11 / 11
第2章 ソーディリア大陸 魔剣王
第10話 船上と天才結界士と魔王
しおりを挟む
「とりあえず、俺達を探してるような奴はいない」
「そ、それは良かった」
翌朝、俺達は予定通り朝早くから宿をたち、船着き場からソーディリア大陸行きの定期便に乗りこんだ。
そよ風が頬をなぞり、目覚めの身体に良いリラックス効果を与える。これだから朝の船乗りというのはやめられない物である。
魔王にもそれが通ずるのか、俺の隣でマギアが甲板の柵にもたれながら、その長く綺麗な銀色の髪を靡かせている。俺達と同じソーディリア大陸に用のある男たちがボーッとしているのは、きっとマギアに見惚れているのだろう。実際、今のマギアは結構美しかった。
「こっちへの視線が強いですね……」
「私の容姿に男の愚民どもが見惚れているんでしょ?」
「今回ばかりは否定できないな」
「ばかりって何よ!」
船に乗った時は、もう誰かに追われていないかと少しばかり不安になってたが、大丈夫だと分かった後は、こんな感じですっかりのんびりタイムである。
これからもう一人の魔王に会いにいくというのに、この調子で大丈夫なんだろうか? いや、こういう時こそリラックスしないと精神がやられてしまうのかもしれない。
マギアの事だから、そんな事まで考えていないのだろうが。
「……ソーディリア大陸、私行った事ないんですよ」
「旅人やってたぐらいだから、てっきり行ってる物かと思ったが……。マギアは?」
「あるに決まってるでしょ。アンタはどうなの?」
「例のパーティーの奴らと少しな」
ソーディリア大陸。岩山に囲まれた岩窟地帯が8割を占めている大陸。他の大陸でも類を見ない程の戦争を過去に何度も起こった事から、出没する魔物も協力な物が多く、冒険者にとっては修行の地とも呼ばれている場所である。
A級クラスの魔物、ヘルロードの討伐依頼の為に数日程滞在していたことはある為、その危険度はよく理解している。そんな大陸を過去支配していた魔王……本当にどういう奴なんだ? ボーッとしてる子とは聞いたが。
「マギア」
「ん?」
「魔剣王、だったか。馬車の中では余り聞いてないが、詳しくはどういう奴なんだ?」
「……ボーっとしてる子だよ、本当に。でも、怒らせたら味方でも殺す程の、残虐非道さは持ってる。私よりは魔王してる子だよ」
「それは聞いたが、それ以外は?」
「あまり会話はしてないの。私、魔弓王以外とはあまり交流してないの。魔剣王とも、話したのは数回程度」
「……そんなにギスギスしてたのか」
「うん」
当時がいかに修羅の世界なのかが、交流関係でわかる例というのも早々ないであろう。おそらく彼女が魔王であるからこその体験だろう。
そんな関係だからこそ、一人の魔王の逆鱗に触れた事よって聖戦が勃発したのだろう。いやはや、いまこうやって俺が魔王と一緒にいる事が恐ろしく感じてしまう。
「何というか、マギアを敵に回さなくてよかったよ」
「そりゃそうでしょう。アンタなんて一瞬よ? 一瞬」
「出会ったとき、何とか耐える事は出来たが?」
「耐える事しかできないでしょ。あ、でも封印を使われるとやばいわね?」
「……互い様だな」
「……ふふっ。魔王様とクライン様、本当に良いコンビですね」
「そうか?」
「見てれば分かりますよ」
出会ったときこそ、殺されかけたりとかしたものの、短期間でそんな関係として見られるようになっていたのか? 互いに成長でもしたのだろうか?
昨日のブラックワイバーン戦でお互い少し苦戦を強いられたのもあるのだろう。それはそれとして、そういうものになっていたのであれば、こちらとしても少し嬉しい物である。
次会う魔剣王とも、上手く和解できるといいのだが。
「……そういえば、マギア。魔剣王がどこで封印されてるか、分かったりするか?」
「生憎と。あの子は私の後に封印されたと思うんだよね。知らせとか何もなかったから……」
「情報無し、か」
「そ、そこは調べるしかないですね……」
「だな。3人いれば良い感じに分散できるだろ」
一応ソーディリア大陸にも、他大陸同様城のある大きな街は存在する。いや、城というより城塞だな、あれは。
つまり、マギア同様禁足地と指定されている場所があるとするのなら、そこに封印されている可能性は高い。
幸い観光目的で禁足地をめぐる冒険者や旅人も少なからず存在するため、場所を聞く事自体はたやすい物である。最も、深入りして探りをいれてしまったら怪しまれてしまう為、そこは注意しなければならないのだが。
「港町についたら、まずは北のリーデンワーク城塞を目指すぞ。そこで手あたり次第に聞き込みだ。あそこは情報屋や商人も沢山いるからな」
「おっけ、了解」
「わかりました」
……魔剣王、どんな奴なんだろうな。
今から会うのが楽しみだ。
***
「……あれから何年がたったか」
ソーディリア大陸のとある場所。誰にも知られる事のない小さな砦に一人、青髪をたなびかせて、来たる日を待ちわびる女性の姿があった。
「私の代わりに封印されてくれて助かるわ。貴方はよくやってくれた……。さて」
女性は不適に笑う。
「……そろそろね。聖戦の再開は」
「そ、それは良かった」
翌朝、俺達は予定通り朝早くから宿をたち、船着き場からソーディリア大陸行きの定期便に乗りこんだ。
そよ風が頬をなぞり、目覚めの身体に良いリラックス効果を与える。これだから朝の船乗りというのはやめられない物である。
魔王にもそれが通ずるのか、俺の隣でマギアが甲板の柵にもたれながら、その長く綺麗な銀色の髪を靡かせている。俺達と同じソーディリア大陸に用のある男たちがボーッとしているのは、きっとマギアに見惚れているのだろう。実際、今のマギアは結構美しかった。
「こっちへの視線が強いですね……」
「私の容姿に男の愚民どもが見惚れているんでしょ?」
「今回ばかりは否定できないな」
「ばかりって何よ!」
船に乗った時は、もう誰かに追われていないかと少しばかり不安になってたが、大丈夫だと分かった後は、こんな感じですっかりのんびりタイムである。
これからもう一人の魔王に会いにいくというのに、この調子で大丈夫なんだろうか? いや、こういう時こそリラックスしないと精神がやられてしまうのかもしれない。
マギアの事だから、そんな事まで考えていないのだろうが。
「……ソーディリア大陸、私行った事ないんですよ」
「旅人やってたぐらいだから、てっきり行ってる物かと思ったが……。マギアは?」
「あるに決まってるでしょ。アンタはどうなの?」
「例のパーティーの奴らと少しな」
ソーディリア大陸。岩山に囲まれた岩窟地帯が8割を占めている大陸。他の大陸でも類を見ない程の戦争を過去に何度も起こった事から、出没する魔物も協力な物が多く、冒険者にとっては修行の地とも呼ばれている場所である。
A級クラスの魔物、ヘルロードの討伐依頼の為に数日程滞在していたことはある為、その危険度はよく理解している。そんな大陸を過去支配していた魔王……本当にどういう奴なんだ? ボーッとしてる子とは聞いたが。
「マギア」
「ん?」
「魔剣王、だったか。馬車の中では余り聞いてないが、詳しくはどういう奴なんだ?」
「……ボーっとしてる子だよ、本当に。でも、怒らせたら味方でも殺す程の、残虐非道さは持ってる。私よりは魔王してる子だよ」
「それは聞いたが、それ以外は?」
「あまり会話はしてないの。私、魔弓王以外とはあまり交流してないの。魔剣王とも、話したのは数回程度」
「……そんなにギスギスしてたのか」
「うん」
当時がいかに修羅の世界なのかが、交流関係でわかる例というのも早々ないであろう。おそらく彼女が魔王であるからこその体験だろう。
そんな関係だからこそ、一人の魔王の逆鱗に触れた事よって聖戦が勃発したのだろう。いやはや、いまこうやって俺が魔王と一緒にいる事が恐ろしく感じてしまう。
「何というか、マギアを敵に回さなくてよかったよ」
「そりゃそうでしょう。アンタなんて一瞬よ? 一瞬」
「出会ったとき、何とか耐える事は出来たが?」
「耐える事しかできないでしょ。あ、でも封印を使われるとやばいわね?」
「……互い様だな」
「……ふふっ。魔王様とクライン様、本当に良いコンビですね」
「そうか?」
「見てれば分かりますよ」
出会ったときこそ、殺されかけたりとかしたものの、短期間でそんな関係として見られるようになっていたのか? 互いに成長でもしたのだろうか?
