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第2事件 ゾンビ事件 その1
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失踪事件を解決した次の日、ナッシュは再びキャラメル探偵事務所の所長室の前に立っていた。
「今日から本番かぁ。不安だなぁ」
先日の失踪事件は神経を削るほどに過酷な依頼だった。しかし、依頼を終えた際に言われたのは、今回の依頼は軽かったということ。あれ以上に過酷な依頼をこなすと考えると、憂鬱にもなる。
「いつまでもこうしている訳にもいかないよね」
ナッシュは意を決してドアノブを捻る。
「おはようございます」
所長室に入ると、昨日と同じように所長のホウリがデスクに座っていた。横にはフランが立っている。
ただ、昨日とはいる探偵が違った。
所長室にいる探偵は2人。1人は白衣を着た女性。肌は青白く、銀色の長い髪はボサボサ。不健康そうな出で立ちで探偵の雰囲気はまるでない。背丈は中学生に間違えそうなほどに低く、やる気が無さそうに頭を掻いている。
もう1人は普通の男性だった。体系は中肉中背。格好は白いTシャツに黒いジャケットを羽織っており、ジーパンを履いている。そして、不気味なほどに身動きをしていない。人間ではなく精巧な人形だと言われた方が納得できる。
「誰だ?」
白衣の女性がナッシュを見て眉を顰める。明らかに歓迎している様子ではない。
ナッシュは身を縮こませながら所長室に入る。
「あの、お邪魔でしたか?」
「おはようさん。別に邪魔じゃないから気にするな」
「ですが、歓迎されていない気がするんですけど?」
「こいつの機嫌が悪いのはいつもの事だ。気にするな」
「そうは言われましても……」
居心地が悪そうにナッシュは白衣の女性に視線を向ける。
「ホウリ、こいつはなんだ?」
「そうだな。先に自己紹介からしてもらうか」
「あの!私はこの探偵事務所の助手になりましたナッシュです!」
「そうか。私は発明探偵のリルアだ」
「よろしくお願いします!」
「ああ」
その言葉を最後に所長室には沈黙が流れた。沈黙に耐え切れなくなったのか、ホウリが話し始めた。
「リルアはコミュニケーションが下手でな。親しい者以外とは会話が続きにくい」
「ということは、私が嫌われている訳ではないんですか?」
「そうだ」
「良かったぁ~」
ホウリの言葉にナッシュは胸を撫でおろす。
「リルアさんは発明探偵って言ってましたよね?どんな発明をしたんですか?」
「スマホは支給されたかね?」
「ええ」
「あれを作ったのは私だ」
「そうなんですか!?」
あれほどの機能を持つスマホを目の前の女の子が作った。その事実にナッシュが興奮する。
「他にはどんな発明をしたんですか!?」
「ロワに会ったのだろう?彼が使っている弾丸も私の発明品だ。他にも車などの乗り物も私が発明している」
「あの車もリルアさんが発明したんですか」
発明品の話をしていると、心なしかリルアの顔も険しさが和らいできた。
「凄いですね!ちなみに今はどんな発明を───」
「盛り上がっているところ悪いが」
ホウリが話を打ち切って、先ほどから動いていない男性を指さす。
「そろそろ、そいつを動かさないと不味いんじゃないか」
「……ああ。忘れていた」
リルアが白衣のポケットからリモコンを取り出して、男性に向けてスイッチを押した。
「ぶはっ!はぁはぁ……」
瞬間、男性が前かがみになって荒く呼吸し始めた。
「お前なぁ!?人を固めておいて忘れるんじゃねぇよ!死にかけただろうが!」
「生きているから別に良いではないか」
「良くない!」
「その話は後で頼む。まずはナッシュに自己紹介してくれ」
「そうだったな。悪い」
動き出した男性はナッシュに笑顔で手を差し出した。
「俺の名前はシュン。よろしくな」
「私はナッシュです。よろしくお願いします」
ナッシュがシュンとガッチリと握手を交わす。リルアと違い、コミュニケーションが取れることに胸を撫でおろす。
