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【第二章】――大魔王のおしごと――
第二の将、ザトー
「久しいわね、ザトー」
「お久しゅうございます、マナ様。前回は面目ない。なにぶんなかなか都合がつきませなんだ故……」
そう、しわがれた声で話すのは、背が高い、枯れた老躯だった。
赤い髪のオールバックに、ちいさな眼鏡を鼻にかけ、民族風な装いに、民族風な刀剣を一振り、腰に差している。
一見すれば、剣士。
否、むしろヨボヨボの老兵と思わしき、頼りない男。
しかし、その本来の姿は、炎竜帝とも呼ばれる紅竜の王である。
「気にしないで。拠点の防衛施設を増設するのに、労働力の確保を優先したいと言っていたものね」
「ええ、なんせ火山と溶岩ばかりの一帯ですからなぁ。基礎の工事ですらすんなりとはいかぬ有様で……まだ当分かかることでしょうな」
そう話すザトーの表情は苦笑気味だ。
人族が深部に侵攻しようとした時、部下の兵士を極力使わずに撃退できるよう、防衛戦略を敷いた砦や建造物を構築するように、魔王が各拠点に下令したと聞いている。
もしかしたら、今は皆それに苦心しているのかもしれない。
「人員が足りていないの?」
「ええ。少なくとも、我が拠点に至っては、左様でございます。大半の者は、溶岩に浸かると果てますでな……。耐えれる者で行うとなると――まぁ、致し方ありますまいな」
ははは、とザトーから乾いた笑いが漏れる。
なんとか助力できないかと考える、が、自然の溶岩の炎熱――『天火』や『天熱』に対抗するには、魔法的な耐性では太刀打ちできない。
まぁ実のところ出来なくは無いが、工事に利用するには効率が悪すぎるだろう。
かといって炎熱に耐性のある精霊では、実体が無いので、工事は無理だ。
「となると……」
生来の耐久力を持っている溶岩ゴーレムや、実体を持つまでに進化した精霊、神霊クラスが必要だ。
しかし神霊にまで精霊が進化するには、途方もない年月や類まれな運が必要だ。
そう考えると、現実的に調達できるのはゴーレムの方だろう。
すぐには無理だが、錬金術で作り出すことが可能だ。
「……少し時間をくれたら、溶岩ゴーレムの素を幾つか設えて送るわ。そっちで完成させて使ってちょうだい」
「かたじけない……!」
「ついでに、使いやすい生活用魔術の術式図も追加で幾つか送るわね」
「はは……、宿題が溜まる一方ですな」
「良いのよ、マイペースで。息抜きか暇つぶしにでも試してみて」
ザトーは既に強い。
竜だけあって身体強度が高く、天敵であろう『水』や『冷』の魔法を受けても、それほど問題にならない。そもそも、まともに当たるかどうかも微妙な所だろう。
だから、生活用や、補助用などの魔術を習得して、出来ることを増やしてくれたほうが良い。
時間と根気が続けば、付与魔術も習得して、天敵属性への耐性を高める術を身に着けられればベストだ。
しかし急ぐことも無いだろう。
私はそう思う。
では次。
さらに一歩分、横へズレる。
青いクールな、氷城のお姫様の元へ。
「お久しゅうございます、マナ様。前回は面目ない。なにぶんなかなか都合がつきませなんだ故……」
そう、しわがれた声で話すのは、背が高い、枯れた老躯だった。
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一見すれば、剣士。
否、むしろヨボヨボの老兵と思わしき、頼りない男。
しかし、その本来の姿は、炎竜帝とも呼ばれる紅竜の王である。
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「ええ、なんせ火山と溶岩ばかりの一帯ですからなぁ。基礎の工事ですらすんなりとはいかぬ有様で……まだ当分かかることでしょうな」
そう話すザトーの表情は苦笑気味だ。
人族が深部に侵攻しようとした時、部下の兵士を極力使わずに撃退できるよう、防衛戦略を敷いた砦や建造物を構築するように、魔王が各拠点に下令したと聞いている。
もしかしたら、今は皆それに苦心しているのかもしれない。
「人員が足りていないの?」
「ええ。少なくとも、我が拠点に至っては、左様でございます。大半の者は、溶岩に浸かると果てますでな……。耐えれる者で行うとなると――まぁ、致し方ありますまいな」
ははは、とザトーから乾いた笑いが漏れる。
なんとか助力できないかと考える、が、自然の溶岩の炎熱――『天火』や『天熱』に対抗するには、魔法的な耐性では太刀打ちできない。
まぁ実のところ出来なくは無いが、工事に利用するには効率が悪すぎるだろう。
かといって炎熱に耐性のある精霊では、実体が無いので、工事は無理だ。
「となると……」
生来の耐久力を持っている溶岩ゴーレムや、実体を持つまでに進化した精霊、神霊クラスが必要だ。
しかし神霊にまで精霊が進化するには、途方もない年月や類まれな運が必要だ。
そう考えると、現実的に調達できるのはゴーレムの方だろう。
すぐには無理だが、錬金術で作り出すことが可能だ。
「……少し時間をくれたら、溶岩ゴーレムの素を幾つか設えて送るわ。そっちで完成させて使ってちょうだい」
「かたじけない……!」
「ついでに、使いやすい生活用魔術の術式図も追加で幾つか送るわね」
「はは……、宿題が溜まる一方ですな」
「良いのよ、マイペースで。息抜きか暇つぶしにでも試してみて」
ザトーは既に強い。
竜だけあって身体強度が高く、天敵であろう『水』や『冷』の魔法を受けても、それほど問題にならない。そもそも、まともに当たるかどうかも微妙な所だろう。
だから、生活用や、補助用などの魔術を習得して、出来ることを増やしてくれたほうが良い。
時間と根気が続けば、付与魔術も習得して、天敵属性への耐性を高める術を身に着けられればベストだ。
しかし急ぐことも無いだろう。
私はそう思う。
では次。
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