るが良い」
「未熟なれど、精一杯仕えます!」
「まぁ、2人ともそう堅くなるな、ただの旅だ。双方共に仲良くついて参れ」
「はっ!」
「まぁ、そういうことに致しましょう」
2人が、揃えて頭を下げる。
よし、これで準備は万全だ。
こうして、1人の老境に差し掛かった男は、僅か2名の供を連れて京都の地を離れた。
彼が回る道のりは、いずれも厳しく、何も険しい。
そんな未来なぞ知る由も無く、多くの人々に惜しまれながら彼は旅立って行く。
後の世に語り継がれる、今川輝宗の冒険は、こうして始まった。
「あ、すまぬ」
「「なんでしょう?」」
「忘れモンをしてもうた...」
早く始まれ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
5人の勇者を「500人」と報告したら、魔王様が和平の準備を始めました
miko.m
ファンタジー
※最終話までプロット作成済み。
※毎日19時に更新予定(たまに12時にも更新します)。
「勇者が500人!? 無理無理、勝てるわけないだろ! 和平だ、今すぐ娘を嫁に出せ!!」
魔王軍第一軍団長・ゴルドーは困っていた。たった5人の勇者に惨敗したなど、出世欲の塊である魔王ゼノンに言えるわけがない。保身のために彼がついた嘘。それは「勇者が500人いた」という、あまりにも適当な虚偽報告だった。
しかし、小心者の魔王様はそれを真に受けてパニックに! 「500人の勇者と全面戦争なんてしたら魔王軍が破産する!」と、威厳をかなぐり捨ててまさかの「終戦準備」を開始してしまう。
一方、真実を知った魔王家の三姉妹は、父の弱腰を逆手に取ってとんでもない作戦を企てる。
「500人は嘘? ちょうどいいわ。お父様を売って、あのハイスペックな勇者様たちを婿にしましょう!」
嘘を塗り重ねる軍団長、絶望する魔王、そして勇者を「逆スカウト」して実家脱出を目論む肉食系姫君たち。人間界のブラックな王様に使い潰される勇者たちを、魔王軍が「厚遇」で囲い込む!? 嘘から始まる、勘違いだらけの経営再建ファンタジーコメディ、開幕!
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
【完結】異世界で神の元カノのゴミ屋敷を片付けたら世界の秘密が出てきました
小豆缶
ファンタジー
父の遺したゴミ屋敷を片付けていたはずが、気づけば異世界に転移していた私・飛鳥。
しかも、神の元カノと顔がそっくりという理由で、いきなり死刑寸前!?
助けてくれた太陽神ソラリクスから頼まれた仕事は、
「500年前に別れた元恋人のゴミ屋敷を片付けてほしい」というとんでもない依頼だった。
幽霊になった元神、罠だらけの屋敷、歪んだ世界のシステム。
ポンコツだけど諦めの悪い主人公が、ゴミ屋敷を片付けながら異世界の謎を暴いていく!
ほのぼのお仕事×異世界コメディ×世界の秘密解明ファンタジー
ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!
クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。
ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。
しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。
ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。
そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。
国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。
樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。
家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~
北条新九郎
ファンタジー
三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。
父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。
ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。
彼の職業は………………ただの門番である。
そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。
二月から週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる