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3話 事件発生(?)
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翌日。
「とりあえず、合鍵渡しておくよ······」
「おぉ、助かります。これで気兼ねなく外出出来ます」
「お願いだから部屋から出る時は誰にも見られないようにしてくれよ?! 見つかった時の説明がめんどくさいんだからな?!」
「お任せ下さい、私は諜報員としても超一流ですので。隠密行動はむしろ得意です」
スパイか? 犯罪者のニオイがするんだが······。
「ともあれ、青人くんは学校へ行ってきてください。家事は一通りやっておきますので」
「余計な事はするなよ? 壊したり改造したり、余計な事はするなよ?!」
「君が私をどう見ているのか分かりました。帰ったらじっくりとお話しましょうか!」
N.O.は不満そうだ。
仕方ないだろ。不安なんだよ、他人を家に置いていくのが!
帰った時が怖いな······。
◆◆◆
「·········はぁ······」
「おっはようさんっ!」
「あいたっ!」
挨拶とともに強烈な平手がオレの背中に打ち込まれた。
「いきなり何しやがる······」
「いやなに、落ち込んでるみたいに見えたからな。こうして喝を入れてやったんだよ」
「いらねぇよ、そんな喝······」
オレのつぶやきに、拓海はカカカッと笑った。
「で? 何があったよ?」
「······何が?」
「何かあったんだろ? じゃなきゃそうして朝っぱらから机に突っ伏してねぇだろ」
「はぁ······」
ったく、鋭いやつめ。
とはいえ、『いきなり異世界からの同居人が出来ました』とかどう説明するんだよ······。
まさかそのまんま言う訳にもいかないし······。
「······今は言えねぇ」
「······」
結局、黙っている事にした。
「そうかよ······」
「······」
「ま、しょうがねぇな」
「······深追いしないのか?」
「『今は』言えねぇんだろ? それってつまり、『いつかは言う』って事だ。なら、それまで待つさ。誰だって隠し事の1つや2つはあるもんだしな」
「······すまねぇな」
「気にすんなよ」
こういう時に踏み込んで来ないのは、こいつの美徳だよな。ありがたい······。
「······ま、その隠し事を暴くのが楽しかったりするんだがな」
「······あ?」
今、聞き捨てならない言葉を聞いたぞ?
「お前······」
「冗談だっての」
「お前のは冗談に聞こえないんだよ!」
拓海は無駄に行動力があるし、妙なところで欲望に忠実だったりするところがあるから油断ならない。
「おおーい、そろそろホームルームの時間だぞ! さっさと席に着かないか!」
校内のチャイムと同時に担任が教室に入ってきた。タイミングを見計らったかのような正確さだ。
「っと、また後でな」
「あぁ」
担任は生徒全員が着席したのを確認した後、点呼を取り始めた。そして連絡事項を淡々と説明していった。
この時間は平和だ。学校にいる間は、あの変な同居人の事を考えなくていい。
オレはこの時、ホームルームの内容が頭に入っていなかった。
◆◆◆
放課後。
今日の授業もつつがなく終了し、オレは真っ直ぐに帰宅した。
N.O.のやつ、まさか変な事はしてないだろうな······?
異世界から来たってんならこの世界の常識も知らんだろうし、家の事も全部説明しきれて無い。
せめて、何も壊れてない事を祈るばかりだ。
オレは焦る気持ちを抑えながら、鍵を開けてドアを開けた。
「ただいまー」
「おかえりなさい。おおよそ申告通りの時間ですね、良い事で······っと!」
オレはN.O.の出迎えをスルーし、急いで家中を確認して回った。
リビング、台所、寝室、ベランダ······。
「あれ······?」
思いのほか、部屋は何とも無かった。特に散らかっている訳でもなく、何かが壊れたような跡も無い。物が無くなっている事も無かった。
正直、拍子抜けした。
「何とも、ない······?」
「何を想像しているのかはだいたい推測出来ますが、君は私を何だと思っているのですか?」
「いや、何だとって······」
「全てにおいて完璧な私が、やらかす訳がないでしょう?」
完璧かどうかはさておき、確かにやらかしたような形跡は無い。
オレの心配しすぎだったか······。
「······ごめん。正直疑ってた」
「正直でよろしい。ま、これで私が家事においても大変有能であると分かっていただけたようですし、これで良しとしておきましょうか」
「あぁ······」
オレの心配は杞憂に終わった。
はぁ、何事もなくて良かっ······。
「······ん?」
ふと、オレはあるものに気がついた。
「なんだ······?」
親父の寝室から、コードが1本伸びている。そのコードは、リビングのコンセントに差し込まれていた。
「N.O.、このコードは何?」
「ぎくっ」
······何だ?
「おい······、何を隠してる?」
「え、えーっとです、ね······?」
オレの質問に、N.O.はしどろもどろになっていた。額には汗も浮かんでいる。
「この世界には、あまりにも魔素が少な過ぎてですね······? その代わり、この世界では電気が普及していてですね······? 魔力補給の為に仕方なく······」
「·········」
嫌な予感がしたオレは、すぐに親父の寝室へと押し入った。
「ちょ······っ!」
「·········何、コレ······」
親父の寝室は、異空間と化していた。
見た事も無い機械が所狭しと設置され、コードがいくつも伸びていた。その内の1本はリビングへと続いていた。壁には見た事も無い紋様が描かれていたり、しまいには天井に大きなファンまで取り付けられていた。
こいつ、他人ん家の部屋を魔改造しやがった······!
