ミリートの僕がいつの間にか街のみんなに敬われてた⁉︎

謎希

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一章

リーザのアーチ

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 空気くうきんでいるリーザの街で僕は伸びをする。
伸びたうでの中の一本一本の血管けっかん酸素さんそが通っていくのが目にするようにわかる。
そうしていると、開いているまどから声が聞こえた。
『ねえ、アーチ。僕ご飯食べたい』今家で飼っているモンスターのヘルズの声だ。
普通ふつうのモンスターならしゃべることができないが、ヘルズはテレパシーで話すことができるのだ。
「わかったから待っておいてね」そういうと嬉しそうに家の奥へと行った。
こうやってヘルズと話すことができるのが僕は嬉しかった。
そうして、家にもどってから一番いちばんにヘルズにご飯を作ってやった。
面白おもしろいことに犬型のモンスターなのに魚を好むのだ。
いつも魚を食べている様子を僕はニコニコと眺める。
 二年前から僕はより忙しくなったのだ。
スーナに誘われてパラドクスという組織に入ることになった。
パラドクスは突然とつぜん世界せかい征服せいふくしようとするために作られたユートピアという組織にあらがうために作られた組織だ。階級があり上からエクスト、ユナイト、マーズ、マディア、リザーブ、 ミリートだ。
でも、全く進歩せず二年も経っても、まだミリートという階級の下っ端したっぱ的存在だ。
この日もベノムディアとしての責務せきむがあるが、僕は呼ばれたところに行くとそこにはグドラがいた。
グドラはベノムディアの製作者だ。
「おい、アーチくん。君今日限りでやめてよ。僕のチーム」
「どうしたの。いきなり」
「君がいると僕のチームにどろられるんだよ」
「とっとと帰りな」
そう言われて、僕は肩を落として帰った。
これで僕は誰も頼れないなそう思っていると、上からへびが顔をのぞかせた。
でも、その蛇は見知った模様もようの蛇だった。
「ねえ、おどろいた?」
その声は僕の幼馴染のスーナだった。
「まあ驚いたかな」
「ねえどうしたの?具合悪いの?」
「ベノムディアを辞めさせられた」
僕のその言葉でスーナは黙ってしまった。
「っていうか、まだ誰とも契約を結んでないの?」
「そうなんだよね」
そう僕のヘルズはペットのような関係で結んではいない。
だからと言って他に結べるモンスターも見当たらないのだ。
そうしたら山の方から何かが聞こえた。
目をらして見たところ熊型のモンスターが木々を薙ぎ倒しているところが見えた。
そのことをスーナに言った。
するとスーナがその方向を見て驚いた。
「本当だ。私もそこに向かう。申し訳ないけどモンスターの力を使わないアーチは逃げてほしいの」
そう言って僕を置いて山のほうに向かって行った。
僕は自分の無力感を実感じて家に帰った。
家に僕が帰ると、僕が帰ってきたことに喜んでヘルズが尻尾しっぽを振って迎えるが僕は笑顔にはなれなかった。
『どうしたの?アーチ。いつもより元気ないね』
「うん、邪魔だって言われたんだ」
僕はそう言って、今日家から出てから帰るまでのことをヘルズに言った。
『それってアーチのことを心配してるんじゃないかな』
「えっ?」
『そのグドラは聞いてて感じ悪く思ったけど、スーナはアーチのことを心配しているんだよ。きっと』
そうヘルズが言い終える。
いつもヘルズは人間より優しい言葉で話しかけている感じがする。
その時に、隊員用イヤフォンから声が聞こえた。
〈熊型モンスターをしづめられない模様もよう至急しきゅう応援おうえんを頼む〉
そう言われて僕は走って向かった。
何も能力がなくともできることはあると思って、扉の鍵を開けたまま向かった。
熊型モンスターが街中の建物を次々と壊していた。
僕は隊員スーツを着て、モンスターめがけて飛びかかった。
が、すぐに弾かれて建物に背中からぶつかる。
それからモンスターが僕めがけて襲ってくる。
何回も僕は殴られた。
やられると思った時に、僕の前に神々こうごうしいたてが現れて攻撃こうげきふせいだ。
その盾の元にいたのはヘルズだった。
『大丈夫か?』
そうヘルズは聞いてくる。
「なんでヘルズがここに?」
『鍵空いてたよ』
そうだ、役に立ちたいとずっと思っていたからそんなこと忘れていた。
ちょうどそこにスーナが来た。
「何しているのよ。早く逃げて」
『ちょっと二人とも待っててね』
そう僕に言って、ヘルズは遠吠えを始めた。
その遠吠えでモンスターは怯んだ。
その様子をうかがってから僕の身体は光に包まれた。
さっきモンスターから受けた傷が身体から消え去った。
『僕と契約を結ぼう。アーチ』
「えっ、いいの?」
『今までアーチが苦労してたの僕知ってる。だから、一緒に戦いたい』
そうして、僕とヘルズの身体が赤く光って契約完了となった。
「グラビティセット」そう言って、ヘルズの力を体にまとった。
「スーナ下がっててよ」僕がそういうとスーナは驚きながら後ろに下がった。
僕は地面を一蹴いっしゅうして僕の手の中に光を集中させてそれをモンスターにめがけてはなつ。
その力でモンスターが膝をつき、体制を崩した。
『決めるよ、アーチ』
「うん」
そういって、強くモンスターを殴る。
その殴った効果でモンスターの凶暴きょうぼう化が直り、一旦サクリファイズでそのモンスターを保護することにした。
偶然ぐうぜんに僕が戦っているところを見たスーナやサクリファイズの製作者のモードンに話しかけられた。
「君は確かミリートだよな」
「はい、そうですが」
『ごめんね、アーチ隠してて。なんか人間で言うところの僕の階級はエクストなんだ』
「そうなんだ。でも、なんで僕が契約を結べたの本当ならできないんじゃ」
『普段から僕たちは仲良く信頼して生活していたんだよ。絆ってやつだな』
そういってヘルズは笑った。
「スーナ、どうしたの?」
「どうしたのって、私ねアーチに助けられたことに驚いたんだ。っていうかそのヘルズってモンスターは喋れるの?」
「そうだよ。テレパシーなんだって」
「ふむ、珍しいな。このモンスターを研究したいのだが、いいかなアーチくん」
今までの話をだまって聞いていたモードンはそう聞いてきた。
もちろん答えは決まっている。
「嫌です。僕の契約者というより家族なんです。離れ離れになるなんて嫌です」
「そうか。なら私も厳しく行こう。モンスターがエクストでも君がしっかりと試練をこなさない限り階級は上がらない。それでいいかな」
「はい、構いません」
そういうことで今日は帰ることにした。
「スーナ、ごめんね」
「っていうか、ヘルズちゃんって可愛いよね」
『まあね』
いや、謙遜しないのかよって心の中で思いながら 僕たちは家に帰った。
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