「シュンさんは何探偵なんですか?」
「あー、俺は〇〇探偵みたいな愛称は無いんだよ。皆のように特殊な能力は無いからな」
「何を言っている?私が愛称を付けただろう?」
「あんなの却下に決まってるだろ」
「どんな愛称なんですか?」
「モルモット探偵だ」
「そんなの名乗れるか!」
「何故だ?私のモルモットであるのだから、良い愛称だと思うが?」
「お前のモルモットになった覚えはないんだが!?」
思いもしない愛称にナッシュは思わず苦笑いをしてしまう。そんなナッシュを前に2人の言い合いは加速していく。
「我儘だな?なら他の案を出そうではないか」
「聞くだけ聞いてやる」
「イングリッシュ、クレステッド、リッジバックなんてどうだ?」
「聞いたこと無い単語だな?」
「全てモルモットの種類だ」
「やっぱりモルモットじゃねぇか!?」
「漫才はその辺りにしておけ。そろそろ仕事の話をするぞ」
ホウリの言葉にリルアとシュンは口論をやめたが、すまし顔のリルアをシュンが睨み続けている。
だが、すぐにシュンは視線を戻して、やれやれといった様子で首を振った。
「それで?今回の依頼はどういうモノなんだ?」
「簡単に言えばゾンビを何とかしてほしいって依頼だな」
「ぞ、ゾンビ?」
「あっはっは!ゾンビなんている訳ないだろ!」
シュンが腹を抱えて笑い始める。だが、リルアは険しい表情で話を聞いている。
「死体が動いているということか?それなら、私達よりも戦闘力が高い者に頼めばいいだろう?ヒーローやサイキッカーに頼みたまえ」
「ヒーロー?サイキッカー?」
聞きなれない単語に頭の上に「?」が浮ぶナッシュ。しかし、会話の流れを止めないために、疑問を飲み込んだ。
「ゾンビと言っても、映画で見るような死体が動くやつじゃない。生きている人間がゾンビになる」
「噛まれたらゾンビになるって奴か?」
「それも違う」
「どういうことだ?」
「とある商店街のとある時間、住民の意識が無くなり、ゾンビのように他の人間を襲う。そして、時間が経つと意識が戻る」
「ん?妙な現象だな?」
「このままだと商店街から人がいなくなってしまいますね。早急になんとかしないと」
「なるほど、これは私達が適任だな」
何かを察したのか、リルアが頷く。
「特定の時間のみってことは、ゾンビでありがちな細菌が原因って訳でもない。何かの機械によるものか、特異な力によるものか。どちらにせよ、私の機械の知識が役に立つだろうな」
「これまた大変そうだな」
「この程度の依頼なら問題無い」
「違ぇよ。お前の発明品が牙を剥いてくるのを心配しているんだ」
「私の発明品?いつも君を助けているだろう?」
「同じくらいピンチになってんだよ」
「えっと?どういうことですか?」
「詳しくは移動しながら聞いてくれ。今は依頼の話を続けるぞ」
ホウリの言葉にシュンとリルアが口を閉じる。
「今回の依頼はゾンビ化の謎を解明し、元凶を断つことだ。原因解明には日数が掛かる可能性がある。3日ほど泊まる準備もしてくれ」
「え?泊まり!?」
「いきなりだな?」
「泊まりの準備ができたら出発してくれ。詳しい情報はスマホに送るから目を通しておいてくれ」
「分かった」
リルアはそれだけ言うと、踵を返して所長室から出ようとする。その肩をシュンが掴んだ。
「待て」
「なんだ?」
「ナッシュはこの事務所に不慣れだ。お前が準備を手伝ってやれ」
「そんなの君がやりたまえ」
「男が女の準備を手伝えるか。デリケートな部分もあるだろ」
「そういうモノか。仕方ないな、着いてきたまえ」
「あ、はい」
ナッシュが出ていくリルアの後を追う。廊下に出ると、リルアが振り返りもせず進んでいく。ナッシュが着いているとは考えていない動きだ。
「あの、何処に行くんですか?」
「倉庫だ。そこで宿泊の準備をする」
「倉庫?」
ナッシュの頭にはかび臭くて狭い倉庫が浮ぶ。そんな場所で宿泊の準備をするのかと気が大きく落ち込む。
「一度家に帰るのはダメなんですか?」
「問題無い。だが、事務所で準備した方が早いと思うぞ」
「そうですか」
そういう命令だと思い、ナッシュは事務所で準備を進める事を決める。