「お前······、お前えぇぇぇぇ!」
「ちょ! お、落ち着いてください、話せば分かります! 話せば分か······!」
「お前えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ······!」
気が動転したオレの興奮は、しばらくの間治まらなかった。
「とりあえず、合鍵渡しておくよ······」
「おぉ、助かります。これで気兼ねなく外出出来ます」
「お願いだから部屋から出る時は誰にも見られないようにしてくれよ?! 見つかった時の説明がめんどくさいんだからな?!」
「お任せ下さい、私は諜報員としても超一流ですので。隠密行動はむしろ得意です」
スパイか? 犯罪者のニオイがするんだが······。
「ともあれ、青人くんは学校へ行ってきてください。家事は一通りやっておきますので」
「余計な事はするなよ? 壊したり改造したり、余計な事はするなよ?!」
「君が私をどう見ているのか分かりました。帰ったらじっくりとお話しましょうか!」
N.O.は不満そうだ。
仕方ないだろ。不安なんだよ、他人を家に置いていくのが!
帰った時が怖いな······。
◆◆◆
「·········はぁ······」
「おっはようさんっ!」
「あいたっ!」
挨拶とともに強烈な平手がオレの背中に打ち込まれた。
「いきなり何しやがる······」
「いやなに、落ち込んでるみたいに見えたからな。こうして喝を入れてやったんだよ」
「いらねぇよ、そんな喝······」
オレのつぶやきに、拓海はカカカッと笑った。
「で? 何があったよ?」
「······何が?」
「何かあったんだろ? じゃなきゃそうして朝っぱらから机に突っ伏してねぇだろ」
「はぁ······」
ったく、鋭いやつめ。
とはいえ、『いきなり異世界からの同居人が出来ました』とかどう説明するんだよ······。
まさかそのまんま言う訳にもいかないし······。
「······今は言えねぇ」
「······」
結局、黙っている事にした。
「そうかよ······」
「······」
「ま、しょうがねぇな」
「······深追いしないのか?」
「『今は』言えねぇんだろ? それってつまり、『いつかは言う』って事だ。なら、それまで待つさ。誰だって隠し事の1つや2つはあるもんだしな」
「······すまねぇな」
「気にすんなよ」
こういう時に踏み込んで来ないのは、こいつの美徳だよな。ありがたい······。
「······ま、その隠し事を暴くのが楽しかったりするんだがな」
「······あ?」
今、聞き捨てならない言葉を聞いたぞ?
「お前······」
「冗談だっての」
「お前のは冗談に聞こえないんだよ!」
拓海は無駄に行動力があるし、妙なところで欲望に忠実だったりするところがあるから油断ならない。
「おおーい、そろそろホームルームの時間だぞ! さっさと席に着かないか!」
校内のチャイムと同時に担任が教室に入ってきた。タイミングを見計らったかのような正確さだ。
「っと、また後でな」
「あぁ」
担任は生徒全員が着席したのを確認した後、点呼を取り始めた。そして連絡事項を淡々と説明していった。
この時間は平和だ。学校にいる間は、あの変な同居人の事を考えなくていい。
オレはこの時、ホームルームの内容が頭に入っていなかった。
◆◆◆
放課後。
今日の授業もつつがなく終了し、オレは真っ直ぐに帰宅した。
N.O.のやつ、まさか変な事はしてないだろうな······?
異世界から来たってんならこの世界の常識も知らんだろうし、家の事も全部説明しきれて無い。
せめて、何も壊れてない事を祈るばかりだ。
オレは焦る気持ちを抑えながら、鍵を開けてドアを開けた。
「ただいまー」
「おかえりなさい。おおよそ申告通りの時間ですね、良い事で······っと!」
オレはN.O.の出迎えをスルーし、急いで家中を確認して回った。
リビング、台所、寝室、ベランダ······。
「あれ······?」
思いのほか、部屋は何とも無かった。特に散らかっている訳でもなく、何かが壊れたような跡も無い。物が無くなっている事も無かった。
正直、拍子抜けした。
「何とも、ない······?」
「何を想像しているのかはだいたい推測出来ますが、君は私を何だと思っているのですか?」
「いや、何だとって······」
「全てにおいて完璧な私が、やらかす訳がないでしょう?」
完璧かどうかはさておき、確かにやらかしたような形跡は無い。
オレの心配しすぎだったか······。
「······ごめん。正直疑ってた」
「正直でよろしい。ま、これで私が家事においても大変有能であると分かっていただけたようですし、これで良しとしておきましょうか」
「あぁ······」
オレの心配は杞憂に終わった。
はぁ、何事もなくて良かっ······。
「······ん?」
ふと、オレはあるものに気がついた。
「なんだ······?」
親父の寝室から、コードが1本伸びている。そのコードは、リビングのコンセントに差し込まれていた。
「N.O.、このコードは何?」
「ぎくっ」
······何だ?
「おい······、何を隠してる?」
「え、えーっとです、ね······?」
オレの質問に、N.O.はしどろもどろになっていた。額には汗も浮かんでいる。
「この世界には、あまりにも魔素が少な過ぎてですね······? その代わり、この世界では電気が普及していてですね······? 魔力補給の為に仕方なく······」
「·········」
嫌な予感がしたオレは、すぐに親父の寝室へと押し入った。
「ちょ······っ!」
「·········何、コレ······」
親父の寝室は、異空間と化していた。
見た事も無い機械が所狭しと設置され、コードがいくつも伸びていた。その内の1本はリビングへと続いていた。壁には見た事も無い紋様が描かれていたり、しまいには天井に大きなファンまで取り付けられていた。
こいつ、他人ん家の部屋を魔改造しやがった······!
「お前······、お前えぇぇぇぇ!」
「ちょ! お、落ち着いてください、話せば分かります! 話せば分か······!」
「お前えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ······!」
気が動転したオレの興奮は、しばらくの間治まらなかった。
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