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第6章:不和
21・謎の男と謎の老人
しおりを挟む「七海さん!」
「待て、小花!」
何が起こったのか、全くわからなかった。
とにかく壁に叩きつけられた七海さんの元に駆け寄ろうとしたんだけど、将成さんが私の腕を掴んで止める。
「おい、七海、これ以上、俺や親父たちに恥をかかせるなよ。それに、俺たちだけじゃない。主家である西園寺家にも迷惑をかけてるんだぞ。わかっているのか?」
そう言った若い男――多分二十代半ばくらいで、大樹さんたちよりも年上だろうと思う――は、壁に叩きつけた七海さんに近づくと、胸ぐらを掴み上げ、固く握った拳で七海さんの顔を殴りつけた。
「ぐはっ」
「な、七海さんっ」
若い女の子をグーで殴るとか、信じられない!
七海さんをあの男の人から助けなくちゃ! だけど、将成さんは掴んだ私の腕を放してくれない。
「亜紀、貴様もだ! 直接小花様に愚妹の許しを乞おうなど、恥を知れ! あぁ、東野家には罰を与えねばならんな! 一体東野家は貴様らにどういう教育をしておるのだ!」
「あうっ……」
亜紀さんの苦しそうな声が聞こえて振り返ると、着物姿のおじいさんが床に倒れる亜紀さんの顔を踏みつけていた。
「ちょっと、何をしていえるんですか! 止めてよ!」
このおじいさんも一体誰なの? 女の子の顔を踏むなんて、あり得ないでしょ!
「将成さん、放してよ!」
「駄目だ!」
顔を踏みつけられた亜紀さんを助けたいのに、将成さんは片腕で昌央を抱いたまま、私の腕を掴んで放さない。
どうして止めるんだろう?
そして、どうして誰も七海さんと亜紀さんを助けようとしないの?
「どうしてなの! おかしいでしょ! みんな、おかしいよ!」
「だが、他家のことには口を出すことができないのだ!」
将成さんが怒鳴るように言う。
他家のこと? もう、一体どういうことなの?
「うああぁぁんっ! なり、おこるの、やなのーっ!」
自分を抱いたまま将成さんが大声で怒鳴ったものだから、驚いたんだろうね、昌央が泣き出してしまった。
「昌央! ほら、昌央、こっちにおいで」
慌てて食堂から出てきたおばあちゃんが、私の腕を掴んだままの将成さんから昌央を引き取り、昌央をあやしながら食堂へと戻る。
そしてそんな二人を守るように、伸彦さんと武くんが食堂へと戻り、私とおじいちゃん、それから四家のみんなと厚くんと明奈さんがこの場に残った。
こんなに人数が居るのに、本当に、どうしてみんなは七海さんと亜紀さんを助けようとしないんだろう。
そして、突然現れた男の人と着物のおじいさんは、一体誰なの?
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