「ここだ」
リルアがとある扉の前で足を止めた。扉のには倉庫という札が付いている。
中に入ると意外と明るく清潔な様子だった。棚には見やすいように物資が積んであり、どこにどの物資が有るかが一目瞭然だ。だが、それ以上の特徴があった。
「す、凄い量と種類ですね……」
倉庫は体育館ほどの広さで、置いてある物資の数と種類が豊富だった。服だけあげてもサイズだけではなく、ブランド、素材など種類の種類が多い。
ナッシュは棚の間を移動しながら、広さと物資の量に圧倒される。
「ここにある物資だけで、全探偵が3年暮らせる。種類も市販されているものは揃っている」
「そんな量の物資を用意して何するんですか」
「戦争」
洋服を手に取っていたナッシュの手が止まる。
「……冗談ですよね?」
「時間が無いぞ。早く準備を進めたまえ」
「冗談なんですよね!?」
ナッシュの言葉に答えず、リルアが倉庫の中を進む。
「スーツケースは手前側だ。大きさも重さも揃っているぞ。生理用品もある。君が普段使っているものを取りたまえ。保存食や菓子は特に種類をそろえている。欲しい物があれば好きに持っていきたまえ。あと、必要であればゲーム類や書籍類も───」
「ちょちょちょ!早すぎますよ!一度に全部言わないでください!」
「仕方がないな。もう一度言うからメモでも取りたまえ」
ナッシュは手帳を取り出してリルアの言う事をメモし始める。
リルアの助言を受けつつ、ナッシュは泊まりの準備をしたのだった。
【探偵紹介】
名前 リルア
区分:発明探偵
得意武器:なし
能力値(D~S)
聞き込み力:D(壊滅的)
推理力 :A(得意)
記憶力 :A(得意)
観察力 :B(普通)
戦闘力 :D(壊滅的)
発明が得意な探偵。探偵事務所で使用している発明品は、ほとんどがリルアの発明品である。頭脳労働が得意だが、身体能力や聞き込みなどの能力は低い。
シュンとは幼馴染であり、一番の理解者でもある。探偵事務所では頭脳労働を担当しており、肉体労働を得意とする探偵とコンビを組むことが多い。
人の気持ちを推し量ることが苦手であり、聞き込みも不得手である。体も弱いため、依頼によっては探偵事務所から出ずに捜査することも多い。
「今日から本番かぁ。不安だなぁ」
先日の失踪事件は神経を削るほどに過酷な依頼だった。しかし、依頼を終えた際に言われたのは、今回の依頼は軽かったということ。あれ以上に過酷な依頼をこなすと考えると、憂鬱にもなる。
「いつまでもこうしている訳にもいかないよね」
ナッシュは意を決してドアノブを捻る。
「おはようございます」
所長室に入ると、昨日と同じように所長のホウリがデスクに座っていた。横にはフランが立っている。
ただ、昨日とはいる探偵が違った。
所長室にいる探偵は2人。1人は白衣を着た女性。肌は青白く、銀色の長い髪はボサボサ。不健康そうな出で立ちで探偵の雰囲気はまるでない。背丈は中学生に間違えそうなほどに低く、やる気が無さそうに頭を掻いている。
もう1人は普通の男性だった。体系は中肉中背。格好は白いTシャツに黒いジャケットを羽織っており、ジーパンを履いている。そして、不気味なほどに身動きをしていない。人間ではなく精巧な人形だと言われた方が納得できる。
「誰だ?」
白衣の女性がナッシュを見て眉を顰める。明らかに歓迎している様子ではない。
ナッシュは身を縮こませながら所長室に入る。
「あの、お邪魔でしたか?」
「おはようさん。別に邪魔じゃないから気にするな」
「ですが、歓迎されていない気がするんですけど?」
「こいつの機嫌が悪いのはいつもの事だ。気にするな」
「そうは言われましても……」
居心地が悪そうにナッシュは白衣の女性に視線を向ける。
「ホウリ、こいつはなんだ?」
「そうだな。先に自己紹介からしてもらうか」
「あの!私はこの探偵事務所の助手になりましたナッシュです!」
「そうか。私は発明探偵のリルアだ」
「よろしくお願いします!」
「ああ」
その言葉を最後に所長室には沈黙が流れた。沈黙に耐え切れなくなったのか、ホウリが話し始めた。
