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第6章:不和
4・おじいちゃんの話
しおりを挟むどうやら私は、約三週間、意識が戻らず眠っていたらしい。
この事は、次に目を覚ました時に、おじいちゃんが教えてくれた。
それから、おじいちゃんは私の体の事も説明をしてくれた。
今の私の体は、全身にひびが入ったみたいに、切り傷ができているらしい。
この傷は、妖魔と戦った時に傷ついたみんなの傷を肩代わりしたからできたもので、私自身が望んで受けたものだから、おじいちゃんや叔父さんの持つ真中の治癒の力でも、治るまでかなりの時間がかかり、跡が残る可能性もあるという事だった。
おじいちゃんの治癒がすごいって褒めた時に、おじいちゃんが暗い表情をしていたのは、私の傷をすぐに治す事ができなかったからみたいだ。
「そっかぁ、自業自得って事だね」
と言うと、おじいちゃんはものすごく辛そうに頷いた。
「美華が産んだ子供たちの中で、真中の能力を持った子供が居る可能性も考えてはいたが……お前が持っていたとはなぁ……。しかも、おかしな使い方をしおって……」
「おかしいって、何が?」
「自分を犠牲にして他者を治す……自己犠牲での治癒は、感心せんな。出血多量で死にかけているお前を見た時、わしは心臓が止まるかと思ったわ」
「心配かけて、ごめんなさい」
でもね、体は痛いし、治りは遅いし、跡が残るかもしれないって言われても、みんなの傷を肩代わりした事は、私は全く後悔していないんだ。
あの時の私は、どうしてもみんなを助けて……守りたかったから。
「小花は、西園寺の力よりも、真中の力の方が強いのかもしれんな」
「そうなのかな? 西園寺の水の力は、使えない? みんなみたいに上手くできないんだけど、私、才能無いのかな……」
「どちらの力も、訓練次第じゃろうが……お前が動けるようになったら、わしが真中の力の使い方を教えてやる。今後もあんなふうに力を使われたら、堪らんからな」
深い息をついて、おじいちゃんが言った。
「おじいちゃんが教えてくれるの? いいの?」
「どういう意味じゃ?」
「だって……」
おじいちゃんは、真中家の当主だ。
全く偉そうじゃないけれど、四家のみんなが守る大切で偉い人らしいのに。
私がそう言うと、おじいちゃんは呆れたよう私を見つめ、言った。
「自分の孫に力の使い方を教えるのに、何の問題があるんじゃ。それに、教えるのはお前だけじゃない。だから、気にする事はない」
「そうなの?」
「そうじゃ」
おじいちゃんは頷くと、また深い息をついた。
どうやらとてもお疲れのようだけど……私の看病のせいだけじゃないような気がする。
真中の力の使い方を教えるのは私だけじゃないって、私の他におじいちゃんに真中の力の使い方を習うのって、誰なのかな?
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