戦乱の世は終結せり〜天下人の弟は楽隠居希望!?〜

くろこん

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越後動乱編

越後の百姓って性根えぐいよね

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「ここらで休息を取る、幸村、慶次、準備を頼む。」

 「はっ」

 「はい!」

 馬が小さく震える、休息が必要だな。

 馬は使い続けているとすぐに潰れる、当然だな生き物だもの。ちなみに目安だが2時間に一度くらいで休憩を取った方が良いように思う。

 まぁ時計が無いから感覚ではあるのだがな。

「ご隠居様、もうすぐ越後に入りまする。越後に入った後暫く歩きますと上杉越後守謙信様のいる春日山城に着きます。」

「うむ、春日山城と言わば謙信殿自慢の城。この目で見るのが楽しみだ。」

 天下に名を残す大名にはそれぞれ自慢の城というものが存在する。

 織田信長なら安土城、豊臣秀吉なら大阪城、美濃のマムシこと斎藤道三は稲葉山城、北条家の小田原城、徳川家康なら江戸城が有名だな。

 春日山城はそんな中でも良の評価を与えられる名城と言えよう。その最大の特徴として、春日山城の周りには多数の砦があることが挙げられる。

 春日山の周辺、約5~6km程度の範囲内にある砦として、春日山から西へ伸びる稜線上に砦が列をなして並び、近いほうから番屋口砦・番屋砦・長沢砦・長浜砦・城が峰砦の順で並んでいる。

 北には沖見砦があり、南の複雑な地形のなかにトヤ峰砦・宇津尾砦・滝寺砦・中の俣砦の砦群、東の平地には長池山砦と東城砦および御館城があった。
 
 正直春日山城も大きな城であるのは間違い無いが、それらの砦を含めるとかなり広大でありそれぞれの砦から春日山城に繋がる道があったともされる。

 ここまで全部戦国豆知識ハンゾー解説ね。

 慶次や幸村には聞かせられないな、こんなの。

 だって完全に軍事機密だし...

「先行して情報を集めて下さっているお藤殿によると、一揆勢は北越後の一部分を占領し砦を築いて抵抗しているそうです。あまり戦況はよろしく無いとか。」

「うむ、この辺りが確か奴らの戦力圏だったか?」

「はい、念のため迂回しますか?」

「そうしよう、危ない橋を渡ることもあるまい。」

腰を落ち着け、竹筒で喉を潤しながら慶次に指示を出す。

 一揆勢は人数だけは多い、統率が取れているとは言い難いだろうがそれでも数の力は強大だ。ハンゾーの言うことを鵜呑みにするならば戦場で数の暴力はとてつもない威力を発揮する。

 野戦は不利だな、だが籠城戦は拙い。

 上杉謙信はこの戦いで他方に援軍を要請していない、百姓の一揆を自力で沈められないなど己の力量不足を天下に知らしめるようなものだからだろう。

 故に、野戦で一発決めて敵の砦まで戦線を押し上げて籠城させ日干しにさせる。

 これが現在いまとれる最高の策だろう。

 ちなみに反乱についてなのだが、反乱が始まったのはかなり昔で1479年ほどかららしい。史実では越中一向一揆と呼ばれており、越中の瑞泉寺と土山御坊門徒らが中心となった一向一揆だ。

 史実では1567年に上杉謙信が反乱軍をぶっ倒して終結するのだが...

 今が1562年、ハァ。

 「あと5年もやんのかよ...」

「何か仰られましたか?」

「1人ごとだ。」

 幸村の質問をさらりとかわす。

 さて、どうするかな。頭痛くなってくるわ、甘い物でも食べて元気出したいな。

「慶次、ここらに街はあるか?」

「はっ、那須氏が治めている小規模な街があったかと。」

「一先ずそこに向かう、行くぞ。」

 馬が小さく嘶き、私が乗った瞬間から歩き始める。

 やはりこの馬、頭いいな。


◇◇◇◇


  思ってたよりいい所だった。

 旅館のルーツは意外に浅く、宿場町なんてものが大きく発展するのは参勤交代が開始される時期だから江戸時代の話であり、こんな田舎の地に宿屋なんてものは普通は無い筈なのだ。

  寂れていると思いきやと言うことだ。

 だが、意外と言う訳でも無い。

 私は、茶屋の椅子に腰掛けて買った団子を食いながら幸村とそれについて話をしていた。

「どうして、こんなにこの街は栄えているのでしょう?」

「戦争特需と言う奴だな。」

「なんですか、それは?」

「いいか幸村、戦が起きる、その後を考えたことはあるか?」

「後、でございますか?」

「あぁ、戦場跡には死体は勿論弓や武具、刀などがゴロゴロ転がっている。それを食えない奴らが回収して商人に売るのだ。」

「し、しかし死ねば刀などは回収されて実家に戻るのでは?」

「それは上の家臣のみの話よ、雑兵は見向きもされん。さて、武器を買った商人は武器を売り始める。勿論ここらは戦が起きているから侍や、自主的に戦に参加しようとする陣借り者傭兵がそれを買い、儲けた商人はここらの産物を買い占めて上方へと帰って行く。産物を買って貰った百姓や漁師は更に物を買い、経済を回して行く。」

 へぇ、と言う幸村と声が聞こえる。

 慶次は知っていたようだが、耳をぴんと張って私の言葉を聞き漏らさないようにしていた。

 この団子美味いな、この店で作ってるのかな?もう一個食べよう。 私が食べているのはカラフルで串に刺さっているよくあるお団子だ、ちなみに赤色の団子が一番美味しいと思っている。