「リルアはコミュニケーションが下手でな。親しい者以外とは会話が続きにくい」
「ということは、私が嫌われている訳ではないんですか?」
「そうだ」
「良かったぁ~」
ホウリの言葉にナッシュは胸を撫でおろす。
「リルアさんは発明探偵って言ってましたよね?どんな発明をしたんですか?」
「スマホは支給されたかね?」
「ええ」
「あれを作ったのは私だ」
「そうなんですか!?」
あれほどの機能を持つスマホを目の前の女の子が作った。その事実にナッシュが興奮する。
「他にはどんな発明をしたんですか!?」
「ロワに会ったのだろう?彼が使っている弾丸も私の発明品だ。他にも車などの乗り物も私が発明している」
「あの車もリルアさんが発明したんですか」
発明品の話をしていると、心なしかリルアの顔も険しさが和らいできた。
「凄いですね!ちなみに今はどんな発明を───」
「盛り上がっているところ悪いが」
ホウリが話を打ち切って、先ほどから動いていない男性を指さす。
「そろそろ、そいつを動かさないと不味いんじゃないか」
「……ああ。忘れていた」
リルアが白衣のポケットからリモコンを取り出して、男性に向けてスイッチを押した。
「ぶはっ!はぁはぁ……」
瞬間、男性が前かがみになって荒く呼吸し始めた。
「お前なぁ!?人を固めておいて忘れるんじゃねぇよ!死にかけただろうが!」
「生きているから別に良いではないか」
「良くない!」
「その話は後で頼む。まずはナッシュに自己紹介してくれ」
「そうだったな。悪い」
動き出した男性はナッシュに笑顔で手を差し出した。
「俺の名前はシュン。よろしくな」
「私はナッシュです。よろしくお願いします」
ナッシュがシュンとガッチリと握手を交わす。リルアと違い、コミュニケーションが取れることに胸を撫でおろす。
「シュンさんは何探偵なんですか?」
「あー、俺は〇〇探偵みたいな愛称は無いんだよ。皆のように特殊な能力は無いからな」
「何を言っている?私が愛称を付けただろう?」
「あんなの却下に決まってるだろ」
「どんな愛称なんですか?」
「モルモット探偵だ」
「そんなの名乗れるか!」
「何故だ?私のモルモットであるのだから、良い愛称だと思うが?」
「お前のモルモットになった覚えはないんだが!?」
思いもしない愛称にナッシュは思わず苦笑いをしてしまう。そんなナッシュを前に2人の言い合いは加速していく。
「我儘だな?なら他の案を出そうではないか」
「聞くだけ聞いてやる」
「イングリッシュ、クレステッド、リッジバックなんてどうだ?」
「聞いたこと無い単語だな?」
「全てモルモットの種類だ」
「やっぱりモルモットじゃねぇか!?」
「漫才はその辺りにしておけ。そろそろ仕事の話をするぞ」
ホウリの言葉にリルアとシュンは口論をやめたが、すまし顔のリルアをシュンが睨み続けている。
だが、すぐにシュンは視線を戻して、やれやれといった様子で首を振った。
「それで?今回の依頼はどういうモノなんだ?」
「簡単に言えばゾンビを何とかしてほしいって依頼だな」
「ぞ、ゾンビ?」
「あっはっは!ゾンビなんている訳ないだろ!」
シュンが腹を抱えて笑い始める。だが、リルアは険しい表情で話を聞いている。
「死体が動いているということか?それなら、私達よりも戦闘力が高い者に頼めばいいだろう?ヒーローやサイキッカーに頼みたまえ」
「ヒーロー?サイキッカー?」
聞きなれない単語に頭の上に「?」が浮ぶナッシュ。しかし、会話の流れを止めないために、疑問を飲み込んだ。
「ゾンビと言っても、映画で見るような死体が動くやつじゃない。生きている人間がゾンビになる」
「噛まれたらゾンビになるって奴か?」
「それも違う」
「どういうことだ?」
「とある商店街のとある時間、住民の意識が無くなり、ゾンビのように他の人間を襲う。そして、時間が経つと意識が戻る」
「ん?妙な現象だな?」
「このままだと商店街から人がいなくなってしまいますね。早急になんとかしないと」
「なるほど、これは私達が適任だな」
何かを察したのか、リルアが頷く。
「特定の時間のみってことは、ゾンビでありがちな細菌が原因って訳でもない。何かの機械によるものか、特異な力によるものか。どちらにせよ、私の機械の知識が役に立つだろうな」
「これまた大変そうだな」
「この程度の依頼なら問題無い」
「違ぇよ。お前の発明品が牙を剥いてくるのを心配しているんだ」
「私の発明品?いつも君を助けているだろう?」
「同じくらいピンチになってんだよ」
「えっと?どういうことですか?」
「詳しくは移動しながら聞いてくれ。今は依頼の話を続けるぞ」
ホウリの言葉にシュンとリルアが口を閉じる。
「今回の依頼はゾンビ化の謎を解明し、元凶を断つことだ。原因解明には日数が掛かる可能性がある。3日ほど泊まる準備もしてくれ」
「え?泊まり!?」
「いきなりだな?」
「泊まりの準備ができたら出発してくれ。詳しい情報はスマホに送るから目を通しておいてくれ」
「分かった」
リルアはそれだけ言うと、踵を返して所長室から出ようとする。その肩をシュンが掴んだ。
「待て」
「なんだ?」
「ナッシュはこの事務所に不慣れだ。お前が準備を手伝ってやれ」
「そんなの君がやりたまえ」
「男が女の準備を手伝えるか。デリケートな部分もあるだろ」
「そういうモノか。仕方ないな、着いてきたまえ」
「あ、はい」
ナッシュが出ていくリルアの後を追う。廊下に出ると、リルアが振り返りもせず進んでいく。ナッシュが着いているとは考えていない動きだ。
「あの、何処に行くんですか?」
「倉庫だ。そこで宿泊の準備をする」
「倉庫?」
ナッシュの頭にはかび臭くて狭い倉庫が浮ぶ。そんな場所で宿泊の準備をするのかと気が大きく落ち込む。
「一度家に帰るのはダメなんですか?」
「問題無い。だが、事務所で準備した方が早いと思うぞ」
「そうですか」
そういう命令だと思い、ナッシュは事務所で準備を進める事を決める。
「ここだ」
リルアがとある扉の前で足を止めた。扉のには倉庫という札が付いている。
中に入ると意外と明るく清潔な様子だった。棚には見やすいように物資が積んであり、どこにどの物資が有るかが一目瞭然だ。だが、それ以上の特徴があった。
「す、凄い量と種類ですね……」
倉庫は体育館ほどの広さで、置いてある物資の数と種類が豊富だった。服だけあげてもサイズだけではなく、ブランド、素材など種類の種類が多い。
ナッシュは棚の間を移動しながら、広さと物資の量に圧倒される。
「ここにある物資だけで、全探偵が3年暮らせる。種類も市販されているものは揃っている」
「そんな量の物資を用意して何するんですか」
「戦争」
洋服を手に取っていたナッシュの手が止まる。
「……冗談ですよね?」
「時間が無いぞ。早く準備を進めたまえ」
「冗談なんですよね!?」
ナッシュの言葉に答えず、リルアが倉庫の中を進む。
「スーツケースは手前側だ。大きさも重さも揃っているぞ。生理用品もある。君が普段使っているものを取りたまえ。保存食や菓子は特に種類をそろえている。欲しい物があれば好きに持っていきたまえ。あと、必要であればゲーム類や書籍類も───」
「ちょちょちょ!早すぎますよ!一度に全部言わないでください!」
「仕方がないな。もう一度言うからメモでも取りたまえ」
ナッシュは手帳を取り出してリルアの言う事をメモし始める。
リルアの助言を受けつつ、ナッシュは泊まりの準備をしたのだった。
【探偵紹介】
名前 リルア
区分:発明探偵
得意武器:なし
能力値(D~S)
聞き込み力:D(壊滅的)
推理力 :A(得意)
記憶力 :A(得意)
観察力 :B(普通)
戦闘力 :D(壊滅的)
発明が得意な探偵。探偵事務所で使用している発明品は、ほとんどがリルアの発明品である。頭脳労働が得意だが、身体能力や聞き込みなどの能力は低い。
シュンとは幼馴染であり、一番の理解者でもある。探偵事務所では頭脳労働を担当しており、肉体労働を得意とする探偵とコンビを組むことが多い。
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