本を読み、私は考える

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『砂に埋もれる犬』 桐野夏生・著

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ネグレクトで育った少年と、それを取り巻く大人たちの物語。

読了後の率直の感想としては。

え?ここで終わっちゃうの?

続いて押し寄せる、モヤモヤ。モヤモヤ。

何と胸の悪くなる話でしょうか。

ネグレクトをされて育った子ども。
自分もまともに育てられたことのない母親。
保護された子どもとどうにか向き合っていこうとする里親。

様々な人の様々な感情。思惑。憎悪。嫉妬。苦しみ。悲しみ…。
とにかくありとあらゆる『負の感情』が一気に流れ込んできます。

それでも、育った環境を大義名分にして好き勝手しまくる登場人物たちには辟易してしまいます。
みんな利己的で、自己的で。

その中で真っ直ぐに、どうにかしよう。してあげたい。と心を砕く人間がいる。
助けようとしてくれる人間がいる。

そこに救いがあります。

子どもを愛せない親だっている。
親を憎む子どもだっている。

私達がいきている世界が全てではなく、見えているものも全てではなく、この世には確かに、やるせない実情がある。

それを沸々と思い知らせられるお話でした。
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