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【番外編】最終話
しおりを挟む「『えー、この度、何の因果か、レン王妃とのご友人で在られる、黒ずきんさんと面識を迎えました』」
面識を、迎える?
僕が来るのを知ってたってこと?
「『レン王妃より、可愛い子が来るとは聞いておりましたが、えぇ、出会った瞬間に、彼に堕ちました』」
「ブッ!」
「『これは、紛れもない運命です、運命を感じました運命です』」
何回も言い過ぎなのでは?
「『幸いにも、私の知り合いに、ゲーム関係者がおり、その伝手で、今、何とか黒ずきんさんを私のものにできないか、悪戦苦闘中です』」
おいおいおい。
「『どうか、私の黒ずきんさんを狙う、彼にアピール、デートに誘うなど、親密になる行為はしないでください、したらどうなるか、分かってますよね?』」
脅すなぁ! リスナーを!
「『私は本気です、それが中々本人には伝わってないようですが、ここで、レン王妃の口を借りて、申し上げさせて頂きます』」
「?」
「『わたくし、レディアン・ベルモンドは、黒ずきんさんを生涯の妻とし、幸せな家庭を築くことを、ここに誓います』」
「~っ!?」
もう何度目のプロポーズだろうか。
「『正直、昨日今日で、何回プロボーズしてるか思い出せません。ですが、この公共の、配信というお時間を借りて、ここに申し上げます。追伸、黒ずきんさん、逃げられませんからね。君の愛しの熊人より』、です、以上です」
コメントがハートでいっぱいになっている。
「おめでとうじゃないですから!?」
「あー、君も、俺の仲間だ。ほだされかけてるなら、諦めて受け入れた方がいいよ・・・フッ」
最後の間が気になる。
「レン様っ!? 悟りを開かれてません!?」
「この配信も、誰かがテロップ付けて切り抜いてくれるからね」
「ふぐ・・・」
「はぁ、俺の周りでどんどん熊人カッポーが出来て来る・・・」
「カッポー?」
「カップルのことだよ!」
「あ、あぁ・・・」
「フッ、どうやら、俺は熊人縁者かもしれないなぁ、ふふふ」
怖い、笑みが怖い。
「僕も、新しいビジネス、始めちゃおっかなぁ~」
「まぁ、それなら応援しますけど」
レン様がにっこり微笑む。
「俺もね」
「・・・ふふ、はいっ」
あれ、何だろう?
レン様の顔が段々近く・・・。
「こぉらぁー!」
「ヒッ!」
バァンッと豪快に扉が開かれた。
「レディアンっ!?」
「あっちょー! あっにゃ!」
「エト様!?」
とエト王子を抱かれているディラン王。
まさかの皆勢ぞろい。
「またこの展開ですかっ!?」
「おいレン! 今君はアー・・・彼とキスしようとしただろう!?」
「えっ」
「えー? ほっぺにちゅーだよ! いいじゃんそんくらい! 可愛かったんだから」
「ズルい! 私もまだしたことないのにほっぺにチュー!」
「あ、あの」
レディアン、配信中なのですが。
「おっぺ? ちゅ~? えとも、ちゅ~?」
「あ~ん、そうだよエトー? エトにもちゅー」
レン様がエト王子にちゅーをする。
「きゃぁい! えともまんまに・・・ちゅー」
今度はエト王子がレン様にちゅー。
カシャッ。
カシャカシャッ!
ディラン王、無言のカメラ激写。
「はい、ディランも」
「ん」
「ちゅー」
「ん」
「ディランは?」
ディラン王は慣れたご様子でチッス。
「・・・ちゅ」
「えへへ」
「いつもしてるのに。まいったなぁ。こんな配信中に見せびらかしてしまったな」
「あっ! 配信・・・そうだった!」
ようやく気が付かれたレン様が、ようやく僕を見てくれたので、終了の挨拶の合図を送った。
「えー、コメントが凄いことになってますが、これで黒ずきん氏との、ゲーム実況を終わりたいと思い・・・」
「?」
レン様がコメントを凝視する。
「あらやだ本当だ。レディアンと黒ずきん氏のほっぺちゅー、ないね?」
「!? ははははははははいっ!?」
何で? 何でそういう流れになるの!?
「うんうん、そうだよね。折角のほっぺちゅー祭りでしてないのおかしいよね?」
「誠に遺憾である!」
「遺憾しないでくださいっ!?」
「え、では最後に、音声しっかりと取らせて頂きますので、お二人のほっぺにちゅーを、お願いします」
レン様がマイクを近づけて来る。
「レン様っ!?」
「ほっぺにちゅーしないとおわれまてん」
「何ですかその企画!?」
ふとぐいっとレディアンが近づいたと思ったら。
「ちゅー」
「っ!?」
レディアンのいい香りがっ。すぐそこに!
「ふふ」
レディアンが満足げに微笑んでいる。
「はい、次、ア・・・黒ずきん氏」
「ふぐっ」
「アー・・・黒ずきんよ、ほら」
皆、アーニャと呼ぼうとして言いとどまって、アーアー言ってるのがシュールなんですが・・・。
レディアンが、自身の綺麗な頬を差し出して来る。
配信者として! きちんと配信をぉ! 終わらせなければぁっ!
「・・・ちゅっ」
レディアンからすぐ離れた。
「こここここれでっ!? いいで・・・」
ボフンッ。
レディアンがもふもふの熊になった。
「さぁぁぁぁぁいこぉぉぉぉぉぉうだぁぁぁぁぁ!」
「ぎゃっ」
レディアンに押し倒された。
「レディアンっ!? 目が、目がおかしいですよ!?」
「ダメだ、可愛くて喰べちゃいたい!」
「なななななな何言ってんですかーっ!?」
「レディアン、襲うなら家でしろ」
「ディラン王ーっ!?」
「と、いうわけで、配信、終わります~。この続きはご想像に、お任せします~。これからも、熊人をよろしくお願い致します~! 皆、ば~いば~い!」
鼻息が荒い、重い!
「じゃぁ俺達は戻ろうか」
「えっ?」
「エトのご飯の時間だ」
「そうだね。じゃぁレディアン、換気、しておいてね」
「レン様? ちょっ」
レン様がにっこり微笑む。
「諦めて、お縄に捕まっちまいなよ?」
「なよなよ!」
エト様までぇっ!?
「アーニャ」
「・・・はい」
レディアンの綺麗な琥珀色の瞳が僕を映す。
「これからも、ずっと、愛してる」
濡れた熊の鼻がぺちゃりと僕の頬にキスをする。
「これが真のほっぺにちゅーだ」
「・・・鼻ぺちゃです」
「・・・嫌いか?」
にやにやと不遜の笑みで見下ろして来る。
む。
知ってるくせに。
「好きに決まってるでしょうが!」
僕はレディアンに抱きついた。
いろんなことがあったけど、いろんな縁に結ばれて、これからもいろんな経験が待ってるだろう。
どうか、皆も、自分のやりたいことを諦めないで。
僕は思う。
人生の勝利者とは、『自分を貫き通した者』であると。
僕はそうなりたい。
そうで在りたい。
END
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