昨日のブラックワイバーン戦でお互い少し苦戦を強いられたのもあるのだろう。それはそれとして、そういうものになっていたのであれば、こちらとしても少し嬉しい物である。
次会う魔剣王とも、上手く和解できるといいのだが。
「……そういえば、マギア。魔剣王がどこで封印されてるか、分かったりするか?」
「生憎と。あの子は私の後に封印されたと思うんだよね。知らせとか何もなかったから……」
「情報無し、か」
「そ、そこは調べるしかないですね……」
「だな。3人いれば良い感じに分散できるだろ」
一応ソーディリア大陸にも、他大陸同様城のある大きな街は存在する。いや、城というより城塞だな、あれは。
つまり、マギア同様禁足地と指定されている場所があるとするのなら、そこに封印されている可能性は高い。
幸い観光目的で禁足地をめぐる冒険者や旅人も少なからず存在するため、場所を聞く事自体はたやすい物である。最も、深入りして探りをいれてしまったら怪しまれてしまう為、そこは注意しなければならないのだが。
「港町についたら、まずは北のリーデンワーク城塞を目指すぞ。そこで手あたり次第に聞き込みだ。あそこは情報屋や商人も沢山いるからな」
「おっけ、了解」
「わかりました」
……魔剣王、どんな奴なんだろうな。
今から会うのが楽しみだ。
***
「……あれから何年がたったか」
ソーディリア大陸のとある場所。誰にも知られる事のない小さな砦に一人、青髪をたなびかせて、来たる日を待ちわびる女性の姿があった。
「私の代わりに封印されてくれて助かるわ。貴方はよくやってくれた……。さて」
女性は不適に笑う。
「……そろそろね。聖戦の再開は」
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
魔物に嫌われる「レベル0」の魔物使い。命懸けで仔犬を助けたら―実は神域クラスしかテイムできない規格外でした
たつき
ファンタジー
魔物使いでありながらスライム一匹従えられないカイルは、3年間尽くしたギルドを「無能」として追放される。 同世代のエリートたちに「魔物避けの道具」として危険な遺跡に連れ出され、最後は森の主(ヌシ)を前に囮として見捨てられた。
死を覚悟したカイルが崩落した壁の先で見つけたのは、今にも息絶えそうな一匹の白い仔犬。 「自分と同じように、理不尽に見捨てられたこの子だけは助けたい」 自分の命を顧みず、カイルが全魔力を込めて「テイム」を試みた瞬間、眠っていた真の才能が目覚める。
婚約破棄? 私、この国の守護神ですが。
國樹田 樹
恋愛
王宮の舞踏会場にて婚約破棄を宣言された公爵令嬢・メリザンド=デラクロワ。
声高に断罪を叫ぶ王太子を前に、彼女は余裕の笑みを湛えていた。
愚かな男―――否、愚かな人間に、女神は鉄槌を下す。
古の盟約に縛られた一人の『女性』を巡る、悲恋と未来のお話。
よくある感じのざまぁ物語です。
ふんわり設定。ゆるーくお読みください。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
精霊姫の追放
あんど もあ
ファンタジー
栄華を極める国の国王が亡くなり、国王が溺愛していた幼い少女の姿の精霊姫を離宮から追放する事に。だが、その精霊姫の正体は……。
「優しい世界」と「ざまあ」の2バージョン。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる