未完の物語の中に転移する物語

ホーンラビットあらわる

　街をでて少し歩くとウサギがいた。

　しかしただのウサギではない角が生えている。

　ホーンラビットという魔物だ。

　自分は、武器としてショートソードを持っていたので構えて様子をみる。

　相手もこちらの様子をみている。

　魔物とはいえウサギだし、たった1匹だ。

　こちらには向かってこないかもしれない。

　という自分の予想に反してこちらに向かって駆け出してくる。

　あっという間に自分の目の前だ。

　ホーンラビットの突進をなんとかかわす。

　かわした際にショートソードで切りつければよかったのだが急な事で余裕がなかった。

　再度突進を受けた時に、今度こそはと切りつける。

　浅い。

　何度か同じように切りつけると相手は動かなくなった。

　自分の衣服も切り裂かれて擦り傷ができているがなんとか勝利できたようである。

　はじめての魔物との戦いで心臓の鼓動がすごい。

　しかし、せっかく倒したけどこの後どうすればよいのだろうか。

　たいていの物語では魔物の一部を切り取って討伐証明としてギルドで換金していたような気がする。

　でも、動物の解体とかできんよ自分。

　そんな事を考えながら魔物を眺めていると魔物が腐りはじめる。

　いやいや早すぎでしょ。

　と思ったら、腐った魔物の体は灰になり、代わりに石とカードが残される。

　そこまでいって自分でつくった設定を思い出した。

　魔物は倒されると魔石という石になりそれをギルドに持っていくと換金できる。

　また、魔物は倒されるとカードを残す事がありそれがアイテムとなる。

　御都合設定は嫌だなとチートなし設定にしたつもりだったが、ずいぶんと御都合主義である。

　魔石とホーンラビットの肉と書かれたカードを拾う。

　もう疲れたから既に帰りたかったが、さすがに帰るのが早すぎるだろうと思って薬草採取に向かうのであった。