 食い終わったら続きだ。

 「戦争が利益を生む、故にこの街にはこの辺りには珍しく宿屋もあると言う情報があった。」

「戦が、この国には必要と言うことなのでしょうか。」

「違う、この国は長い間百姓の一揆が起こっていた。それ故に国が戦に頼る経済体系にしてしまったのだ。」

 幸村の言うことは大まかには間違っていない、この国は戦により成り立っている不健全極まりない国だ。

 百姓一揆の善悪を問うつもりは無い、だがこの越後が長く続いた一揆によって戦で経済を回す国になってしまったことは事実だ。

 その辺りは現代人である私やハンゾーで無ければピンと来ない感情だろう、戦争は札束の殴り合いなんて言われてる世界から来た人間だからな。

 最近この時代でも大きく取り入れられ始めた鉄砲とかあるだろう?あれとか弾丸や火薬にいくらかかると思ってるんだ。

 織田信長って金持ちだったんだなと今更思うわ。

「慶次、すまん団子もう一個頼んでくれ。」

「はい、おーい!ご主人!」

「幸村も食べるか?」

「はい!」

「ご隠居様、ちび助が菓子ばかり食って夕餉夕飯を食えなくなるのも考えものですぞ。」

「慶次殿!そのようなことにはなりませぬ!」

「それもそうだな、幸村ほどほどにせい。」

 笑いながらそう言うと幸村は残念そうな顔をしながら最後の一本を食べ始めた。

 そんなこと言ってるが慶次、お前10本以上食ってるじゃ無いか。結構好きだろ?

「ご隠居様、何か?」

「いや、何も?さて、私の団子は...あれ、無い?」

 おかしい。

 さっき慶次が頼み、主人が置いてくれた筈の私の分の団子がない。

 幸村は...自分のを食べてるな、慶次は私のを取るようなことはせんし。

  あれ?落とした?










「もぐもぐもぐもぐ、うん。やはり疲れてるときはお団子が一番良い、美味しいぃぃ!」

  「・・・・ (口を開いて白目)」

 「・・・・(遅れながら気づいた慶次)」

 「・・・・ (気づかない幸村)」

  食っとるやん。

 目の前にいたのは、美しい着物を纏った少女だった。

 桜色の着物が春の暖かい日差しにぴったり合って映えている、顔は現代風美少女と呼ぶに相応しい風貌で、意地汚く団子を頬張っているのが妙に印象深い。

 髪はこの時代では珍しく短く整えられており、そして走り去っていった。

 「待てぇぇぇい!」

 「ぎゃああああああああそこそこのイケオジが物凄い勢いで追いかけてくる!?モテ期?」

 「んなわけあるかぁ!窃盗だぞ貴様ぁ!」

 「窃盗じゃないし、落ちてたから食べちゃっただけだし!落し物だって拾ったら1割貰えるじゃない!」

 「お前全部食っちゃってるからなぁ!?」

 あの野郎、足速いな。いや私が遅いのか!?

 「捕まえまするか?」

 「優しくな、頼むよ。」

 そう言うと、慶次が3歩程で少女に近寄りその身を捕まえようとする。

  流石慶次だ、優しく頼むぞ。

 「やばっ!」

 「千代様!」

 「あ?」

 慶次が数秒前にいたところにどこからか現れた男の斬撃が降り注ぐ、慶次は当然無事だ、バク転の感覚で躱していたからな。

  「テメェ...何者だ?」

 「貴様らこそ何者だ、千代様、お下がりを。」

 線の細い男が千代、そう呼ばれたコソ泥少女を下げようとする。

 だがむしろ少女は、男を手で下げさせた。

 「良いって、下がってて。」

 「しかし!」

 「大丈夫だって、ホラ!」

 しぶしぶと男は少女の後ろに控えた。

  「慶次、お主も下がれ。」

 「はっ」

 慶次もそれに合わせて身を引く。

 「どなたかな?」

 「ごめんなさいね、噂の人に会ってみたくて悪戯しちゃった。」

 「噂の人か?」

 「うん、今川輝宗。そうでしょう?」

 「うむ、私が今川輝宗で間違いは無い。」

 短期間でこちらを見抜いた、うん。この子は頭が良い、お付きの男も仮にも慶次に身を躱させたのだ。及第点は与えられる強さだろう。

 私のことを知っている、この少女と面識が無いのでつまりは私のことを監視していたと言うことだろう。越後に入ればそのようなこともあるだろうと思ってはいたが、まさか入る前から監視とは恐れ入った。

 そして、何より感じたのは街のだ。

 街には空気がある、それは街に住む住民の総意であり、そうした気配はひりひりと私の顔を打ち明けてくるのだ。

 そうした気配ならば私にもわかる、慶次や幸村はそれを直に感じ取っているだろう。

 慶次があの少女に襲いかかった瞬間から、その殺気は私たちに向けられた。

 成る程、お藤のルートを外れるべきでは無かったな。

 ここは確かに上杉の領内だが、潜在的な一揆勢の勢力圏内と言うことか。

 そして、そんな街の住人たちから圧倒的な支持を誇るこの子。

 何者だ?

「私は千代、一揆勢の首領、と言うか貴方にはツッキーって呼んで欲しいな、桃ちゃん。」

「・・・・だよなぁ。」

 ため息が出た気がした、心の臓がそのまま出てきたようなその吐息で体の力が一気に抜けていく気がしている。

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 幼馴染4人組の1人でありブレーンでもある彼女は、見事にロリ少女に転生を遂げていたのだった。
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